空き家等の対策について

2019年07月05日

 予算特別委員会第2分科会において空き家等の対策について質問させていただきました。

○太田憲之委員

 本年4月、総務省から、平成30年住宅・土地統計調査における住宅数の概数集計の結果が公表されたところであります。
この調査は、国内の住宅や住環境などに関する実態を調査し、住生活関連施策の基礎資料を得ることを目的に行われている調査であります。
4月に公表された結果では、総住宅数のほか、空き家についても速報データが公表されているところであります。
全国的に空き家の発生が問題となる中、国においては、平成26年に、空家等対策の推進に関する特別措置法を制定しており、道においても、法の施行などを踏まえ、27年12月に、空き家等対策に関する取組方針を策定し、その方針に基づいて、さまざまな取り組みを行っているものと伺っているところでございます。
空き家等の対策につきましては、昨年の決算特別委員会において私からも質問をさせていただいたところではございますが、以下、道内の空き家等の直近の状況や道の取り組みについて、順次お伺いをしていきたいと思います。
まず初めに、平成30年住宅・土地統計調査における空き家の概数集計の結果が公表されましたが、道内の状況は5年前と比べてどのようになっているのか、お聞かせ願います。

○西澤建築指導課長

 道内の状況についてでございますが、住宅・土地統計調査は、国勢調査の調査区から約5分の1の調査区を抽出して行うものでありまして、平成30年調査の概数集計の結果では、道内の住宅総数は281万1100戸で、5年前と比べて6万4500戸増加しております。
 このうち、空き家総数は37万7900戸で、1万300戸減少しており、住宅総数に占める割合であります空き家率は、13.4%で0.6ポイント減少していますが、空き家のうち、賃貸用や売却用などを除いたその他の住宅につきましては、15万5800戸となっており、1万6300戸増加しているところでございます。

○太田憲之委員

 今の御答弁の中で、賃貸用や売却用を除いた、使い方が決まっていないその他の住宅はふえているとのことでございましたが、空き家の所有者が空き家の賃貸や売却をしたくても、自分が住んでいる地域に不動産業者が少なかったり、全くないといった市町村も道内には多くあるやに伺っているところでございます。空き家の活用を図る観点から、不動産の流通市場にのせることが重要であると考えます。
 道では、ホームページ上に北海道空き家情報バンクを開設しておられますが、実績などの運用状況と、どのような周知、PRを行っているのか、あわせてお伺いいたします。

○西澤建築指導課長

 空き家情報バンクについてでございますが、道では、道内の空き家及び空き地の有効利用を通して、移住、定住の促進や、住宅ストックの循環利用を図るため、北海道空き家情報バンクを平成28年4月に開設し、インターネットや各種広報媒体などを通じて広く周知を行うとともに、道が開設します移住情報総合ポータルサイトや全国版空き家・空き地バンクと連携しながら運用してきたところでございます。
 本年3月末までに、サイトには約20万件のアクセス数があり、登録件数は延べ951件で、このうち394件が成約となっており、成約率は約41%となっているところでございます。
 今年度は、全道の8カ所で開催されます不動産業者が集まる研修会におきまして、空き家情報バンクを紹介し、積極的な登録を呼びかけるなど、さらなる利用促進に努めているところでございます。

○太田憲之委員

 道内においては、5年前と比べると、空き家全体は減少しているものの、賃貸用や売却用ではない空き家がふえているのであれば、空き家等の対策をこれまで以上に進めていかなければならないのではないかと考えるところでございます。
 空家等対策の推進に関する特別措置法では、そのまま放置すれば、倒壊など、保安上、著しく危険となるおそれのある空き家を特定空き家等に指定し、市町村長は、特定空き家等の行政代執行や略式代執行を行うことができるとされており、実際に、道内でも、行政代執行や略式代執行を行った自治体があることは伺っているところでございます。
 現在までの市町村の状況について伺いますとともに、道は、特定空き家等の対策などに関してどのような取り組みを行っているのか、お聞かせ願います。

○西澤建築指導課長

 特定空き家等に対する取り組みについてでございますが、本年3月末時点で、道内の34市町村が2376件を特定空き家等に指定しており、このうち、所有者等に対しまして、除却、修繕等必要な措置をとるよう指導助言を行ったものが26市町村で1776件、うち、勧告を行ったものは8市町村で28件、さらに、除却命令などの手続を経て、行政代執行により除却を行ったものが4件であり、また、所有者等が不明の場合に、事前の公告手続を経て、略式代執行により除却を行ったものが5件となっているところでございます。
 道では、こうした市町村の取り組みを支援するため、積雪寒冷といった本道の地域特性を反映した「市町村による特定空家の判断の手引き」を平成28年度に作成し、技術的な支援を行ってきましたほか、関係団体と市町村で構成されます空き家等対策連絡会議などにおきまして、国の空き家再生等推進事業を活用した除却事例などの情報提供を行っているところでございます。

