胆振東部地震による被災森林について
予算特別委員会第2分科会において水産林務部所管審査の質疑をさせていただきました。
○太田憲之委員
私から、水産林務部が所管する事項につきまして、通告に従い、順次質問をさせていただきます。 初めに、胆振東部地震による被災森林の再生についてお伺いいたします。 昨年9月に発生した胆振東部地震では、安平町や厚真町、むかわ町を中心に、国内の地震としては明治以降で最大規模となる約4300ヘクタールの林地崩壊が発生し、治山施設や林道等の損壊 など、その被害額は511億円に上っていると伺っています。 道と関係機関で構成する胆振東部森林再生・林業復興連絡会議では、被災森林の再生に向けた 対応方針を本年4月に作成し、道は、この方針に基づいて、森林や林道等の復旧、木材の安定供 給などの対策を進めていることから、被災森林の再生に向けたこれまでの取り組みや今後の対応 について、以下、順次伺ってまいります。 まず、地震による山腹崩壊で、付近の人家では、土砂の流出による2次被害の発生が懸念され るなど、地域住民の安心、安全な暮らしが脅かされており、治山施設等の早急な復旧が必要であると考えます。 治山施設等の復旧について、これまでの取り組み状況と今後の見通しをお伺いいたします。
○飯田治山課長
治山施設等の復旧についてでありますが、胆振東部地震では、厚真町を中心 に、林地が広範囲にわたり大規模に崩壊したことから、道では、2次被害の発生を防止し、地域 住民の安全、安心の確保のため、被災した林地や治山施設の187カ所のうち、人家、道路に近接し、緊急的な対策が必要な72カ所を優先して、国の災害復旧事業を活用して復旧を進めており、 これまで、48カ所の工事に着手したところであります。 道といたしましては、引き続き計画的な復旧に取り組み、緊急的な対策が必要な箇所については、令和2年度までに復旧が完了する予定であり、それ以外の箇所は、令和5年度までを集中的 に取り組む期間として、公共事業などを活用して、治山施設の整備を計画的に進めてまいります。
○太田憲之委員
次ですが、森林の復旧のためには、広範囲にわたって損壊した林道等の復旧を早急に行う必要があると考えます。 林道等の復旧に向けた取り組みの状況と今後の復旧の見込みについてお伺いいたします。
○神馬路網整備担当課長
林道等の復旧についてでありますが、厚真町、むかわ町を中心に、 323カ所で林道等の損壊が発生しており、道と町では、このうち、被害規模が大きい69カ所について、国の災害復旧事業を活用し、植林等の森林整備が必要となる箇所から優先して復旧を進 め、市町村への技術的な支援を行いながら、これまで、46カ所の工事に着手したところでありま す。 また、国の災害復旧事業の対象とならない小規模な被災箇所については、激甚災害の指定による充当率の高い地方財政措置を活用するなど、引き続き計画的な復旧に取り組み、令和3年度までに全ての箇所で復旧を完了する見込みであります。
○太田憲之委員
林道等については、323カ所で損壊が発生したとのことでありました。一つ前の答弁で、被災した治山施設などは187カ所、そして、ただいまの御答弁では、損壊した林道等が323カ所ということで、大変多くの箇所で被害が発生していることが確認できました。 現在、復旧作業を進めているということでありますが、作業場所に入れなかったら進んでいかないと思いますので、この点に関して、しっかりと着実に進めていただきたいと考えるところで ございます。 それでは、次ですが、山腹が崩壊し、土砂が流出した箇所について、昨年、私も現地でお話を お伺いした際に、植林しても生育が見込めない場所もあるのではないかという声を耳にしました。 道では、崩壊した林地への植林や緑化など、森林の造成をどのように進めていく考えなのか、 お伺いいたします。
○本間林務局長
