新型コロナウイルス感染症対策

2020年09月30日

○太田憲之委員 
まず初めに、新型インフルエンザ対応検証報告2010についてであります。
道では、平成21年に流行した新型インフルエンザへの対応を検証した報告書を、翌22年10月に作成していることから、各部審査では、報告書についての認識や、検証結果が新型コロナウイルス感染症対策にどのように生かされているか、伺ったところであります。
答弁では、当時の知見によるものではあるが、新たな感染症に関わる対策を講ずる上で、重要な視点に立った取組などの方向性が示されているとの認識や、発熱相談センター、発熱外来、PCR検査体制などの課題や改善方向が示されており、感染症対策を進めるには、この検証結果も十分踏まえなければならない旨の認識などが示されました。
しかしながら、有識者会議では、この報告書が新型コロナウイルス感染症対策に生かされているとは言いがたい旨の指摘がされていること、さらには、中間取りまとめでは、「意思決定過程の透明性の確保」として、「感染症に関する行動計画が、活かされていない面があり、本検証を実効性のある対策に繋げてほしい。」と記載されていることから、報告を踏まえて作成された行動計画についても、今回の対策に生かされていないことがうかがえます。

改めて、この報告書と、これを踏まえた取組に対する知事の認識、あわせて、今回の中間取りまとめの受け止めと今後の取組の考え方についてお聞かせ願います。

○鈴木知事 
新型インフルエンザ対応検証報告書についてでありますが、新型コロナウイルス感染症対策については、当初、新型インフルエンザ対応検証報告書を参考として取組を始めたものの、未知の感染症であったことから、十分に反映できなかった面もあったと考えておりますが、その後、国などから、新たな知見や対策、取組が順次示される中、道では、特に、感染拡大に備える観点に立って、早期発見、拡大の防止、医療の提供の三つの対策について、具体的な取組の参考としているところでありまして、今後も、新型コロナウイルス感染症対策を進めるに際し、この検証結果も十分踏まえなければならないものと認識をしております。
また、道では、このたびの、北海道における新型コロナウイルス感染症対策に関する検証中間取りまとめでは、有識者会議から頂いた御意見を踏まえ、対応方向を取りまとめたところでございまして、今後、道民の皆様や事業者の方々の御理解と御協力の下、関係者が一丸となり、効果的な取組を着実に進め、感染症対策に万全を期してまいる考えでございます。

○太田憲之委員
新型コロナウイルス感染症が未知の感染症であり、大変に対応が難しい面があったといたしましても、報告書の検証結果がこれまでの取組に十分生かされなかったことは、有識者会議の指摘のとおりではないかと思います。
平成21年に大流行した新型インフルエンザは、性質として、強毒性ではなく、弱毒性のものであり、当初心配されていたような事態には至らなかったことから、道にも油断があったのではないかと考えるところであります。今回の中間取りまとめが今後の感染症対策にしっかりと生かされるように指摘をしておきます。

では、次の質問に移ります。

有識者会議からは、感染症対策における計画の実効性を施策上において担保する必要性もあると指摘されております。
このことは、知事の情報発信や連携の進め方から派生した混乱などを回避する観点でも、また、何よりも道民の命をしっかりと守るという命題を果たす上でも、普遍的に対処するためのルールを明文化しておく必要があるということにほかならないと考えます。
各部審査では、将来の未知なる感染症に備えるための対策として、これまでの知見がしっかりと生かされるよう、どのように準備し、取り組んでいくのか、伺ったところでございますが、明確な答弁がございませんでした。
道として、これらの課題にどのように対応し、今後も予想される様々な感染症に備えていく考えなのか、改めて知事にお伺いいたします。

○鈴木知事
今後の感染症対策についてでありますが、平成22年に作成した検証報告書では、本道における様々な対策に関して、課題の整理や改善方向を検討し、平成25年に策定した北海道新型インフルエンザ等対策行動計画に反映させるとともに、当時の知見を踏まえたものではあるものの、今般の新型コロナウイルス感染症対策に当たっても、重要な視点に立った取組の方向性が示されているものと認識をしております。
この感染症への対応が今後も長期にわたることが見込まれる中、私としては、有識者会議での御意見も踏まえながら、迅速かつ効果的に感染症対策を進めていかなければならないと考えておりまして、今後においても、新型コロナウイルス感染症対策の基本的な枠組みなども示しつつ、新たな知見や国の動向なども踏まえながら、必要に応じ、現状や課題について整理を行いまして、不断に対応方針を見直し、道民の皆様の生命と健康、暮らしを守るために、感染症対策に鋭意取り組んでまいる考えでございます。

