農政部所管審査

2017年03月16日

予算特別委員会において以下の質問をさせていただきました。

 1.6次産業化の推進について
 1.農畜産物の輸出促進について
 1.産業用ヘンプについて
 1.薬用作物について
 1.ホッカイドウ競馬と馬産地の振興について 

道議太田憲之

 本道農業は、我が国最大の食料供給地域として、食料自給に大きく貢献しているものの、今後、担い手の減少や高齢化の進行、グローバル化の進展など、将来の本道の農業、農村の行方に懸念を持たざるを得ない状況にあると考えます。
 こうした状況を打破するために、本道農業が農産物を安定的に生産し、道民のみならず、全国の消費者の皆さんにお届けしていくことはもとよりでありますが、安全、安心で高品質な農産物づくりができる本道の優位性を最大限に生かし、こうした農産物に付加価値を高める取り組みをより一層推し進めていくことが重要であると考えるところでございます。  こうした中、道では、昨年3月に、今後の5年を見据えた第5期の北海道農業・農村振興推進計画を策定し、公表しているところでありますが、この中では、道内の農業・農村地域の経済活性化につなげるため、6次産業化の重要性を示しているところであります。
 6次産業化の推進については、昨年の予算特別委員会で私からも質問させていただき、道としての推進に向けた考えを御答弁いただきましたが、農業者の方々が、単に農産物を生産するだけにとどまることなく、加工や直接販売をするなどして付加価値を高めること、また、農業者の方々が、商工業者の方々と連携して、みずからの生産物を、加工や流通などの事業者などとともに磨き上げて商品化して付加価値を高めることなど、さまざまな取り組みが想定されるところでございます。
 私の地元・千歳におきましても、泉郷に花茶という人気のファームレストランがあり、自家製のイチゴやトウモロコシ、ジャガイモを使ったジェラート、また、ピザやパスタなどを販売しております。  また、近くには、ふれあいファームいずみという、自分のところでとれたソバを手打ちのそばの麺にして提供しているところがあるなど、体験農園や直売所などが多く開設されて、都市型近郊農業の強みを最大限に生かして、札幌圏を初めとした消費者の皆様から好評を得ておりまして、6次産業化が成功している地域ではないかと考えるとともに、こういった農家が地域にいることを頼もしく思う次第でございます。  しかしながら、6次産業化の取り組みは、農業者の誰もが取り組めるほど簡単なものではなく、農産物の生産のみならず、加工や販売にまで取り組みを広げていくためには、技術や販路の確保の難しさなどといった課題があることは認識しているところでございます。
 そこで、6次産業化の推進について、順次お伺いをしていきたいと思います。
 まず、道では、これら6次産業化に取り組もうとする農業者などが抱えるさまざまな問題に対応し、6次産業化を推進するため、6次産業化サポートセンターを設置していると伺っておりますが、この6次産業化サポートセンターは、どのような体制のもとで取り組んでおられるのか、また、どのような活動をしているのか、お聞かせ願います。

6次産業化担当課長中島和彦

6次産業化サポートセンターについてでありますが、道では、平成25年度から、6次産業化サポートセンターを設置して、その運営を北海道中小企業総合支援センターに委託いたしまして、農林漁業者等の6次産業化に向けた取り組みを促進しているところでございます。
 サポートセンターでは、商品開発やマーケティングなどを総合的にコーディネートする6名の企画推進員を常時配置いたしまして、6次産業化・地産地消法を踏まえ、農林水産物等の生産、加工、販売を一体的に行う総合化事業の計画策定に対する支援などを行っているところでございます。  また、地域でのきめ細やかな対応を行うため、道内の6カ所に支部を設置するとともに、中小企業診断士とか税理士など、専門的な知識を有する方々を6次産業化プランナーとして登録し、個別の相談対応等を行っているところでございます。

道議太田憲之

 ただいま、6次産業化サポートセンターの体制について御答弁いただいたところでありますが、企画推進員の常時配置や、地域の6カ所に支部を置いているなど、きめ細やかな対応をしていることについては評価できるところであります。
 そこで、6次産業化サポートセンターの取り組みにおいて、これまで、道内ではどのような実績が上げられているのか、お聞かせ願います。

中島6次産業化担当課長

 6次産業化サポートセンターの実績についてでございますが、サポートセンターにはさまざまな相談が寄せられておりまして、その件数は、平成26年度から28年度までの3カ年で、毎年、1000件を超えている状況にございます。
 その内訳としましては、約半数を農産物が占め、次いで、畜産品、水産品の順となっており、また、その内容としては、事業計画の策定や商品開発、販路開拓に関するもののほか、国の支援策など、6次産業化の制度についての相談も寄せられているところでございます。
 こうした活動によりまして、JAによる枝豆の冷凍加工、販売や、畜産農家の焼き肉レストランの開設、農業生産法人による半生そばの製造、販売など、3年間で22件の取り組みが事業計画の認定となっており、国の支援や専門家のサポートを受け、具体的な事業が進められているところでございます。