森林の造成についてでありますが、広範囲にわたって崩壊した林地の早期復旧に向けて、治山事業により復旧する箇所を除いた、奥地等にある林地につきましては、現地の被害状況に応じて効率的な復旧方法を検証し、森林の造成を進める必要があると考えております。 具体的には、表土が残っており、樹木の生育が見込めない林地につきましては、被害木を速やかに整理、搬出し、必要に応じて植林を進めるとともに、表土が流出し、そのままでは樹木の生育が難しい林地につきましては、道総研林業試験場と連携しまして、道有林や町有林をフィールドとして、土壌の透水性、斜面の安定性、土壌改良の有無など、生育条件が異なる試験区を設定しまして、植林や緑化等の方法に関する実証試験を行い、その成果を踏まえて、崩壊した林地の状況に応じて、順次、森林の造成を進めてまいります。
○太田憲之委員
確認ですけれども、表土が残っているところと、表土が残っていないところということだったのですが、もう一度、確認してもよろしいでしょうか。
○本間林務局長
具体的には、表土が残っており、樹木の生育が見込める林地につきましては、被害木を速やか に整理、搬出し、必要に応じて植林を進めるとともに、表土が流出し、そのままでは樹木の生育 が難しい林地につきましては、道総研林業試験場と連携し、道有林や町有林をフィールドとしま して、土壌の透水性、斜面の安定性、土壌改良の有無など、生育条件が異なる試験区を設定しまして、植林や緑化等の方法に関する実証試験を行い、その成果を踏まえまして、崩壊した林地の 状況に応じて、順次、森林の造成を進めてまいる考えでございます。
○太田憲之委員
それでは、次ですが、被災地では、長年大切に育ててきた森林が大きな被害を受けたことから、その所有者は、将来の林業経営に大きな不安を抱えていることと思います。 このような所有者に対して、道として、これまでどのように対応してこられたのか、また、今後どう対応していく考えなのか、お聞かせ願います。
○山畔森林活用課首席普及指導員兼林業普及担当課長
森林所有者への対応についてでありますが、道では、被災した森林の所有者の約430名のうち、治山事業により復旧が予定されている森林の所有者や連絡がとれない所有者等を除いた約220名の全ての方を対象に、地震発生以降、個 別に訪問するなどして、所有森林の被害状況を詳細に説明するとともに、今後の森林の経営相談を行ってきたところでございます。 その結果、多くの方々が今後も森林の経営を継続したい意向であることを確認しており、道といたしましては、引き続き、市町村や森林組合と連携し、国の補助事業等により、所有者の負担の軽減を図りながら、路網の復旧にあわせた被害木の整理や、植林等の実証試験の成果を踏まえた施業の提案を行い、将来にわたって林業経営が継続されるよう取り組んでまいります。
○太田憲之委員
現場では、かなりの量の倒木等が発生しているとのことでありますが、私も、 昨年、実際に現場に行きまして、流木や倒木の多さを確認したところであります。その際に、何とかそれらを有効に活用できないかという関係者の声も耳にしているところであります。災害復 旧工事を進めるに当たりまして、これらの倒木等を有効利用することが求められているものと考えます。 これまでの倒木等の処理の状況と、今後、どのように処理を進めていくのか、道の考えをあわせてお聞かせ願います。
○工藤林業木材課長
倒木等の有効利用についてでありますが、道路や農地に流出した倒木等について、道では、復旧工事の発注者である国や道、市町村と、利用者である製材工場等の連携協定に基づき、有効利用に取り組んでおり、発注者が倒木等を土場に集め、その後、利用者が加工 施設に運搬し利用するなど、関係者が連携した取り組みが進められております。 これまでに、約2万立方メートルが、製材や木質ボード、木質バイオマス燃料等に利用されており、道としては、今後、復旧工事が本格化することから、こうした取り組みを一層進めるなど、国有林や関係団体とも連携を図りながら、被災地の製材工場等が、倒木等を含め、原木を安 定的に確保できるよう積極的に取り組んでまいります。
○太田憲之委員