○太田憲之委員
まさに、道民の生命と安全に関わる重大な問題でありまして、いかに時間が経過して人が替わろうとも、普遍的なルールをきちんと整備していくことで、適切な対応が担保できるということでありますので、それに向けたしっかりとした取組を求めておきます。

次に、新型コロナウイルス感染症への対応についてであります。

各部審査では、新型インフルエンザ対応検証報告2010に盛り込まれておりました検証内容の実施状況等が中間取りまとめに反映されていなかった理由をただしましたが、御答弁では、その後の行動計画に反映させており、中間取りまとめの中でも触れているとのことでありました。
先ほどの質問で触れたとおり、平成22年当時の検証結果が十分に生かされなかったという点が、今回の検証作業の重要なポイントだったのではないかと考えます。
第三者の目で見た、道にとって、ある意味、耳の痛いかもしれない分析や記述が、今回の中間取りまとめでは、抽象的、一般的な表現でまとめられております。
恐らく、将来、この中間報告を目にする方々は、平成22年当時の検証結果のどこがどのように生かされていなかったのか、理解することが極めて困難ではないかと想像するところであります。
このことは、道自身が検証作業の取りまとめを行うことの限界を示していると言うこともできるのではないかと考えます。
知事は、道自身が検証を行うという今回の検証作業の進め方によって、貴重な教訓を酌み取るといった面で甘さが生じることはなかったと考えているのか、見解をお伺いいたします。

○鈴木知事 
検証の中間取りまとめについてでありますが、道では、これまでの対応について、市町村等の御意見も踏まえながら、有識者の皆様の御議論に基づきまして、課題を整理し、今後の対応方向を取りまとめたところでございます。
今後の新型コロナウイルス感染拡大に備えるため、有識者の皆様には、限られた期間で集中的に御議論をいただいたところでありまして、また、対策も進行中という中で、必ずしも十分な検証作業には至っていない部分もあろうかと考えておりますが、まずは、この秋以降の対策をより適切かつ効果的に実施していくため、この対応方向を具体化していく必要があるというふうに考えております。
このため、今定例会後、年内のできるだけ早い時期に、改めて有識者会議を開催いたしまして、対応方向に沿った取組の進捗状況を御確認いただきますとともに、さらに幅広く御意見をお伺いしながら、対策の質の向上につなげてまいりたいというふうに考えています。

○太田憲之委員
検証作業を行って、その結果をまとめる狙いに関する認識にも関わることでありますが、今回の中間取りまとめは、これからの対策に生かすばかりではなく、どのような対策や取組に関し、検証の過程でどのような課題が明らかになり、どう評価して、今後の対策を議論したのか、歴史的な記録として後世に残すことも重要と考えます。
そして、その検証結果から、しっかりと教訓を酌み取るものにしていかなければならないと考えます。そういった点も十分に踏まえて、今後も検証作業を進めていただきたいと考えます。

次の質問に移ります。

各部審査では、2月の新型コロナウイルス感染拡大期に、法的根拠もなく、道独自の緊急事態宣言などを実施した点について課題を指摘し、今後の対応をただしましたが、緊急事態宣言等を実施した当時の状況としては、道民の皆様の命と健康を守ることを第一に考え、独自の緊急事態宣言の下、外出自粛などの協力依頼を行ったとのことであり、現在は、新型インフルエンザ等対策特別措置法の対象となっているので、今後、行動制限に関する要請などが必要な場合には、この法に基づき実施する旨の御答弁でした。
緊急を要する当時の厳しい感染状況を踏まえれば、道民の命と健康のために、知事としてぎりぎりの判断をされたことには一定の評価をいたします。
その一方で、行政の専門家からは、外出自粛等の要請が、国民の基本的権利である移動や行動の自由を強く抑制するものであり、経済社会に重大な影響をもたらすものであることを考えれば、このたびの対応には、法的根拠に基づく行政の推進といった面から課題があり、早急に条例を制定すべきであったのではないかと指摘する声も聞かれます。
知事は、こうした法的根拠の整備の必要性については、どのような認識やお考えをお持ちなのか、お聞かせ願います。