道議太田憲之

 ただいま、毎年、1000件を超える相談が寄せられているという御答弁がありました。その結果として、法に基づく総合化事業計画の認定が3年間で22件ということで、若干少なく感じますが、それだけ、1000件ある中で、成功、認定をさせていくのはなかなか難しいのではないかと思うところでもあります。
 6次産業化は、地域の活性化を図る上で大変重要な取り組みであり、技術や販路などの課題を解決していくためのサポートを丁寧に行っていく必要があると考えるところでございます。
 道として、今後、6次産業化サポートセンターの積極的な活用も含めて、どのように取り組んでいこうと考えているのか、お聞かせ願います。

食の安全推進局長小野悟

6次産業化の推進についてでございますが、6次産業化は、農林水産物の付加価値を高めることにより、農林漁業者の所得の向上や雇用の確保などを図り、地域経済の活性化につなげていくものでございまして、地域において6次産業化の取り組みを実践できる人材の育成などを積極的に進めることが重要と考えております。
 このため、道では、本年度から、6次産業化サポートセンターにおきまして、経営、マーケティングなどのプランニングに関する研修や、農家レストラン等において食品加工や販売・接客技術などを学ぶインターンシップなどに取り組んでいるところでございまして、今後、受講者の増員を図るとともに、こうした研修の実施に意欲のある民間団体の活動を支援し、新たな研修機会を創出するなどして、担い手の拡大による6次産業化の一層の推進を図ってまいる考えであります。

道議太田憲之

 ただいま、6次産業化の今後の取り組みについて、人づくりを中心としながら、より一層の推進を図る旨の御答弁をいただきましたが、冒頭に申し上げましたとおり、6次産業化は、誰もがそうそう簡単に取り組めるものではないことで、人材育成プログラムを展開して、裾野を広げていくことは大いに賛同できることであります。ぜひ、今後とも積極的に進めていただきますよう、お願いを申し上げる次第であります。
 今後、本道農業は、我が国において、これまで以上に存在感や重要性が高まっていくものと確信しているところでございます。このような中、農業者の方々が自信と誇りを持って営農に取り組んでいくためには、農業所得の向上や地域の活性化につながっていく6次産業化の推進が大切になってくると考えます。
 そのためにも、6次産業化サポートセンターのますます充実した取り組みを初め、6次産業化に取り組もうとする方へのきめ細やかな対応、そして、既に取り組まれている方に対するフォローアップなどにもしっかりと取り組んでいただき、6次産業化の取り組みがさらに進展することを期待して、この件の質問を終わらせていただきたいと思います。
 次に、道産農畜産物の輸出の促進についてお伺いいたします。  現在、我が国では、少子・高齢化の進行により、人口は減少の一途をたどっております。これに伴い、国内の食市場についても縮小することが確実と見込まれており、本道農業への影響も懸念されるところでございます。
 一方、世界的な日本食ブームの広がりや、アジア諸国等における経済発展に伴う人口増加、あるいは、富裕層、中間層の増加といった要因から、特に、ASEAN諸国や中国などの食市場は大きな拡大を見せている状況にございます。
 そのような中、豊かな自然や、安全、安心で高品質な北海道の食ブランドは、海外においてもその強みを発揮するであろうと考えており、北海道の食のブランド力を生かした道産農畜産物の輸出拡大に向けた取り組みは、成長する世界の食市場を取り込み、地域を支える農水産業や食品加工業の発展と力強い地域経済の構築を図る上で、大変重要であると考えているところであります。
 道は、このような背景から、平成28年2月に北海道食の輸出拡大戦略を策定し、公表したところであり、この戦略の中では、平成30年に道産食品輸出額を1000億円とする目標を掲げているところであります。
 この目標とする輸出額の内訳は、水産物、水産加工品で750億円、農畜産物、農畜産物加工品で100億円、その他の加工品で150億円としておりますが、現状、ホタテやサケなどの水産物が全体の8割から9割を占めているところでございます。
 しかし、3年前の爆弾低気圧や昨年の台風の被害によりまして、ホタテの生産量は大きく落ち込んでおり、水産物の輸出額の伸びが大変に厳しい状況の中、農畜産物の輸出拡大にますます大きな期待がかかっている現状であります。
 しかしながら、農畜産物の輸出の現状は、近年の金額ベースでは42億円となっており、内訳としては、ナガイモとタマネギ、ロングライフ牛乳などのミルク類で8割を占めている状況にあります。  私としても、関係者が一丸となって、さらに、米などの新たな品目の輸出拡大についてしっかり取り組んでいく必要があると考えるところであり、以下、順次質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、道では、農業・水産団体と連携して、輸出拡大に向けた道産農水産物のブランド化推進事業に取り組んでいるとのことでありますが、この取り組み内容や成果についてお聞かせ願います。