地震発生から10カ月余りが経過し、森林の復旧に向けた取り組みも徐々に進んでいるところでありますが、被災した地域の方々が安心して暮らせる環境を確保し、地域の林業生産活動や木材産業を継続させ、震災からの復興を実現していくためには、関係者が、相互に連携しながら、今回の地震を象徴する山腹崩壊により喪失した森林を着実に復旧していくことが重要であると考えます。 道では、被災森林の再生に向けて、今後、どのように取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。
○中田水産林務部長
森林再生に向けての今後の取り組みについてでありますが、地震により甚大な被害が発生した胆振東部地域は、林業・木材産業が基幹産業となっており、森林の復旧を通 じて、林業生産活動が継続的に行われ、震災復興につながるよう取り組んでいく必要があります。このため、道では、本年4月に策定した対応方針に基づき、治山施設や林道等の早期復旧を図るとともに、林道の復旧状況や植林などに係る実証試験の成果を踏まえ、国の補助事業により、 所有者の負担の軽減を図りながら、被害木の整理や森林の造成を計画的に進めてまいる考えです。 また、道路などに流出した倒木等を速やかに撤去し、製材や木質バイオマス燃料などに活用しながら、製材工場などが原木を安定的に確保できるよう、関係機関と連携を図り、被災森林の再 生と地域の林業・木材産業の振興に向けて、各対策が着実に進むよう取り組んでまいります。
○太田憲之委員
崩壊した山腹にかかわる森林の復旧はもちろんのことでありますが、被災した森林の所有者の 負担の軽減や倒木の有効活用など、課題は多いものと考えます。道においては、これらにしっかりと取り組むよう指摘をさせていただきまして、次の質問に移ります。 それでは次に、北の森づくり専門学院の開校準備についてお伺いいたします。 本道の人工林が利用期を迎える中、森林資源の循環利用を着実に進めていくためには、林業・ 木材産業を支える人材の育成確保が急務であり、道では、道内外から意欲ある人材を確保育成するために、北の森づくり専門学院を来年4月に開校することとし、現在、その開校準備を進めて いるところと伺っております。 全国各地から幅広く入学者を確保し、地域に根差した人材を育てていくためには、本道の特性を生かしたカリキュラムやオール北海道の運営体制を構築するなど、北海道らしい魅力ある学院づくりが求められますが、開校まで280日余りであり、準備を一層加速させていく必要があると 考えますので、以下、順次伺ってまいりたいと思います。
まず、先月、開校300日前のキックオフイベントといたしまして、道と道立総合研究機構との、北の森づくり専門学院にかかわる連携協力に関する協定書の締結式が行われ、そこでは、学 生の募集要項や教育基本方針、校舎の外観イメージなども発表されたところであります。 何よりも、学生を確保する上で、カリキュラムを初めとする学院の魅力を広く知ってもらうことが重要であると考えますが、道では、来年4月の開校に向けて、学院の魅力など、入学者の確 保に向けた情報発信などにどのように取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。
○土屋人材育成担当課長
学院の魅力発信などについてでありますが、道では、安定的な入学者の確保を図るため、本道の森林、林業・木材産業の特色を生かして、林業経営などの専門知識 や、全道各地の多様なフィールドでの技術の習得、さらには、森や木に触れ親しみ、豊かな心を 育む木育などを学ぶ学院の魅力につきまして、パンフレット、ポスターの配布や、テレビ、新聞 などのメディア広告、さらにはホームページやSNSでの発信など、8月より、順次、多様なツールを活用し、道内外に広く発信していくこととしております。 また、100年先を見据えた森林づくりにやりがいを感じていただき、学院への入学につながる よう、秋には、学院の紹介、林業の現場体験などを行うオープンキャンパスやPRキャラバンについて、道内の森林科学科を有する農業高校はもとより、普通高校の生徒、U・Iターン希望者などをターゲットといたしまして、旭川市、札幌市などの道内の都市部や首都圏で開催するなど、学院の認知度の向上や魅力発信に取り組んでまいる考えであります。 以上でございます。
