2020年東京五輪のマラソン及び競歩について

2019年11月06日

令和元年第13回環境生活委員会にて、東京オリンピックのマラソンと競歩競技について質問させていただきました。

○太田憲之委員

 2020年東京オリンピックのマラソンと競歩競技につきましては、先月16日に開催されましたIOC理事会において札幌へ開催地の変更が決定され、先日開催されましたIOCと組織委員会、国、東京都が参加したIOC調整委員会の4者協議で関係者による合意がなされたところであります。
 開催まで260日余りとなる中、これまで入念な準備を進めてきた東京都の皆様の心中は察するに余りあるところですが、決定された以上は、北海道としても万全の体制で受け入れることができるよう、課題の洗い出しや対応など、しっかりと進めていく必要がありますので、以下、何点かお伺いします。
 初めに、東京都では、マラソンコースとなる道路への遮熱舗装の導入や街路樹の剪定を工夫するなどの暑さ対策を初め、さまざまな準備を進めてきたことが報道されておりましたが、マラソンと競歩競技の開催地が札幌に変更になった経緯について、お伺いします。

○本田オリンピック・パラリンピック連携室長

 札幌開催に至った経緯につきましては、先月16日に、東京オリンピックに係る暑さ対策として、マラソン、競歩会場の東京から札幌への変更を検討していることがIOCから発表され、翌17日には、IOCのバッハ会長から、IOC理事会の決定事項であるとの発言があったところであり、25日には、IOC調整委員会のコーツ委員長と小池都知事が会談し、小池都知事から東京開催が主張され、IOC調整委員会で引き続き議論することとなりました。
 そして10月30日からのIOC調整委員会で、マラソン、競歩の会場変更が議論され、11月1日に、IOC、組織委員会、東京都、国による4者協議において札幌開催が決定されました。
 その後、組織委員会の森会長から、知事及び札幌市長宛てに、札幌開催の決定と協力要請の電話連絡があり、両者とも承諾し、札幌市長からも知事宛てに協力の要請があったところです。

○太田憲之委員

 道では、札幌への変更がIOCから発表されて以降、組織委員会や札幌市などの関係機関とどのような協議を進めてきたのか、内容についてお聞かせ願います。
 また、けさの報道にもありましたが、あす、組織委員会の森会長が知事を訪問するとともに、週内に事務方が道内関係者との実務者会議を行うとの情報もありますが、その事実関係についてもあわせてお聞かせ願います。

○本田オリンピック・パラリンピック連携室長

 組織委員会や札幌市との協議につきまして、IOCの発表があった翌日の17日には、札幌市、道警察と実務者連絡会議を開催し、情報を共有するとともに、開催となった場合の影響を検討することを確認したところです。
 また、18日には札幌市とともに、組織委員会に対して事実関係の確認と詳細な情報提供を求める文書を送付したところ、組織委員会から、札幌への変更はまだ決定事項ではないとして、明確な回答はなかったため、札幌市から組織委員会に対し、札幌ドームや大通公園を活用する場合の課題等について情報提供が行われたところです。
 また、今月1日に開催された北海道・札幌市行政懇談会において、知事と札幌市長が直接、この件について協議を行い、道と札幌市はもとより、競技団体などの関係機関との密接な連携のもと、大会の成功に向けて取り組んでいくことを確認したところです。
 なお、あす、森会長が知事を訪問し、その後、週内に組織委員会と道及び札幌市の職員が実務者会議を行う方向で、現在調整しているところです。

○太田憲之委員

 今、協議の状況をお伺いしたところですが、道では、マラソンと競歩競技の札幌開催にどのような課題があり、今後、関係機関との協議をどのように進めていく考えなのか、道の考えをお伺いします。

○本田オリンピック・パラリンピック連携室長

 札幌開催における課題につきまして、マラソン、競歩の実施に向けてさまざまな準備が必要となる中、主な課題としましては、準備期間が非常に短いといった時間的制約がある中、オリンピックの基準を満たすマラソン、競歩のコースの早急な確定と、それに伴う住民生活や経済活動への影響、宿泊施設やボランティアの確保などが考えられるところです。
 道といたしましては、札幌市や道警察、競技団体など、道内の関係団体との連携を密にしながら、競技の運営主体である組織委員会と速やかに協議を行ってまいります。

○太田憲之委員

 競技の運営に当たっては、競技団体などの関係者はもとより、多くのボランティアスタッフの確保が必要となります。
 先日行われたマラソングランドチャンピオンシップの際は、1800人のボランティアを募集し、実際には約2400人のボランティアスタッフが活動したとのことですが、道では、ボランティアスタッフの確保をどのように考えているのか、お聞かせ願います。