中島6次産業化担当課長

 道産農水産物のブランド化推進事業についてでございますが、道では、海外における新たな市場や安定的な販路を確保するため、平成27年度からこの事業に取り組んでいるところでございまして、農業団体や水産団体などと連携して協議会を設置し、現地商社などの協力を得ながら、海外でのプロモーションなどを展開しているところでございます。
 平成27年度は、中国の北京におきまして、水産物に米や日本酒などを組み合わせた道産食材のPRを行い、さらに、本年1月には、日本食がブームになっているタイ王国のバンコクにおきまして、道産食材に関心の高い現地の飲食店、商社、メディア等の関係者の約160名の参加のもと、道産農水産物のプレゼンテーションや和食メニューの提供などを行うレセプションを展開したところでありまして、活発な商談が進められ、新規取引につながる動きもあるなど、大きな手応えを得ているところでございます。

道議太田憲之

 ただいま、道産農水産物のブランド化推進事業の取り組みの内容や成果について御答弁いただいたところでありますが、現状、道産食品の輸出の大部分を水産物が占めており、農畜産物はまだこれから輸出を拡大していかなければならない現状であると考えます。
 道では、今年度、農畜産物の輸出拡大に向けた新たな事業に取り組んでいると理解しておりますが、農畜産物の輸出に関して、どのような課題があると捉え、どのような取り組みを行う考えなのか、お聞かせ願います。

中島6次産業化担当課長

 輸出拡大に向けた課題と取り組みについてでございますが、農畜産物の輸出は、ナガイモ、LL牛乳などが主体となっており、その拡大を図るためには、鮮度やコストといった物流面の課題を解消しつつ、海外の食習慣や嗜好を踏まえ、関係者が一体となって、品目や輸出国を広げていくことが重要です。
 このため、道では、本年度、道産農畜産物輸出品目拡大総合事業を実施いたしまして、米、青果物、牛肉などを重点品目として、生産者団体や輸出商社などと連携し、船便による新たな鮮度保持技術の実証や、LCCを活用した低コストな青果物のテスト輸出、中国の上海での、知事による北海道米「ゆめぴりか」のトップセールスや、ベトナムなどでの北海道産牛肉の商談会、さらには、シンガポールにおける日本酒のプロモーションなど、輸出拡大に向けた各般の取り組みを推進しているところでございます。

道議太田憲之

 ただいま、農畜産物の輸出拡大に向けた取り組みについてお伺いいたしましたが、農畜産物の輸出を拡大するには、物流面の課題を解消しつつ、相手国の食習慣などを踏まえながら、品目や輸出先を広げていく必要があるとのことでございます。このような課題を的確に捉えて、北海道のブランド力を生かした取り組みを続けていくことが、輸出目標の達成に必要ではないかと考えるところであります。
 そこで、食の輸出に関する最後の質問となりますが、食の輸出拡大戦略における、農畜産物、農畜産物加工品の輸出額100億円という目標の達成に向け、今後、どのように取り組んでいくのか、その決意についてお聞かせ願います。

農政部食の安全推進監森田良二

 輸出の拡大についてでございますが、本道農業の持続的な発展を図る上で、アジア諸国などへの農畜産物の輸出を拡大していくことは大変重要なことでございまして、これまでの取り組みの実績を踏まえ、北海道という最大のブランド力を生かしながら、より実践的な事業を展開していくことが重要であると認識いたしているところでございます。
 このため、道といたしましては、農業団体など、さまざまな機関との連携を強めながら、商談会を組み合わせた、海外でのより効果的なプロモーションなどを展開するとともに、新たに、輸出国に通年の売り場を設置いたしまして、収穫期に応じた、道産の農畜産物をリレー出荷し、年間を通じた安定的な輸出の促進を図るほか、相手国の検疫などの条件に対応できるよう、道内の食肉取扱施設等の整備を支援するなど、農畜産物の輸出拡大に向け、積極的に取り組んでまいる考えでございます。

