農政部所管審査
決算特別委員会第2分科会において農政部所管審査を行いました。
◎農業農村整備について
◎国有農地の管理等について
○太田憲之委員
まず初めに、農業農村整備事業についてお伺いをいたします。近年、相次ぐ台風や地震の発生により、農作物への被害を初め、農地や農業用施設にも甚大な被害が発生しております。災害復旧工事は、既に準備を進めていた農業農村整備事業に優先または並行して実施することとなり、特に、昨年は工事の完了前に再び災害に見舞われるなどの対応も重なって、大変御苦労されたと伺っておりますが、生産現場では営農再開に向けて一日も早い復旧を望んでおりますことから、農地等の復旧工事も含めて、農業農村整備事業の状況について、順次伺ってまいります。まず、平成29年度の農業農村整備事業では、平成28年度の台風災害の復旧工事に加えて、大型の補正予算などが措置され、それぞれの工事が行われておりますが、まず、昨年度の農業農村整備事業に係る工事契約件数と金額、災害復旧関係はどのようになっているのか、また、競争入札で実施した件数についても、あわせてお聞かせ願います。
○須藤事業調整課長
工事の契約状況についてでございますが、平成29年度におきまして、道が発注しました農業農村整備事業の工事の契約件数は735件、契約金額は592億400万円となっており、このうち、災害復旧事業につきましては、27年及び28年に発生した台風災害などによる復旧工事として、7件、4億8900万円の契約を行ったところでございます。また、これらの契約に当たりまして実施された競争入札の件数は、620件となっております。以上でございます。
○太田憲之委員
昨年度、農業農村整備事業に係る工事入札では、応札者の集まらない不調や、予定価格を上回り、落札者が決まらない不落が多く発生したとも伺っておりますが、不調、不落の状況と、その要因としてどのようなことが考えられるのかをお聞かせ願います。
○木村技術管理担当課長
入札の不調等の状況などについてでございますが、平成29年度に競争入札を実施しました620件のうち、入札参加者が一者もいない入札不調が22件、入札を実施しましたが、落札に至らなかった不落が6件の計28件が不調、不落となったところでございます。なお、このうち、災害復旧事業の入札での不調、不落はありませんでした。不調、不落の発生要因についてですが、入札辞退者や建設業協会などからの聞き取りによりますと、平成28年8月から9月にかけ、相次いで発生した災害による農地や農業用施設、河川などの復旧工事が、29年度に入り、本格的に実施されたことに伴い、被害の大きかった地域を中心といたしまして、復旧事業以外に回せる技術者や技能労働者が不足したほか、資材、機材の調達においても難しい状況となったことによるものとの意見が出されていたところでございます。以上でございます。
○太田憲之委員
ただいま入札不調と不落の件数を御答弁いただきましたが、予定していたこれらの工事につきましては、その後、どのように対応されたのか、お聞かせ願います。
○足立農政部技監
落札に至らなかった工事への対応についてでございますが、不調、不落となった工事につきましては、入札参加者の等級についての要件緩和や所在地の地域要件を拡大するとともに、可能な限り速やかな工事への着手を図る上から、入札手続の期間を短縮したほか、市町村など関係機関とも密接に連携を図りながら、農家の営農に支障が出ないよう対応に努めたところでございます。
○太田憲之委員
今後、補正予算や胆振東部地震の復旧事業などで農業農村整備事業にかかわります多くの工事が予定されますし、この発注に際して同様の事態が危惧されるところでありますが、災害復旧事業はもとより、農業農村整備事業を円滑に実施するため、今後の工事発注にどのように道は対応していく考えなのか、お聞かせ願います。
○梶田農政部長
今後の対応についてでございますが、農業農村整備事業は、農作業の効率化や生産コストの低減、農作物の収量や品質の向上など、本道農業の競争力の強化を図る上で極めて重要であると認識しております。こうした中、地震により被災した地域におきましては、通常の農業農村整備事業に加え、復旧工事が集中することで技術者の不足や資機材の調達が困難になることも想定されるため、これにより、不調、不落の発生が懸念されるところでございます。このため、農業農村整備事業に関しては、地域の実情に配慮した適切な入札要件の設定や年間の工事情報の早期公表を図るとともに、工事の早期発注や通年施行制度を積極的に活用した工事期間の平準化、発注規模の大型化を行うなどして、技術者や資機材の効率的な活用を図り、被災地における迅速な復旧工事とともに、円滑な執行を推進してまいります。以上です。
○太田憲之委員
この点に関しましては、やはり、業者のほうとしても、今言われたとおりに、技術者の不足や、どうしても資機材が集中することで回せなくて、仕事はあるのに受けられない状況があるということも伺っております。こうしたことが業者のほうで起こりますと、何といっても、生産者にも同時に影響が及びますから、そのあたりについては、道が仲立ちとなって調整し、何とか円滑に進めていただきますようお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。次に、国有農地の管理等についてお伺いをいたします。国は、戦後、自作農の創設や経営安定を目的に、不在地主などの農地を買収し、需要がなく、売れ残った土地につきましては、都道府県に法定受託事務として管理を委ねてきたところでありますが、その根拠となる農地法が平成21年に改正されたことに伴い、これらの国有農地を全て処分することとし、取り組みが進められてきているところであります。国では、国有農地の農業上の利用が可能なものと利用に適さないものに区分し、可能なものは、農地等を効率的に利用して農業を行う者に、適さないものは、旧所有者等に売り払うこととし、平成31年度までに売却不能な国有農地をゼロとするため、所要の手続を実施するとの政策目標を掲げておりますことから、道における対応などについて、何点か伺ってまいりたいと思います。まず初めに、道に管理が委任されております国有農地につきまして、これまでの管理の状況はどのようになっているのか、お聞かせ願います。