○鈴木知事
独自の緊急事態宣言等に関する認識についてでありますが、本道が、全国に先行して感染の第1波に見舞われた際には、新型コロナウイルス感染症に関する法整備が進んでいない中で、かけがえのない道民の皆様の命と健康を守るために、道として何ができるか、また、何をやるべきか、私自身、専門家の方の御意見も参考としながら、熟慮を重ね、独自の緊急事態宣言の発出を決断いたしました。
この宣言により、医療崩壊といった最悪の事態を回避することはできたものの、道民の皆様には、週末の外出自粛などの協力依頼を行いまして、多くの御負担をおかけしたことは真摯に受け止めております。
こうした協力依頼に関する法的根拠の必要性については、様々な御意見があるものと承知をしておりますが、いずれにしても、私権の制限は、法的根拠を要することはもとより、最小限の範囲にとどめられるべきものというふうに考えておりまして、新型コロナウイルス感染症が新型インフルエンザ等対策特別措置法の対象となったことを踏まえまして、今後、感染リスクが拡大し、道民の皆様に行動制限などの御協力をいただくことが必要となった場合には、道内の感染状況等をしっかりと見極めた上で、特措法に基づく措置として要請をしてまいりたいと考えております。

○太田憲之委員
2月の新型コロナウイルス感染拡大期に行った緊急事態宣言などの対応は、当時の状況から判断すると、やむを得ないものであり、その結果として一定の成果があったことは評価いたします。
このことは、知事の要請が、法的根拠がなくても道民に非常に大きな影響を与えるものであったことを実証しているとも言えるのではないかと思います。
これからも、知事が、様々な政治的、政策的な判断を行う際には、そうした知事の影響力の強さというものを十分に自覚されて、慎重な対応が求められるということを指摘させていただきます。

次の質問に移ります。

各部審査では、市町村との連携の考え方についてもお伺いをいたしましたが、特措法に基づき、政府が緊急事態を宣言した場合に、都道府県知事は、総合調整ばかりではなく、特に必要な場合には、市町村に対し、必要な指示ができるとのことであります。
一方、そうした政府による緊急事態宣言等がない中では、保健所設置市とは、感染症法上、対等な立場で連携していくとのことでありました。
仮に、知事が、独自の緊急事態を宣言せざるを得ないと考えるほど緊迫した感染状況であったとしても、法的根拠がない現状では、お願い以上の働きかけを市町村に行うことはできません。
感染拡大防止のための手だてが十分でないことは明らかでないでしょうか。
道として、独自の緊急事態を宣言しなければならない場合が生ずるとすれば、市町村に対する権限についても、条例といった法的根拠を持って行使する必要があるのではないかと考えますが、知事の見解をお聞かせ願います。

○鈴木知事
市町村との連携についてでありますが、新型コロナウイルス感染症への対応を効果的に進めるためには、住民の皆様に最も身近な行政機関であります市町村と情報を共有し、相互に連携を深めていくことが極めて重要であると認識しております。
このため、道としては、新たに設定をいたしました警戒ステージの下で、市町村の皆様と、感染状況等の共有を図っていきますほか、ステージの移行や特措法に基づく要請等の措置を検討する場合には、事前に情報提供を行いますとともに、特に、感染症対策を進める上で緊密な連携が必要な保健所設置市とは、医師会などの関係団体の皆様で構成する会議を開催いたしまして、協力体制を一層強化していく考えでございます。
また、新型コロナウイルス感染症に関する国や地方自治体の責務、役割については、新型インフルエンザ等対策特別措置法に規定されておりますが、こうした法制度の下で、都道府県知事がより実効性のある措置を講じることができるよう、今後も、機会あるごとに、全国知事会を通じて国に働きかけをしてまいりたいというふうに考えております。

○太田憲之委員
昨日、9月29日の午後5時の時点で患者さんは136名で、昨日の陽性判明者が16名とのことであります。日々、こういったことに立ち向かっておられる医療関係者、また、保健所で勤務される皆さんに、本当に敬意を表する次第でございます。
こういった感染防止対策の実効性を確保し、道民の命と健康を守るためには、市町村の中でも、特に保健所設置市との連携を強化していく必要があると考えます。その点を指摘させていただきます。
これまで申し上げてきたような点も踏まえまして、我が会派の代表質問では、法的根拠となる条例化による対策の強化について考え方をただし、知事からは、コロナ対策に関する政策推進の基本的な枠組みなどを道民の皆様と共有するための方策について、条例化も念頭に置きながら、早急に検討との前向きな考えが示されました。
各部審査では、こうした知事の答弁を踏まえて、今後の対応をお伺いいたしましたが、現下の状況に即応し、今後の情勢変化にも機動的に対応できるよう柔軟に検討してまいるとの御答弁でした。
知事は、今後この問題にどう取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。