○本田オリンピック・パラリンピック連携室長

 ボランティアの確保につきましては、組織委員会が募集している各競技会場で活動する大会ボランティアと、競技会場のある札幌市など自治体が募集しているまちなかの案内等を行う都市ボランティアがあり、これまで、札幌での大会ボランティア希望者が約1200人、都市ボランティア登録者が660人となっており、研修やオリエンテーションなどが始められております。
 道といたしましては、今後、組織委員会や札幌市とも協議しながら、マラソン、競歩の札幌開催に伴い、新たなボランティアの確保が必要な場合には、札幌市以外の市町村にも協力を要請するなど、広域自治体として積極的に取り組んでまいります。

○太田憲之委員

 札幌への開催地の変更に伴い新たに必要となる経費につきましては、小池東京都知事は、都では負担しないことを明言しております。
 道は今後、組織委員会と協議を行うことになりますが、どのようなスタンスで協議に臨む考えなのか、道としての考えをお聞かせ願います。

○本田オリンピック・パラリンピック連携室長

 東京オリンピックは、東京都以外の9道県でも11競技が実施されますが、これら都外開催に伴う経費等の負担につきましては、東京都、組織委員会、国及び競技会場が所在する関係自治体で構成される協議会におきまして、平成29年5月に基本的な考え方が合意されているところです。
 この合意では、大会経費は全て東京都または組織委員会が負担することとなっており、関係自治体の役割としては、自治体として担うセキュリティー対策などの業務のほか、所有施設の恒久的な改修が必要な場合の整備を行うこととなっているところです。
 道といたしましては、マラソン等が札幌市で開催される場合についても、費用負担はこの合意によるものと考えており、今回のIOC調整委員会の4者協議で、東京都は札幌移転に際して発生する新たな経費を負担しないことが合意されたことから、札幌開催に係る大会経費につきましては、組織委員会で負担することが基本であると考えております。

○太田憲之委員

 オリンピックのマラソンと競歩競技の日程は、大通公園をコースや会場として使用する北海道マラソンやビアガーデンなどの日程と重なるおそれがあるなど、市民生活や経済活動への影響も懸念されるところでありますが、道は、札幌の夏の風物詩と言われておりますこれらのイベントと、どのように調整を図る考えなのか、お聞かせ願います。

○本田オリンピック・パラリンピック連携室長

 マラソンと競歩のコースはまだ決定されておりませんが、仮に、現在の北海道マラソンのコースが活用されることになりますと、準備期間や開催時期が夏のイベントシーズンと重なり、市民生活や経済活動に影響を及ぼすことが考えられるところです。
 このため、道といたしましては、組織委員会からコース設定に係る情報収集を速やかに行うとともに、どのようなコース設定になったとしても、市民生活への影響を最小化できるよう、札幌市や道警察、関係団体などと連携して取り組んでまいります。

○太田憲之委員

 最後に、マラソン競技などの万全な受け入れ体制の構築に向け、道は、今後、どのような取り組みを進めていく考えなのかお聞かせ願います。

○本田オリンピック・パラリンピック連携室長

 マラソンと競歩の実施に係る今後の取り組みにつきましては、競技の運営主体である組織委員会と連携、協力し、非常に短い準備期間の中で、さまざまな課題に効率的に取り組んでいく必要があることから、道といたしましては、札幌市との連携を密にしながら、既設の実務者連絡会議の場などを活用し、道警察や競技団体などのさまざまな関係団体との協議を加速するとともに、組織委員会との協議も速やかに進めてまいります。
 また、今後、道内全体の機運醸成を進めるとともに、選手や関係者のみならず、世界中から多くの観客やメディアの来道が予想されることから、道内自治体などの協力をいただき、事前合宿の受け入れや各地域でのおもてなしなど、大会成功につながる環境整備に努め、道内各地での聖火リレーの実施や札幌ドームでのサッカー競技も含め、東京大会全体の成功に向け、より多くの道民に大会を身近に感じていただき、御協力いただけるよう万全の対応をとってまいる考えです。

○太田憲之委員

 既に開催が決まっていたサッカーの予選に加え、マラソンと競歩競技が札幌で開催されることで、今後、組織委員会から職員派遣の要請があった場合などにおいて、札幌市はもとより、組織委員会とも緊密な連携が求められることから、この点を指摘して、私の質問を終わらせていただきます。