○尾崎農地調整課長
国有農地の管理の状況についてでございますが、改正農地法が施行されました平成21年度において、道が管理しております国有農地の面積は約270ヘクタールでありましたが、平成29年度では約246ヘクタールとなっており、過去8年間で、およそ24ヘクタールの減少となっております。また、平成29年度での振興局別に見た場合の管理面積では、最も多いのは後志管内で、全道の約37%を占めており、次に、渡島管内が約26%、宗谷管内が約15%、胆振管内が約11%と続いており、4振興局で、全道の約89%となっております。以上でございます。
○太田憲之委員
それでは、国では、旧所有者等の買い受け意向確認を行い、確認を終えた国有農地から優先して処分を進める方針と聞いておりますが、現在、道が管理している国有農地についてはどのような課題を抱えているのでしょうか、お聞かせ願います。
○尾崎農地調整課長
処分に当たっての課題についてでございますが、国有農地を処分するためには、周辺の土地を含めた国有農地の状況確認はもとより、旧所有者を特定するのに必要な買収等の経緯調査や、隣接地の所有者の承諾を得ての測量、境界確定など、当該国有農地を売却可能な土地とするための業務が必要となっております。こうしたことから、処分に当たっての課題といたしましては、国有農地が一部の振興局に集中している中で、その所在地も管内の市町村に広く点在しておりますことから、利用状況の確認などに多くの労力を要すること、また、買収から相当の期間が経過しており、地番の改正などにより、買収の経緯を把握するのが困難となってきていること、加えまして、測量、境界確定には専門的な知見を持つ者が行う必要があることなどが挙げられます。以上でございます。
○太田憲之委員
では、処分を進める上では、隣接地や権利者の状況調査、測量など、境界確定のためにさまざまな事務が必要となりますことから、管理する道がこれらを円滑に進めるために地元市町村などとの連携が不可欠ではないかと考えます。道では、国有農地の管理、処分をどのような体制で進めていく考えなのか、お聞かせ願います。
○尾崎農地調整課長
国有農地の管理及び処分の体制についてでございますが、国有農地を管理し、処分していく上で、日常的な状況把握や、買い受け希望者等に関する情報収集といったことが重要と考えておりますが、振興局の所在地から遠く離れた場所に点在しているものも多くありますことから、情報収集等を振興局のみで行うことは難しい状況にあります。こうしたことを踏まえまして、道では、地域における農地等の利用関係に知見を有する農業委員会との連携が必要との認識のもと、農業委員会を対象とした研修会を開催し、制度について理解を深めていただくほか、国の交付金を利用して、農業委員会において、国有農地などの状況確認や買い受け希望者に関する情報提供などに御協力をいただいているところでありまして、今後とも、こうした取り組みを通じ、国有農地の管理及び処分を進めてまいる考えでございます。
○太田憲之委員
国が目標としております、平成31年度までに売却不能な国有農地をゼロにし、処分できる状態にするためには、取り組み体制の強化や優先すべき地域の重点化を図るなどして、取り組みを加速化させていく必要があるのではないかと考えます。目標の期限は残り1年余りとなっているところでありますが、道は、今後どのように取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。
○渡邉農業経営局長
今後の対応についてでございますが、国有農地の処分を円滑に進めていくためには、関係機関と連携して、その状況把握を行っていくことはもとより、専門的な知見を有する職員を育成、配置していくことが大変重要であると考えているところでございます。このため、道では、本庁の担当職員を振興局へ派遣し、共同で業務を実施するとともに、専門知識に関する各種研修会を通じて職員の育成に取り組んでいるほか、管理面積の多い振興局におきまして、業務の執行体制の強化に努めるなど、今後とも、国有農地の処分の加速化に向けて、適切に対応してまいる考えでございます。以上でございます。
○太田憲之委員
御答弁をありがとうございます。この国有農地は、非常に管理が難しいというのは存じ上げております。過去にも、まだ利用料を取っていた時代は、利用料の徴収が進まないで滞納がかさんでいたこともありますし、また、別件ではありますが、航空機騒音の緩衝地帯において、無断で畑等に使用されているなど、そういった空き地の管理が非常に難しいという点がございます。しかし、今回の期限も残りわずかとなりましたが、これを契機に、関係機関との連絡調整を密にして、この問題のいち早い適正な処分と解決に向けて取り組んでいただきますことをお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。