道議太田憲之

 ただいま、来年度の新たな取り組みも含めて、推進監より、輸出拡大に向けた決意をお聞かせいただいたところでございます。
 現在、水産物の輸出が大変に厳しい状況にある中、食の輸出拡大戦略における目標の達成に向けた取り組みは非常に困難を伴うものであると思いますが、北海道の食のブランドは、他県にはない、本当に大きな武器だと感じるところでございます。  先ほど言われたように、海外のプロモーションで、飲み物と食べ物のどちらかだけではなく、二つを組み合わせた、例えば日本食とお酒の組み合わせといったことで、1足す1は2ではなくて、より大きな効果を発揮できるものだと思いますので、いろいろ趣向を凝らしたプロモーションを広げていただきたいと思います。
 また、輸出目標の達成に向けて、本道のブランドを生かして、道内の関係者が一丸となった取り組みをこれから行っていただくことをお願いし、この質問を終わらせていただきたいと思います。
 それでは次に、産業用ヘンプについてお伺いいたします。
 これまでも、本会議、そして委員会でるる聞いてまいりましたが、世間を騒がせた事件もあり、マイナスのイメージがついている件ではあるものの、産業用ヘンプについては非常に有用性があるものと考えますので、道としても、これからの可能性をしっかりと検討していただきたいと思い、順次質問させていただきたいと思います。
 まず、道では、これまで、北海道産業用大麻可能性検討会を設置して、産業用ヘンプの栽培の可能性の検討を行っておりますが、道として、この検討会での議論を通じて、どのような課題があると考えているか、お聞かせ願います。

生産振興局長多田輝美

 産業用大麻可能性検討会での議論における課題についてでございますが、産業用ヘンプは、建材とか自動車の内装材、バイオマス資源などとして、有用な畑作物になる可能性がありますことから、道では、平成25年度に、外部有識者や庁内の関係部による検討会を設置し、これまで7回、会議を開催してきたところでございます。
 これまでの検討会を通じまして、試験栽培における生育は良好であったが、繊維原料を確保するための収量性に関するデータ等が明らかになっていないこと、産業用ヘンプの有用性や、関係法令を遵守した栽培であることについて道民の理解が不足していること、さらには、実需者である加工業関係者が、活用するに当たっての考え方などを把握していないことといった課題が明らかになったところでございます。

道議太田憲之

 道内の各地では、産業用ヘンプの栽培に向けたさまざまな動きがあると承知しているところでありますが、道としては、こういった地域の動きとどのように連携していく考えなのか、お聞かせ願います。

多田生産振興局長

 産業用ヘンプに関する道内の取り組みとの連携についてでございますが、道内では、北見市において、産業クラスター研究会オホーツクの構成員が平成18年から試験栽培に取り組んでおり、東川町においては、26年から、地域農業者が、町の委託を受けて試験栽培に取り組んできたところであります。
 また、網走市や白糠町、遠軽町では、将来的な産業化に向けた栽培や試験栽培を目指し、情報収集、体制づくりを検討していると聞いているところでございます。
 道といたしましては、外部有識者による産業用大麻可能性検討会での論議を経て、昨年2月に取りまとめた、今後の取り組み方向の工程表に基づきまして、こうした地域の方々に検討会へ参加していただき、道や各地域の取り組みに関する情報交換や、科学的知見を共有するなどをしてきており、今後とも、連携の一層の強化に努めてまいる考えでございます。

道議太田憲之

 道では、北海道産業用大麻可能性検討会を通じて、関係者と将来の栽培に向けた課題について把握しているところでございますが、平成29年度においてはどのような取り組みを行っていく考えなのか、お聞かせ願います。

農政部長土屋俊亮

 産業用ヘンプの栽培に向けた今後の取り組みについてでございますが、産業用ヘンプは、法律により、栽培や所有などが厳しく制限されてございます。また、道民の理解の促進といった課題もございます。
 そういった中で、ヨーロッパ等では広く栽培をしておりまして、本道においても、建材あるいは自動車の内装材、バイオマス資源などとして、有用な畑作物になる可能性があるというふうに考えているところでございます。
 これまでの産業用大麻可能性検討会では、こうしたさまざまな課題も明らかになりましたことから、来年度においては、消費者団体などの活動と連携して、産業用ヘンプの有用性、そして、関係法令遵守に基づく栽培などに関する小規模なミーティングの開催や、道総研に委託した収量性に関する栽培試験に引き続き取り組みますとともに、検討会において、素材としての産業用ヘンプの評価や活用の可能性などについて、自動車産業あるいは食品加工関係の方々と意見交換を行うこととしているところでございます。
 道といたしましては、昨年策定した、今後の取り組み方向に関する工程表を踏まえて、将来的な産業化も見据えながら、科学的知見を積み重ねて、課題の解決につなげて、産業用ヘンプの栽培に向けた取り組みを着実に進めてまいりたいというふうに考えてございます。