○太田憲之委員
学生の募集につきましては、多様な人材を確保するために、幅広く、道内外か らの受け入れを進める必要があると考えますが、道では、どのように学生を募集し、40人という定員を確保していく考えなのか、お聞かせ願います。
○土屋人材育成担当課長
学生の募集についてでありますが、道では、本道の林業・木材産業等 への就業を希望し、主体性を持って学ぶ意欲にあふれた多様な人材を道内外から広く確保するため、先般、学生の募集要項を公表したところでありまして、パンフレットの配布やメディア広告 のほか、オープンキャンパスなどにより、学院の魅力を発信することとしております。 また、地域に就業する人材を確保するといった観点から、地域の高等学校、企業、団体などから推薦された者の入学試験を本年10月に札幌市や東京都において実施するほか、11月には、一般 入学試験を、札幌市を初め、旭川市や帯広市など道内の5都市のほか、東京都において実施する など、道内はもとより、道外からも広く学生を募集してまいる考えであります。 以上でございます。
○太田憲之委員
札幌市、旭川市、帯広市など道内の5都市や東京都など、道内外から広く学生 を募集するとのことでありますが、当然、カリキュラムを初め、魅力ある内容でなければ、人は 集まらないと考えるところであります。 そこで、北の森づくり専門学院の教育基本方針について、卒業認定や教育課程、入学者受け入れに関する方針を三つのポリシーとして設定し、入学から卒業までの一貫した教育システムを構築すると伺っております。 中でも、カリキュラム・ポリシーについては、「的確な森林調査・プランニング力」など四つ の柱を中心としたカリキュラムを編成し、2年間の講義や実習を通して、必要な専門知識や、基 礎から実践までの技術、地域づくりに貢献できる能力を体系的に身につけることとしておりますが、道は、具体的に、フィールドの確保や外部講師の配置なども含め、北海道らしい魅力あるカ リキュラムをどのように編成しようと考えておられるのか、考えをお聞かせ願います。
○岡嶋森林計画担当局長
カリキュラムの編成についてでありますが、先般取りまとめた教育基本方針では、森林づくりの基礎知識や実践的な技術を習得できる一貫した教育システムにより、 1年次に、基礎的な知識や技術を身につけ、さまざまな資格を取得させ、2年次に、インターンシップや地域実習により実践力を養成することとしており、全道各地の多様な森林をフィールド とした実践実習や、地域の課題の解決に向けてみずから考える力を育むプログラム、さらには、 ICTを活用したシミュレーターにより高性能林業機械の操作を習得できるよう、フィンランド の教育プログラムを導入するなど、魅力あるカリキュラムを編成してまいる考えであります。
また、カリキュラムの実施に向けて、地域や産学官との連携協力体制を構築し、実習フィールドとして、道有林はもとより、市町村有林や国有林などを活用するほか、専門性、先進性が高い分野につきましては、外部講師として、道総研を初め、業界団体などの職員を確保し、北海道らしいカリキュラムを実施できる体制を整備してまいる考えであります。 以上でございます。
○太田憲之委員
道立総合研究機構の林産試験場内に隣接して整備する新校舎の外観イメージが コンピューターグラフィックで示されて、開校の機運も盛り上がってきているところでありますが、新校舎はもとより、既存施設の活用も含めて、道はどのように整備を進めることとしているのか、お聞かせ願います。
○土屋人材育成担当課長