○鈴木知事
今後の対応についてでありますが、私としては、道民の皆様、事業者の皆様の御理解と御協力をいただきながら、効果的な対策を進めていくには、条例化も念頭に置きながら、道としての新型コロナウイルス感染症対策に関する基本的な枠組みを道民の皆様と共有していくための方策を明確にすることが重要であると考えております。
こうした中、新型コロナウイルスに関する新たな知見や治療法などの開発が進み、国においては、対策の前提となる関連法令の見直しが進められているところでありまして、条例化への対応については、これらを十分に踏まえていくことが必要でございます。
一方、依然として、国内外で感染拡大が続いておりまして、道内においても、予断を許さない現下の状況や、今後の情勢変化に機動的に対応していかなければならないというふうに考えておりまして、道としては、まずは、市町村との連携や、差別の防止に向けた知識の普及など、コロナ対策の基本的な枠組みを示す要綱を年内のできるだけ早い時期に策定いたしまして、広く道民や事業者の皆様と共有していきますとともに、引き続き、関連法令の動向や要綱に基づく取組の実施状況などを踏まえながら、条例化について検討してまいる考えであります。

○太田憲之委員
ただいまの御答弁の中で、条例化を検討するとのことでありましたが、例えば、この感染症に罹患した方々や医療関係者の方々への誹謗中傷を防ぐための条項 ―本当に困っている方が多くおられると思いますので、早急に整備を要するものも少なくありません。その早急な検討をお願いしておきます。

次に、新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いをいたします。

各部審査では、PCR検査を中心とした検査体制整備計画や、季節性インフルエンザ流行期への対応、整備スケジュールなどについてお伺いし、検査対象の見直しや、多様な検査手法を活用した効率的、効果的な検査の実施、地域の実情を踏まえた診療・検査体制の整備など、10月中を目途に進める旨の御答弁がありました。
地域の医療実態に応じた診療等の体制整備を進めるのは容易なことではありません。
また、診療・検査体制に関わる情報提供や、感染症法の見直しによる入院措置対象者の考え方など、混乱を招くことがないよう、市町村や関係機関等としっかり調整し、準備しておく必要があるほか、新たに、新型コロナウイルスの検査に、本人が採取する鼻の粘膜を使う手法が導入され、抗原検査キットの需要が増大することから、その確保に向けた取組なども求められるところであります。
季節性インフルエンザ流行期を迎えるまでの限られた時間の中で、相談体制や診療・検査体制の整備充実に向けてどのように取り組んでいくのか、知事の御所見をお聞かせ願います。

○鈴木知事
新型コロナウイルス感染症に係る今後の取組についてでありますが、季節性インフルエンザ流行期には、発熱患者の大幅な増加が見込まれますことから、こうした方々に対する相談・診療体制の確保や、検査需要に対応が可能な体制を構築していくことが必要であるというふうに考えています。
このため、道としては、本感染症に係る入院措置について、重症化するリスクが高い方に限定するなど、現在、国において検討されております、感染症法の取扱いの見直しも踏まえ、医師会など関係団体の皆様や市町村と連携を図りながら、かかりつけ医や受診相談センターにおける相談機能を強化いたしますとともに、検査体制整備計画を策定いたしますほか、各地域の医療機関の役割分担に関する協議を進めるなどして、道民の皆様への情報発信を含めた相談・診療・検査体制の整備に努めまして、道民の皆様が安心して必要な医療を受けられるように取り組んでまいります。

○太田憲之委員
道には、医療機関における相談体制や診療・検査体制の整備への支援はもとより、入院措置の対象となる範囲も含めて、地域の方々に必要な情報がきちんと伝わり、安心して受診できるように、市町村や関係機関等と緊密に連携し、しっかりとした環境を整えるように指摘させていただきます。
各部審査では、中小・小規模企業が事業継続のために必要なPCR検査を実施する際の支援についてお伺いをいたしましたが、事業者が任意で行うPCR検査の支援対象については、対象者の線引きに関して、公平性や妥当性など、多くの議論が予想されるとして、引き続き、企業ニーズを踏まえつつ、必要かつ効果的な対策を検討するといった御答弁でありました。
本道の経済を取り巻く状況は、目まぐるしく動いているところであります。
例えば、国は、来月から入国に関する規制を緩和する方向で検討を開始したと報じられており、今後、本道の強みである食や観光ビジネスに関連した海外との人の往来が徐々に回復してくるものと考えますが、その際には、相手国や取引先から、PCR検査等による陰性証明が求められるケースが増えると見込まれております。