道議太田憲之

 予算案の概要の中にもありますが、新年度においては、道民の理解の促進、収量性の調査、そしてもう一つ、高い壁ではあると思いますが、昨年の道総研の調査結果を裏づける意味で、野生大麻の分析に関してもどうか取り進めていただきますよう、お願いを申し上げて、次の項目に移らせていただきたいと思います。
 次ですが、今年度、薬用作物地域生産モデル構築支援事業がありましたが、新年度では516万円ほどの予算がついております。夕張にも大きな工場がありますが、薬用作物は、収量が少ない割には価値が高く、農家の収益の増大につながるものであり、多くの可能性を秘めているものと考えますので、以下、順次質問をさせていただきたいと思います。
 まず、本道における薬用作物の栽培面積の推移はどのようになっているのか、また、国内の栽培面積のどの程度の割合を占めているか、お聞かせ願います。

多田生産振興局長

 本道における薬用作物の栽培面積についてでございますが、国内外で漢方薬の需要が高まる中、道内各地におきましても、所得確保につながる新たな作物として、薬用作物への関心が高まっており、本道における栽培面積は、近年、増加傾向で推移してございます。
 具体的には、日本特産農産物協会の調査によると、平成21年の212ヘクタールから、25年には323ヘクタールへと、約1.5倍の増加となってございます。
 また、全国の薬用作物の栽培面積は、統計上、最も新しい平成25年で約1408ヘクタールとなっておりまして、本道は、全国の2割強を占めている状況にございます。

道議太田憲之

 栽培面積は増加傾向にあり、今後の成長が期待される品目であるとの道の認識については理解したところでありますが、一方で、さまざまな課題もあるものと認識しております。
 道では、薬用作物の栽培に当たり、生産現場の方がどのような課題を抱えていると認識されているのか、お聞かせ願います。

多田生産振興局長

 生産振興を図る上での課題についてでございますが、近年、道内における薬用作物の栽培面積は増加傾向にありますが、面積別の内訳を見ますと、セリ科のセンキュウが約186ヘクタール、タデ科のダイオウが138ヘクタール、キンポウゲ科のトリカブトが約27ヘクタールと、多岐にわたっております。
 こうした中で、栽培面積の拡大に当たりましては、労働力の負担軽減に向けた農作業の機械化が進んでいないこと、病害虫や雑草の防除に必要な登録農薬がほとんどないこと、さらには、地域に適応した栽培技術の確立や技術者の育成確保などの課題があるものと認識しているところでございます。

道議太田憲之

 薬用作物は、実需者からのニーズが高く、今後の北海道農業の発展に向けた一つの柱になる可能性を秘めていると考えるところでありますが、一方で、先ほど答弁がありましたように、さまざまな問題点があるのも事実でございます。
 今後、地域の可能性を引き出すためにも、薬用作物の産地化に向けて、課題の解決についてどのような取り組みを行っていくのか、また、それによって栽培面積をどの程度まで拡大していく考えなのか、お聞かせ願います。

土屋農政部長

 薬用作物の生産振興についてのお尋ねでございますが、薬用作物は、漢方薬あるいは化粧品、さらには食品などの原料になっておるわけでございますが、製薬メーカーなどからは、大規模で低コスト、さらに、安全、安心な生産が可能な北海道での生産拡大が期待されているところでございます。
 ただ、新規拡大に当たりましては、先ほど局長が答弁したように、機械化が進んでいないとか、登録農薬がほとんどない、技術の確立が難しいなど、課題も多いところでございます。
 このため、道といたしましては、薬用作物の導入を希望する地域の参考となるように、昨年3月、機械化の事例とか農薬の登録の仕組みなどを盛り込んだ「薬用作物導入の手引き」をまとめました。また、今年度からは、モデル事業を立ち上げまして、産地化に向けたモデル地域での取り組みへの支援や、普及指導員の育成、そして、全道での普及拡大に向けたセミナーの開催などを総合的に実施しているところでございます。
 今後さらに、道では、製薬メーカーや農協、市町村、試験場など、関係機関・団体との連携を一層強化して、課題の解決に向けた取り組みを積極的に推進していくことによりまして、平成31年度の薬用作物の作付面積を、現在の2倍の600ヘクタールに拡大してまいりたいというふうに考えてございます。