○太田憲之委員

 人口減少や中心市街地の衰退が進む地方都市では、空きビルや空きホテルなどが発生し、周辺環境や景観、防災面などなどでさまざまな問題を起こしていることが新聞等々で報道されているところでございます。
空き家対策につきましては、戸建ての住宅ばかりではなく、空きビルや空きホテルなど、大規模な空き建築物の対策も重要ではないかと考えますが、この点に関して、道の取り組み状況についてお聞かせ願います。

○西澤建築指導課長

  大規模な空き建築物の対策についてでございますが、商業ビルやホテルといった大規模建築物が空き建築物となり、管理が適切に行われていない場合には、外壁の落下や治安の悪化など、周辺の環境に重大な影響を及ぼすとともに、改修や解体に要する経費が高額になりますことや、建物や土地の権利関係が複雑な場合も多く、対策が難しいところでございます。
 こうしたことから、道では、本年5月に、大規模な空き建築物への対応に苦慮する八つの市町と会議を開催し、道内における活用事例や、市町村が関与して解体した事例を紹介するなど、課題の解決に向けて、情報の共有、意見交換を行ったところでございます。
 道といたしましては、引き続き、関係市町村と連携を図りながら、全国における先進的な取り組み事例の情報提供などに努めてまいる考えでございます。

○太田憲之委員

 空き家等の対策を進める上では、法律、税制、補助金など、非常に多くの事柄が関連しており、これらは、いずれも、基本的には国が対策を講じているものと思われますが、国に対する要望について、道としてどのような考えで行うのか、お聞かせ願います。

○椿谷住宅局長

 国への要望についてでございますけれども、空家等対策の推進に関する特別措置法におきましては、市町村の責務として、空き家等に関する必要な措置を適切に講ずることとされているところでございます。
 市町村からは、土地所有者の管理責任の明確化などの法改正が必要な制度の見直しや、空き家の活用、特定空き家等の除却に対する国庫補助率の引き上げなど、さまざまな項目について要望を伺っております。
 道といたしましては、これまで、国に対して、空き家対策の推進に向けた財政支援の拡充などを要望してきたところでございます。
 法律では、施行から5年が経過した場合において、必要があると認めるときには所要の措置を講ずるものとされておりまして、来年2月には施行後5年を迎えることからも、地域における空き家に関する課題の解決に向け、引き続き、制度改正や財政支援の拡充を国に要望してまいります。

○太田憲之委員

 空き家等の対策につきましては、適切に管理されていない危険なものは積極的に除却していくという方策と、一方で、使えるものはどんどん活用していくという方策と、両方の面があるかと思います。
 また、法律、税制などが複雑に絡み合って、市町村は大変苦慮しているのではないかと思うところでございます。
 そういった中、今後、空き家等の対策について、道としてはどのように取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。

○平向建設部建築企画監

 今後の取り組みについてでございますが、道では、住宅ストックの循環利用はもとより、防災や景観保全、地域の活性化といった観点からも、空き家等の対策は大変重要と考えており、これまで、平成27年に、空き家等対策に関する取組方針を策定し、空き家情報バンクの開設、空き家ガイドブックの作成を初め、市町村への支援などに取り組んできたところであり、今後は、こうした取り組みに加えて、空き家を交流施設や宿泊施設など新たな用途の施設として活用しようとする市町村の取り組みを促進してまいりたいと考えております。
 道といたしましては、引き続き、空き家対策に向け、地域の実情を的確に把握し、国に対しまして、必要な制度改正や財政支援の拡充などを要望するとともに、モデル市町村を選定し、ともに課題解決に向けた検討を行うなど、市町村を積極的に支援することにより、安心して暮らし続けることができる地域づくりに向けて取り組んでまいります。

○太田憲之委員

 空き家等の対策に関して、先進地を実際に視察して伺ってきた中で、それまで厄介者とされてきた危険な建物を除去することによって、そこに、新たな建物、新たな住民が張りつき、人や経済の流れが生み出されて、非常に好循環が起きていることも目の当たりにしたところでございます。
また、私の地元でも、そういった古い建物はありますが、最近、北海道の空港民営化等の動きもあり、投資家が入ってきて、そのお金で、地元業者ではなかなか手を出せないような建築物も、除去まで踏まえた値段で買い取って、更地にして新たなものを建てるということがあります。ですが、そういったことができない地方や、そもそも不動産屋と情報がつながらないところにおいては、どうしても公的なサポートが必要になってくると思いますので、ぜひとも、この問題については、今言われたような取り組みを粘り強く行っていただき、好循環につなげるようお願いを申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。