施設の整備についてでありますが、道では、道総研林産試験場の庁舎について、第1期生が学ぶ校舎として、講堂や図書室などを活用するとともに、来年1月の完成 を目指して、庁舎の一部を改修し、教室や職員室などを整備することとしております。 また、学生が基礎的な知識や技術を確実に身につけることができるよう、森林環境譲与税や国の事業等を活用しながら、第2期生が入学する令和3年4月までに、林産試験場の敷地内に、教室や実習室などを備える新校舎のほか、チェーンソーの基本操作の練習などを行う屋外の実習場等を整備することとしており、道産CLTやコアドライなどをモデル的に活用し、校舎自体を、木材の特性や利用方法を学ぶ場とするなど、道産木材を積極的に利用した、ぬくもりのある学びやとなるよう、整備を進めてまいる考えであります。 以上でございます。
○太田憲之委員
充実したカリキュラムも必要でありますが、魅力あふれる学びやとするために、施設整備も重要であると考えますので、この点につきましても着実に進めていただきたいと考えます。 それでは、次ですが、北の森づくり専門学院を円滑に運営していく上でも、実践教育に必要不可欠とされます、地域や産学官との連携協力体制をしっかりと構築していく必要があると考えます。 道は、さまざまな関係者との連携体制をどのように構築していく考えなのか、お聞かせ願います。
○岡嶋森林計画担当局長
地域や産学官との連携体制についてでありますが、学院において、入学者の受け入れから、カリキュラムの実施、卒業後の就業先の確保まで、一貫した教育システムを構築するためには、地域や産学官の関係者との密接な連携が不可欠と認識をしております。 このため、先般、道総研との間で、研究成果等を活用した教育プログラムなどについて連携協定を締結したところであり、今後、年内をめどに、林業・木材産業などの関係業界と、学生の修学支援等について連携協定を締結することとしております。 さらに、実践実習やインターンシップ等を行う7地域との間では、フィールドや施設、外部講師などの確保に向けて、また、森林科学科を有する農業高校や大学等の教育機関との間では、教育ノウハウの共有などに向けて、連携会議を開催するなど、地域や産学官とのオール北海道によ る運営体制を構築してまいる考えであります。 以上でございます。
○太田憲之委員
開校まで280日余りとなりました。今後、限られた時間の中で、具体的なカリキュラムの内容や周知に向けたPR活動、オール北海道での運営体制の構築など、しっかりと準備を進めていく必要があると考えます。 北海道の豊かな生態系を育む森林を守り育て、将来の世代に引き継いでいく、100年先を見据えた森林づくりを推進するという学院の理念の実現に向けて、道は、今後、開校準備などにどのように取り組んでいくのか、お聞かせ願います。
○本間林務局長
今後の取り組みについてでありますが、道では、次代の森林づくりを担う人材を育成するためには、道内はもとより、道外からも入学者を広く確保し、本道の広大な森林をフィールドとして実習などを行い、全道各地への就業につなげることが重要と考えております。 このため、道といたしましては、入学者の確保に向けて、多様なメディアを活用した情報発信やPRキャラバンなどを展開し、学院の認知度の向上を図りながら学生募集を進めるとともに、 林業・木材産業の即戦力となり、将来の森林づくりを見据え、企業等の中核を担う人材を育成す るため、実践力を養成する道内各地での実習や、さまざまな資格の取得を初め、ICTを活用した最先端技術、豊かな心を育む木育など、北海道ならではの魅力あるカリキュラムを編成するほか、道産木材を活用した校舎等の計画的な整備や、オール北海道による連携協力体制づくりを進 めるなど、令和2年4月の開校に向けて取り組みを一層加速してまいる考えでございます。
○太田憲之委員
有用な人材を道内外から広く募るということでありますが、今、高卒だけではなく、大学を卒業した後に就職の道に迷って、いろんな専門学校に入るというパターンもあるやに聞いています。そういったことで、大学を卒業してまだ進路先が決まっていないという人材もいることも踏まえて、そういう方にも幅を広げていただければなと思うところでございます。 また、道独自の特色あるカリキュラムや魅力ある校舎をこれからつくっていくことと思います が、そういったことがうまく成功し、道内外から視察等が来るような魅力ある学院にしていただきたいなと思うところでございます。 将来の本道の森林づくり、林業・木材産業の担い手となる人材を育成するためにも、開校までの限られた時間の中で、しっかりと準備を進めていただきますことをお願い申し上げまして、次の質問に移ります。