このほかにも、企業内で代替が利かない基幹業務を担うセクションや、定期的なメンテナンスサービス提供のために必ず顧客を訪問しなければならないといったセクションで、罹患者が出た際の経営上のリスクを考えたとき、症状がなくても、社員に自社負担で検査を受けさせる必要性を強く感じている経営者は少なくないと考えております。
実際に、こうしたニーズに応える民間検査機関も増えてきているところでございます。
新型コロナウイルス感染症が完全に終息しない中で経済を回していくため、PCR検査等の感染症対策に取り組む道内の中小企業を支援していく工夫が求められると考えますが、知事の見解をお聞かせ願います。

○鈴木知事
新型コロナウイルス感染症対策への支援についてでありますが、感染症の影響により厳しい経営環境が続く中、道内企業は、事業活動の維持や継続に向けまして、中核業務を分散するスプリット勤務の採用や、オンライン商談会への参加など、様々な工夫を凝らしながら、「新北海道スタイル」の実践に取り組んでいただいているところでございます。
道では、こうした先進的な事例の幅広い情報発信に努めますとともに、感染リスクを抑えながら新しい事業活動に取り組むための専門家派遣、小規模事業者や地域の商店街、宿泊施設などにおける感染予防設備や備品の導入への支援などを行っているところでございます。
今後、道として、議員が御指摘の点も踏まえまして、ビジネス目的のPCR検査費の軽減や検査の迅速化などについて、国の施策の動向も注視するとともに、本道の経済情勢を踏まえたさらなる支援を検討するなど、関係機関の皆様とも一層連携をし、中小・小規模企業対策に取り組んでまいりたいと考えております。

○太田憲之委員
道内の中小企業が、安心して事業活動に取り組み、その本来の力を発揮できるように、必要な支援策の検討に引き続き取り組んでいただきたいと考えますので、前向きに御検討いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
各部審査では、今後、新型コロナウイルス感染拡大が進み、休業要請が行われるような警戒ステージに至ったとき、どのような場合に、どのような範囲で休業要請や支援が行われるのか、その仕組みをあらかじめ示しておくことが、企業経営の面で重要であることを指摘し、対応についてお伺いをいたしましたが、地域や業態を限定することも検討しているといった答弁にとどまりました。
このような御答弁では、事業者の方々にとって、どんな地域的な枠組みや業態の限定で休業要請等がなされるのか、支援はどうなるのか、実際に休業要請が行われるまで分からないといった状況になります。
感染拡大初期の段階と異なり、現在では、この感染症に対する知見の蓄積がかなり進んでいると伺っており、当時よりも精度の高い休業要請等が可能ではないかと考えます。
例えば、地域的枠組みであれば、振興局単位なのか、医療圏単位なのか、あるいは、クラスターが一定数発生している地区といった、より細かな単位なのか、業態にいたしましても、学校の休業要請をどのような規模や内容で行うのか、道が想定している具体的な枠組みを示すことが求められております。
道は、休業要請等の枠組みや支援策を可能な限り見える化し、道民の皆様の予見可能性を高めることについて、どのような認識を持ち、今後どのように対応する考えなのか、お聞かせ願います。

○鈴木知事
休業要請などについてでありますが、道では、新しい警戒ステージの4及び5になった際、休業要請を行うこととしておりますが、このようなステージに至ることが懸念される場合には、想定される要請の内容をできるだけ早く道民の皆様にお示しすることが大切であると認識しています。
道としては、まずは、こうした状況を招かないよう対策を講じていくわけでございますが、要請の発出が懸念される場合には、振興局など、道内各地の感染状況を踏まえまして、要請が必要な地域や業態などについて、あらかじめ情報提供を行い、社会経済活動への影響をできる限り抑えながら、感染症対策として効果のある休業要請となるよう、支援策も含め検討を進めてまいる考えであります。