道議太田憲之

  ただいま御答弁いただきましたが、そのとおりで、大規模で低コスト、安全で安心な生産ということで、非常に注目を集めているところであります。  私の地元の地域の一例として、トリカブトに関して、試験段階では一つの株から多くの薬用効力のある部分がとれたということで、いろいろやったのですが、年度によってその数にむらがあったりして、この技術はなかなかはっきりしないところであります。今、御答弁の中にあったように、普及指導員の数がまだまだ少ないようでありますので、どうやったら収量がふえるか、そういった技術面でのサポートをこれからもぜひしていただきますよう、お願い申し上げて、この件についての質問を終わらせていただきたいと思います。
 それでは最後に、ホッカイドウ競馬と馬産地の振興について、順次お伺いしていきたいと思います。  ホッカイドウ競馬は、全国で唯一、馬産地に立脚する競馬として、健全な娯楽の提供はもとより、雇用や経済への寄与、そして馬産地の活性化に大きな役割を果たしてきたものと考えます。  しかしながら、平成4年のバブル崩壊以降、赤字決算が連続し、平成13年度には28億円もの赤字を出すまでに経営が悪化し、以降、赤字決算が続く厳しい時代が続いたところでございます。
  部長も、この厳しい時期に競馬事業を直接担当したとお聞きしておりますが、経営改善に向けて、ミニ場外馬券発売所の展開や門別競馬場への集約、ナイター化など、さまざまな抜本的改革に取り組んだ結果、競馬関係者の努力と馬産地の協力もあり、平成25年度に、22年度ぶりの単年度収支の黒字を確保するとともに、昨年度の発売額が18年ぶりに200億円を超えるなど、長年にわたる改革が実を結んできたものと考えておりまして、関係者の努力に心から敬意を表する次第でございます。  また、ホッカイドウ競馬は、全国で唯一の馬産地にありますことから、馬主の過半数が生産者であり、市場評価が低い新馬や牝馬を多く受け入れ、軽種馬経営を下支えするなど、産地のセーフティーネットとしての位置づけもあるやに伺っております。
 つまり、ホッカイドウ競馬は、道財政への寄与のみならず、馬産地のためにも持続的に発展していかなければならないものであると考えるところでございます。  しかしながら、ホッカイドウ競馬が好調な一方で、馬産地・日高では、軽種馬生産戸数や繁殖牝馬頭数が減少するなど、生産基盤の弱体化が進んでいるとも聞いており、大変憂慮しているところであります。
 るる申し上げましたが、ホッカイドウ競馬の持続的な発展と馬産地の活性化は、切っても切れないものと考え、以下、順次お伺いをしてまいります。  平成28年度のホッカイドウ競馬の発売額につきましては、当初予算では173億1000万円を目標額としておりましたが、最終的には203億6000万円と、大きく増加しているところであります。
 発売額が大幅に増加した要因と、最終的な収支の見込みについて、まずお聞かせ願います。

競馬事業室長大野克之

今年度の発売額は、ただいま委員から御紹介がありましたとおり、計画を17.6%上回る203億円余りとなってございまして、特に、インターネットや電話投票による発売が計画に比べて126.1%と、大きく上回ってございます。  これにつきましては、JRAのインターネット投票システムを利用した発売が浸透してきたことや、ホッカイドウ競馬においても、レース情報をホームページやSNS等で発信するなど、競馬ファンの方々がスマートフォンとかタブレットなどで情報を容易に得ることができるように努めてきたことなどによるものと考えてございます。
 今年度の最終的な収支見込みにつきましては、先日議決いただいた補正予算において、約8億5000万円の黒字を見込んでおりまして、このうち、約6億6000万円を地方競馬事業経営安定基金に積み立てますとともに、約1億9000万円を過去の一般会計からの借入金の返済に充てることとしているところでございます。

道議太田憲之 

 平成28年度の収支についても黒字が大きく見込まれるとの御答弁でありました。 

 しかしながら、競馬は景気動向に大きく左右されますし、中央競馬やほかの地方競馬、また、競艇、競輪など、ほかの種目との競争もあるなど、気を引き締めて運営していかなければならないという現状にあると考えます。  
これからも好調を持続するという意味で、平成29年度も発売額を確保することが重要であると考えます。 
 ホッカイドウ競馬におきましては、場外馬券の売り上げの稼ぎ頭であった札幌駅前場外馬券発売所の馬券売り場も再開されていない中で、発売面でどのような課題があり、その課題を踏まえて、どのような取り組みを考えているのか、お聞かせ願います。
 また、北海道内の企業や市町村などと協賛競走を実施していると伺っておりますが、その実施状況と効果についてもあわせてお聞かせ願います