それでは最後に、全国育樹祭の本道開催についてお伺いをいたします。 道では、昨年6月に、第44回全国育樹祭の開催理念やコンセプト、開催場所などの基本的な事項を示す基本方針を決定し、各界各層の代表者で構成する北海道実行委員会で、行事のフレーム や会場整備の方向などについて検討を重ね、基本計画として取りまとめており、その概要が先月 19日の水産林務委員会に報告されたところであります。本道では、昭和62年以来、33年ぶり、2回目の全国育樹祭とのことであり、昨年12月には北海道植樹の日・育樹の日条例が制定され、道民全体で森林づくりを考える新たな時代を迎えているものと思います。 これを契機に、森林づくりに関する基本理念や基本的な施策などを示した北海道森林づくり条例の取り組みをより一層推進する必要があると考えますので、以下、育樹祭について、順次お伺いをいたします。 まず初めに、開催まで1年余りとなった全国育樹祭のこれまでの準備状況についてお聞かせ願います。
○佐々木全国育樹祭推進室参事
これまでの準備状況についてでありますが、全国育樹祭の本道 開催が、平成29年8月に決定されたことを受け、道では、昨年4月に全国育樹祭準備室を部内に 設置し、6月には、開催理念や、お手入れ、式典会場などの大枠を定めた基本方針を決定したほか、林業関係団体はもとより、経済、教育、報道など、幅広い分野の機関、団体の106名で構成 いたします北海道実行委員会や、式典や記念行事などの内容を検討する三つの専門委員会を設置し、大会テーマやシンボルマークを選定するとともに、PRポスターなどを活用した各種イベントでの周知を進めてまいりました。 また、今年度に入りましてからは、先月18日に、実行委員会総会において、各行事のフレームや会場整備の方向性などを定めた基本計画を決定するなど、開催に向けた準備を、計画的、着実に進めてきているところでございます。
○太田憲之委員
育樹祭をより実りのある大会とするためには、大会が目指す目標を道内外に明らかにして大会に臨むことが重要であると考えます。 先月まとめられました育樹祭の基本計画の開催方針や行事の概要についてお聞かせ願います。
○佐々木全国育樹祭推進室参事
基本計画についてでありますが、第44回全国育樹祭の大会テー マを「つなごう未来へ この木 この森 この緑」とし、開催の方針といたしまして、森や木に触れ親しむ取り組みを通じて、本道発祥の木育の取り組みを一層推進し、道民一人一人に浸透させていくこと、北海道の魅力やすばらしさを、おもてなしの心で、全国から参加される方々に伝 えていくこと、育樹祭開催後においても、全道各地で育樹活動などが継続され、取り組みの輪が 全国へと広がる契機としていくことを掲げたところでございます。 この方針に基づきまして、式典行事は、北海道立総合体育センター ―北海きたえーるを会場に、皇族殿下の御臨席のもと、約5000人規模で開催し、北海道らしいアトラクションのほか、 木育を体感したり、北海道の農水産物を堪能できるコーナーなどを設け、道内外から参加される方々を歓迎いたします。 また、お手入れ行事につきましては、平成19年に、第58回全国植樹祭が行われた苫小牧市の苫 東・和みの森を会場に、大会長の参議院議長や関係機関・団体の代表者など約200名で開催し、 皇族殿下による樹木のお手入れ行事や、参加者による記念育樹を実施いたします。このほか、林業機械などの展示・実演会を苫小牧市で開催するとともに、育林技術交流集会や緑の少年団活動発表大会を行うなど、道内外から、より多くの方々が参加できる大会を目指すこととしております。
○太田憲之委員