○太田憲之委員
企業経営者にとりましては、先が見通せない不透明感ほど、経営判断を萎縮させるものはありません。せめて、道が取る可能性のある休業要請や対策については、どのようなものとなるのか、あらかじめ分かるようにし、少しでも予見可能性を高めていただきたいと考えます。
そのことが、経営者のマインドを前向きにし、経済活動の活発化にも結びつくものと考えますので、ぜひとも、前向きに検討していただきたいと考えます。よろしくお願い申し上げます。
民間の調査機関が先日発表した調査結果では、今年1月から8月にかけての休廃業・解散企業件数が、前年同期比で約24%増加したとのことであります。国や道の強力な資金繰り対策でも経営好転が見込めずに、会社を畳む例が増えた可能性も高く、今後この傾向が続くのではないかと危惧されております。
また、厚生労働省が発表した、新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報を見ますと、雇用調整の可能性がある事業所等が、調査開始以来、増加を続けております。
今月18日の発表では、全道で約1万事業所に上っており、都道府県別では、東京都に次いで全国で第2位の高い水準となっております。この数字は、5月下旬と比べると約3.8倍となっており、今後の動向を注意深く見守っていく必要があります。
道は、新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中、感染の拡大を抑えつつ、経済を着実に回復へと導いていかなければなりません。
各部審査では、道内企業の事業継続と雇用の安定が図られるよう、切れ目のない対策に努める考えが示されましたが、改めて、経済活動と感染症対策の両立という困難な課題に挑戦する知事の思いをお聞かせ願います。

○鈴木知事
今後の経済対策についてでありますが、本道経済は、6月以降は回復の兆しが見られるものの、長期にわたる新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、今後、企業の休廃業や離職者の増加が懸念されるなど、予断を許さない状況が続いております。
このため、道では、季節や感染状況等に応じて、「新北海道スタイル」の取組の見直しを行っておりますほか、無利子融資の拡充など、足元の事業継続の支援を強化いたしますとともに、プレミアム商品券やどうみん割など、需要喚起の支援の拡充に努めているところでございます。
今後さらに、離職者の再就職支援に取り組みますほか、関係機関の皆様と連携し、事業再生に向けた再生計画の策定支援や、後継者人材バンクの活用による事業承継支援などに取り組み、感染拡大防止と社会経済活動の両立が図られるよう、切れ目ない対策に努めてまいります。

○太田憲之委員
「新北海道スタイル」も、知事が提唱されてから随分時間がたち、道民の方々には、従来と何も変わらないような印象やマンネリ感が広まっているのではないかと危惧するところであります。
ただ、この言葉の知名度は高く、しっかりと周知されておりますので、言葉だけではなく、新たな気持ちで、「新北海道スタイル」の中身についても、しっかりと実践していただけるような工夫を重ねていただきますよう、お願い申し上げます。

次に、観光需要喚起等についてお伺いをいたします。

各部審査では、このたびの補正予算案に盛り込まれた「どうみん割+(ぷらす)」や、国の「Go To Travel」などを活用した需要喚起策などについて伺ってまいりました。
今回の新規事業や国の事業が全国規模で展開されることによって、観光需要喚起が図られ、そのメリットが道内の隅々にまで行き届くことを願わずにはいられません。
観光のくにづくり行動計画の見直しについても伺いましたが、今後は、当面の需要喚起策のみならず、中長期的な視点に立った議論が求められます。
その際には、新型コロナウイルス感染症がもたらした、人々の意識や行動の変化を的確に捉え、これを観光産業の発展に結びつけていくことが重要ではないかと考えます。
最近では、道内の観光地でも、情報通信基盤の整備が進んできたことから、自然豊かな観光地で、テレワークを行いながら、家族でレジャーを楽しむワーケーションといった旅行形態、あるいは滞在形態も普及の兆しを見せているところであります。
従来、移住促進政策や交流人口拡大政策と観光政策は、それぞれ独立の政策として進められてきましたが、今後は、こうした政策分野間の連携にも積極的に取り組み、道内の観光産業の需要喚起につなげていく必要があるのではないかと考えます。
知事は、新型コロナウイルス感染症と対峙しつつ、どのように本道への観光需要を喚起していく考えなのか、お聞かせ願います。

○鈴木知事
観光需要の喚起についてでありますが、観光関連産業を、本道経済を牽引するリーディング産業に成長させていくためには、ウィズコロナ・ポストコロナ時代にふさわしい新たな旅行スタイルを提唱していくことが重要であると考えております。
今般の新型コロナウイルス感染症の長期化に伴いまして、ワーケーションの取組に関心が高まる中、本道は、雄大な自然景観や豊富な農林水産資源、アウトドアコンテンツなど多彩なアクティビティーのほか、都市や観光地に多様な宿泊施設を有しておりますことから、こうした本道の魅力や優位性を生かした滞在型観光の誘致により、新たな観光需要の創出が期待できると考えます。
道内では、これまでも、避暑や花粉症対策など、長期滞在への取組が行われているところでございますが、道としては、中長期的な視点に立って、感染拡大防止と本道ならではの旅行スタイルの推進に向け、庁内の関係部局はもとより、市町村や関係機関・団体の皆様との幅広い連携の下、全庁を挙げて取り組んでまいります。