競馬事業室参事橋本真明

 発売面の課題などについてでございますが、インターネットや電話投票による発売が増加している一方で、門別競馬場や場外馬券発売所における発売は減少しており、ホッカイドウ競馬が今後とも安定的に事業運営を図っていくためには、道内外の発売所における発売額の確保、拡大が重要と考えております。
 このため、場外馬券発売所――Aibaにおけるファンサービスの充実や、門別競馬場におけるイベントの強化、首都圏や中京圏におけるスポーツ紙への出稿に加え、新たに、ホッカイドウ競馬の特色である2歳馬に視点を当てた情報発信や、地域情報誌を活用したPRなどに取り組み、既存ファンはもとより、新たなファン層の拡大に努めるとともに、休止期間が長くなっている札幌駅前場外馬券発売所につきましても、一日も早く再開できるよう努力してまいりたいと考えております。
 また、協賛競走は、競走名に、協賛団体や市町村の特産品、お祭りの名前などが入っており、今年度は、企業協賛が76団体、105競走、市町村協賛が35市町村、52競走を実施しておりますが、道内はもとより、道外の競馬ファンへのPRにつながっておりますことから、引き続き、市町村や関係団体に呼びかけて、協賛競走の拡大に努めてまいりたいと考えております。

道議太田憲之

 次ですが、ホッカイドウ競馬の発売を確保するためには、発売面でのPRや情報発信のみならず、1レース当たりの出走頭数やレース数などを十分に確保し、競馬に参加するお客様にとって魅力のあるレースをつくっていかなければならないと考えるところであります。
 そういった意味で、今年度の出走頭数などは前年度を下回る結果になったとお伺いしておりますが、その状況と、平成29年度の開催に向けて、どのように取り組んでいくのか、お聞かせ願います。

大野競馬事業室長

 出走頭数の確保についてでございます。  今年度の出走頭数につきましては、延べ約8000頭で、前年度に比べて93%、また、レース数は888レースで、前年度に比べて98%と、ともに前年度を下回る結果となってございまして、魅力ある番組づくりのためには、競走馬の確保が重要と考えているところでございます。
 このため、来年度におきましては、重賞競走の1着本賞金の増額あるいは出走手当の引き上げ、特に2歳馬競走の報償費を充実いたしますほか、今年度から実施している、道外の他主催者からの転厩馬に対する輸送費補助について、これまでは3歳馬に限定しておりましたが、その対象を3歳以上馬にも拡大することにより、馬主や産地関係者の皆さんに広く呼びかけて、入厩馬の確保に努める考えでございます。
 こうした取り組みによりまして、出走頭数を確保し、レースを充実させますとともに、地方競馬で最大級のコースと内回り走路を活用した多様な競走距離を生かすなどして、ファンの皆様に楽しんでいただける魅力あるレースの提供に努めてまいる考えでございます。  

道議太田憲之

 少頭数ですと、新聞の馬柱を見ても寂しいと感じますので、ぜひ、これからも魅力的なレースづくりに注力していただきたいと思うところであります。
 次ですが、ホッカイドウ競馬に関して、るるお伺いしてまいりましたが、出走頭数の確保につきましては、ほかの地方競馬を初め、全国的にも大きな課題になっていると伺っているところであります。その要因について、道としてはどのように分析しているのか、お伺いいたします。

橋本競馬事業室参事

 全国における競走馬の状況についてでございますが、中央競馬全体の登録頭数は、過去10年間、8000頭程度でほぼ一定で推移している一方で、地方競馬の登録頭数は、平成17年の約1万5000頭から、27年には約1万頭へと、大きく減少しております。
 このうち、2歳馬、いわゆる新馬の登録頭数につきましては、中央競馬が、この10年間、4200頭前後でほぼ一定で推移している一方、地方競馬は、平成17年には約3000頭であったものが、27年には1700頭程度に減少しております。
 このように、地方競馬の登録頭数が大きく減少している要因は、中央競馬と地方競馬の賞金に格差があること、また、軽種馬生産頭数が平成17年の約8000頭から27年には約6900頭に減少する中で、毎年の新規登録頭数が減少してきたことの双方によるものと考えております。

道議太田憲之

 今御答弁がございましたが、軽種馬生産に関しては、九州の一部でも行っておりますが、大多数は北海道で行われております。
 そういった中で、日高などの馬産地において軽種馬を飼育している戸数と繁殖牝馬の頭数、そして、馬の生産頭数などの生産基盤はどのように推移してきて、現状、どのような状況になっているのか、お聞かせ願います。