広大で魅力ある多様な森林を有する本道では、それぞれの地域で、道民一人一 人が気軽に育樹等に参加して、森林づくりの活動や木育を体験できる機会を創出することが重要であると考えます。 関係者のみならず、道民の育樹祭への参加機会の拡大について、道としてどのように考えているのか、見解をお聞かせ願います。
○鈴木森林環境局長兼全国育樹祭推進室長
道民の参加機会の拡大についてでありますが、より 多くの方々に育樹の大切さを思い抱いていただくためには、全国育樹祭の開催や、「植樹の日」、「育樹の日」の制定を契機に、全道各地で、誰もが気軽に参加できる森林づくり活動や木育イベントなどの行事に取り組んでいくことが必要と考えております。 このため、基本計画では、全道各地におきまして、国や市町村、団体、企業などと連携しながら、地域の特色を生かしたさまざまな取り組みを実施していくこととしており、例えば、渡島・ 檜山管内では、杉、ヒノキアスナロなど道南特有の木や森を体感する育樹活動と木工体験、釧路・根室管内では、酪農や水産業の環境を守るための自然との共生を目指す植樹・育樹活動を行うなど、道民の皆様が身近な場所で気軽に森や木と触れ合うことができる機会を創出してまいる考えであります。 以上でございます。
○太田憲之委員
来年の全国育樹祭を、道内外から参加する方々の記憶に残る大会とするためには、開催に向けた機運の醸成はもとより、会場等の整備なども今からしっかりと進めていく必要があると考えます。 道は、今年度の取り組みをどのように進めていくのか、お聞かせ願います。
○鈴木森林環境局長兼全国育樹祭推進室長
今年度の取り組みについてでありますが、道としては、基本計画に基づき、さまざまなイベントや行事を実施し、開催に向けた機運を積極的に盛り上げ、道内外から多くの方々に参加してもらう大会にすることが重要と考えております。このため、「植樹の日」、「育樹の日」の制定後、初めてとなる10月の育樹月間には、開催1年前のキックオフイベントや、お手入れ会場となる苫東・和みの森におきまして、第70回北海道 植樹祭・育樹祭を開催するとともに、全道各地での育樹等のイベントもスタートさせるなど、さまざまな取り組みを実施してまいる考えでございます。 また、本年12月に沖縄県で開催される第43回全国育樹祭には、知事が出席し、北海道開催の抱 負を述べることとしており、さらには、お手入れ会場の樹木の管理や、周辺の景観、環境に配慮した駐車場等の整備などにつきましても、計画的に進めてまいる考えでございます。 以上でございます。
○太田憲之委員
第44回全国育樹祭を成功させるためには、しっかりとした運営体制を整え、基本計画に掲げる目標が達成できるよう、万全な準備を進めていく必要があると考えます。来年秋に迎える大会の成功に向けての部長の決意を最後にお聞かせ願います。
○中田水産林務部長
開催に向けた今後の対応についてでありますが、来年秋に開催される全国育樹祭は、協働による森林づくりや本道発祥の木育について、道民を初め、全国へ発信する絶好の機会でありますことから、より多くの方々が参加し、記憶に残る大会としていくことが重要と考えております。 このため、6月には、担当職員を増員し、行事の詳細、運営方法などを定める実施計画の策定 や、お手入れ会場の整備などの取り組みを本格化させたほか、10月からは、1年前のキックオフイベントや、全道各地でのさまざまな取り組みを通じて、開催機運をさらに盛り上げてまいる考えです。 また、来年4月には、知事を本部長とし、700名規模の庁内横断的な実施本部を立ち上げるなど、運営体制を充実させることとしており、私としては、本道の豊かな森林を将来へと引き継げるよう、大会の成功に向け、関係者と一丸となって万全の準備を進めてまいります。 以上でございます。
○太田憲之委員
この大会は、道民を初め、全国に、木育や育樹活動の取り組みなどを発信する絶好の機会でありますので、ぜひとも、大会の成功に向けて準備を進めていただきますことを期待して、私の質問を終わります。