○太田憲之委員
私の地元でも、企業等が知恵を出して、市街地のホテルと支笏湖畔のホテルを連携させるような新たな滞在型プランも検討されるとうわさにしているところでございます。
ぜひとも、こうした新しい取組と連携し、本道の新しい観光の魅力を発信することによって、需要喚起を図っていただきたいと考えますので、引き続きの対応をよろしくお願いいたします。

次に、災害時等におけるペットの対応についてであります。

各部審査では、災害時や、新型コロナウイルス感染症の状況下におけるペットへの対応についてお伺いし、御答弁によりますと、道では、犬や猫の引取りなどの業務を保健所で行っていることから、地域住民の健康や衛生を所管する保健所の職員が、ウイルスへの感染、汚染が懸念される犬や猫を取り扱えないため、飼い主が新型コロナウイルスに感染し、預かり先の確保が困難で、引取りや一時収容を申し出た場合、対応できない状況となっていることが課題として明らかになりました。
また、昨年の動物愛護管理法の改正に伴い、犬や猫の引取りなどは、都道府県、政令市などが設置する動物愛護管理センターの業務として明記され、センターを設置している他の都府県や札幌市では、このような場合もセンターの職員が対応することから、問題は生じていないと伺っておりますが、センターのない道では対応できないという現実に直面しており、先日、北海道獣医師会から、動物愛護管理センターの早期設置について知事に要望が行われた際には、私も同席させていただき、その窮状を伺ったところでございます。
御答弁では、新たな感染症への対応や、国が示す施設・管理水準なども視野に入れて、本道における動物愛護管理センターの在り方を検討するとのことでありましたが、ウィズコロナの社会は、まだこれから2年から3年は覚悟しなければならないと言われており、今後も起こり得るであろう様々な感染症や、さらなる不測の災害に備えるためには、早急に、動物愛護管理センターの設置を検討する必要があると考えます。
コロナ禍や様々な災害時においても、動物の愛護や適正な飼育などが図られますよう、道としてどのように取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。

○鈴木知事
動物愛護管理センターについてでありますが、昨年の動物愛護管理法の改正により、ペットの適正飼育に関する指導や、犬、猫の引取りなど、動物愛護管理センターの業務が、新たに都道府県の役割として規定されたところでございます。
道では、これまで、本道の広域性から、振興局の担当課と保健所がその業務を分担して実施してきておりますが、災害時の緊急収容や、新型コロナウイルスに感染された方が飼育するペットの一時預かりが困難なこと、現行の業務体制や収容施設では、近く国が示すこととしております、自治体の動物収容施設の施設・管理水準に適合できないことなどの課題がございます。
このため、道としては、有識者や関係団体の皆様の意見を伺いながら、これまでの体制を検証するとともに、動物愛護管理センターの設置や、関係団体などとの連携を含め、本道の特性や課題のほか、国が示す新たな基準などを踏まえた今後の体制について、早急に検討してまいります。

○太田憲之委員 
ぜひとも、早急に、センター設置に向けて進めていただきますよう、お願いを申し上げる次第であります。

次に、道の広報政策についてお伺いをいたします。

各部審査では、事実と異なる報道がなされ、報道機関による自主的な是正措置が行われなかった場合の対応についてお伺いをいたしましたが、広報紙や広報番組、SNSなどの直接的な情報発信手段を活用し、引き続き、正確、迅速な情報提供の充実に努めたいとの御答弁にとどまり、道が、誤った情報の是正に具体的にどう取り組むか、明らかにされませんでした。
道民世論の形成にも大きな影響を及ぼす報道機関、特に新聞やテレビといったマスメディアが、訂正記事の掲載といった自主的な是正措置を講じない場合、多くの購読者や視聴者の方々が、誤った情報を基に、道政や知事の言動に対する評価を下すことにもなりかねません。健全な民主政治の基盤が損なわれることにもなり、そうした状況を放置しておくことは許されないと考えます。
従来とは異なり、最近では、SNSといった情報発信手段が発達しており、知事も日常的に活用しておられると思います。
報道機関が自主的に是正措置を行おうとしない場合には、こうした新たな情報発信手段を積極的に活用し、道自ら、直接、道民に向けて、何が正しい情報なのかを発信するなど、毅然と対応すべきと考えます。
道がこうした情報を発信する場合には、もちろん、報道の自由を尊重する必要があり、取材現場を必要以上に萎縮させることはあってはならず、最大限の配慮が必要であることは言うまでもありません。
その一方で、繰り返しになりますが、誤った情報が修正されずに道民の間に定着してしまうような事態は見過ごすことができません。
知事は、道の政策や知事の言動などに関し、誤った報道がなされたまま放置されるような状況について、どのような認識を持ち、その是正にどう取り組む必要があると考えているのか、お聞かせ願います。