環境飼料担当課長関俊一

 軽種馬の生産状況についてでございますが、本道の軽種馬飼養戸数は、平成17年の1149戸から、平成27年には808戸へと、この10年で約30%減少しております。
 これを、主産地である日高管内で飼養規模ごとに見ますと、繁殖牝馬が16頭以上の大規模層は10年間でほぼ横ばいであるのに対し、10頭から16頭の中規模層は25%減少し、10頭以下の小規模層は34%減少するなど、飼養戸数の減少は、主に中小規模層で顕著になっております。
 また、繁殖牝馬の頭数は、この間、1万151頭から9169頭へと約10%減少しており、年間の生産頭数も7684頭から6702頭に減少しております。

道議太田憲之

 ただいまの御答弁の中で、軽種馬飼養戸数や繁殖牝馬の頭数、生産頭数のいずれも減少したとのことでありましたが、それはどういったことが原因であるか、道は把握されているのか、また、道として、これまでどのような対応をしてきたのか、お聞かせ願います。

多田生産振興局長

 軽種馬生産基盤の課題と対応についてでございますが、軽種馬の飼養戸数や繁殖牝馬頭数などは減少する傾向にございますが、その原因といたしましては、平成元年以降、地方競馬では9主催者が撤退するなど、軽種馬需要が減少していることや、軽種馬生産農家の高齢化、後継者不足などのほか、ほかの経営形態に比べ、高度な専門技術や多額の資金力が必要なことから、新規参入が難しいといったことが考えられるところでございます。
 このため、道といたしましては、軽種馬関係団体と連携しながら、優良繁殖牝馬の導入による、生まれてくる子馬である産駒の資質向上を図るとともに、計画的な草地の整備による良質な自給飼料の生産、昼夜放牧を行うための施設の整備など、生産基盤の強化、軽種馬経営の安定化に取り組んでいるところでございます。

道議太田憲之

 競馬の振興には、その基礎である軽種馬の生産をしっかり守り育てていくことが必要不可欠であると考えます。
 馬産地の生産振興のために、今後、どのような取り組みを進めようとしているのか、部長の見解をお聞かせ願います。

土屋農政部長

 馬産地の活性化についてでございますが、軽種馬の生産国というと、凱旋門賞が行われるフランスとか、ダービーが行われるイギリスのようなところをイメージしますが、実は、日本は、フランスやイギリスを上回る世界第5位の馬の生産国になってございます。
 その99%以上が北海道で生産されておりまして、中でも、日高地域あるいは胆振地域は、馬産地として、関連産業も含めて、重要な基幹産業となっているほか、中央競馬、そしてホッカイドウ競馬を初め、国内の競馬事業を支える重要な役割を果たしているところでございます。
 一方で、さきに委員から御指摘がありましたとおり、中小規模層の生産農家の減少、生産頭数の減少などから、軽種馬生産基盤の強化が求められているところでもございます。
 また、先ほど委員からもお話がありましたように、ホッカイドウ競馬については、馬主の過半数が生産者で、特に、市場で売り切れない牝馬を中心に、みずからが馬主となって走らせるという、生産者のセーフティーネットとして位置づけられておるわけでございます。
 このため、道としては、ホッカイドウ競馬の振興のために、黒字を続けながら、持続発展させていくということを基本に取り組むとともに、先ほど局長から御答弁いたしましたように、強い馬づくりの推進のほか、生産、育成、調教等の分業化による経営の高度化、さらには、肉用牛や野菜を取り入れた経営の複合化を進めるなどして、軽種馬の生産振興、そして馬産地の活性化に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

道議太田憲之

 今御答弁の中にもありましたが、北海道は、全国の軽種馬生産の99%を占めるということで、日本の競馬文化を支えていると言っても過言ではない、こういった状況にございます。  道としても、ホッカイドウ競馬をしっかり支えていくために、さまざまな手だてを講ずる必要があると考えますので、今るる御答弁いただいたことをしっかりと進めていただきたいと思います。  また、ホッカイドウ競馬については、競馬としてもそうですけれども、文化としても非常に魅力的ですし、観光資源としても魅力的なものがあります。ばんえい競馬もそうですけれども、ホッカイドウ競馬では、らちのすぐそばという本当に近くでレースが見られて、臨場感があって、ひづめの響きも体験できるといったことがございます。
 今は、インターネット発売が進んでいるようでありますが、やはり、現地に行って、直接見て馬券を買っていただき、また、国内のみならず、国外の方々にも北海道の文化を見てもらうことによって、ホッカイドウ競馬を大きく振興していく、こういったことにつなげていければなと考えるところでありますので、関係各位の皆様の御協力のもと、ホッカイドウ競馬をますます振興されますよう、お願い申し上げて、この質問を終わらせていただきたいと思います。