○鈴木知事
道政情報の発信についてでありますが、道政上の重要課題に的確に対応していくためには、道民の皆様と正確な情報を共有し、御理解、御協力をいただくことが重要であると考えます。
報道機関においては、様々な取材に基づいた内容を、それぞれが責任を持って報道されているものと考えておりますが、事実と異なる報道や、明らかに誤解を与えるような報道があった場合には、道から報道機関に対して申入れなどを行ってきたところであり、これまで、内容の訂正や削除、申入れ内容の社内における共有の徹底など、対応が取られてきたものと承知をしております。
今後とも、私自身の記者会見はもとより、広報紙や広報番組、SNSなど、道が有する様々な情報発信の手段も最大限活用するとともに、報道内容によっては、道の考え方や事実関係を報道機関に申し入れるなど、道民の皆様に対し、より正確な情報をお伝えするように努めてまいります。

○太田憲之委員
東京証券取引所に上場しております企業などでは、投資の判断上、重要な情報を開示することとされており、正確でない情報が報道されたような場合にも、訂正内容に関する正確な情報がインターネット上で直ちに発表されます。
こうした民間の対応が当たり前となっている状況を踏まえて、より一層高いレベルの公共性が求められる道の情報が、道民に誤解されることがないよう、しっかりと対応していただきたいと考えます。
特に、さきの質問でも言いましたが、知事が発する言葉の影響力は大変に大きいものがございますので、知事自らが議会の議論の場で訂正するようなことがないように、しっかりと今後も努めていただきたいと思います。この点に関しましては、今後も議論させていただきたいと考えますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

最後に、官民連携の推進についてであります。

各部審査では、官民連携の推進のための研修事業を通じて、庁内で人材が育ってきつつあることや、今後、一元的な基金管理体制を整える方針も示されました。
今後、企業版ふるさと納税による企業からの寄附の拡大など、官民連携の一層の強化に向けた取組が積極的に展開されることを大いに期待するところでありますが、実際には、新型コロナウイルス感染症に日々向き合い、奮闘する医療従事者の方々などを支援するために寄せられた寄附を除くと、寄附集めは苦戦しているのが実態であることも明らかになったところであります。
新型コロナウイルス感染症は、企業活動にも大きな影響を与えており、こうした時期に、金銭的な負担を伴う協力を民間企業に求めるのは大変に難しいものであると考えますが、例えば、ウポポイのPR活動に協力していただいた民間企業の例などもございます。こうした形での協力も、金銭でははかり難い、大きな貢献であると考えます。

知事は、この一年の官民連携の取組をどのように振り返り、今後、ほっかいどう応援団会議などを含む官民連携にどのように取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。

○鈴木知事
官民連携についてでありますが、ほっかいどう応援団会議の立ち上げ以降、道や市町村が直面する課題に対して、道内外の多くの企業等の皆様から、資金面での支援やタイアップ事業による応援をいただいており、例えば、昨年度、本道の企業版ふるさと納税の実績が全国で1位となるなど、官民を挙げての取組が進んできているものと認識しております。
私としては、新型コロナウイルス感染症により、地域が大きな影響を受ける中、これまで培ってきた、ほっかいどう応援団会議のネットワーク等を最大限活用しながら、テレワークやワーケーションなど、ウィズコロナにおける企業の新たな動きを、道や市町村が取り組む、関係人口の拡大といった地域課題の解決に向けた事業に結びつけるなど、行政と企業の双方の強みを生かしたチャレンジをさらに積み重ねながら、行政のみならず、企業にもメリットをもたらす実効性のある官民連携の推進に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

○太田憲之委員
新型コロナウイルス感染症の終息が見通せないという状況の中にありますが、こうしたときにこそ、まさしく、ピンチをチャンスに変える強い思いで、官民連携の推進に取り組み、成果を上げていただきたいと考えます。