歴史・文化・自然「体感」交流空間構想素案について

2018年09月10日

平成30年第12回環境生活委員会 にて歴史・文化・自然「体感」交流空間構想素案について質問させていただきました

○道議太田憲之

 ほっかいどう歴史・文化・自然「体感」交流空間構想のには、野幌森林公園を中心としたエリアの目指すべき姿といたしまして、北海道博物館、開拓の村、百年記念塔などの50年後の姿が描かれ、今後の方向性や具体的な取り組みが掲げられておりますが、北海道百年記念事業の一環として整備されたこれらの施設は、本道の歴史や文化、先人たちの偉業に触れることのできる場として、道民から親しまれ、思い入れの深いものとなっているところであります。
 道は、これらの施設をどのように再生し、次の世代に引き継いでいこうと考えているのか、以下、順次伺ってまいりたいと思います。
 道では、昨年11月に策定いたしました「百年記念施設の継承と活用に関する考え方」をもとに、幅広く意見を聴取し議論を深めながら、今年度中に再生に向けた構想を取りまとめることとしておりますが、今回の構想素案の取りまとめに当たりまして、どのような取り組みを進めてきたのかを初めにお聞かせ願います。

〇高見文化振興課長

 構想素案の取りまとめについてでございますが、道では、昨年11月に今後の議論の方向性を示す「百年記念施設の継承と活用に関する考え方」を取りまとめた後、再生に向けた構想の策定に向けて、さらに幅広い意見を伺う必要があることから、これまでの間、道民ワークショップの開催や、専門家からの意見聴取、大学への出前講座のほか、アンケート調査の実施など、さまざまな取り組みを行ってきたところでございます。
 また、いただいた御意見も踏まえて、より専門的な検討を行うため、本年4月に観光、自然環境、公園、教育などの庁内の関係部局で構成する検討会議を設置したところであり、その中で、公共政策、観光、建築などの各分野の有識者の方々もお招きして、専門的な知見をいただきながら検討を行い、このほど、再生構想の素案を取りまとめたところでございます。

○道議太田憲之

 次に、北海道博物館につきましては、平成27年のリニューアル以降、利用者数も比較的好調に推移しているようでございますが、今回の素案においては、さらなる魅力向上を目指し、さまざまな方々が繰り返し訪れ、親しまれる道民参画型の博物館の実現や、北海道ミュージアム構想の中核的な博物館としての機能強化を図るなどとしており、5カ年の中期目標と計画を策定し、着実に取り組みを進めることとしております。
 どのような視点で目標等を策定し、取り組みを進めていく考えなのか、道としての考えをお聞かせ願います。

〇高見文化振興課長

 北海道博物館についてでございますが、今回の素案では、北海道の歴史、文化、自然を総合的に学ぶことのできる博物館として、多くの人々に訪れていただくとともに、地域の博物館などとのネットワークを構築し、道内各地での学びや地域の活性化をサポートするほか、本道の観光客増加にも寄与することとしております。
 今後、本道の中核的博物館、道民参画型博物館として、さらなる魅力向上に努めるほか、2020年に開設される国立アイヌ民族博物館と幅広い連携を図ることとしております。
 こうした方向性のもと、次の中期目標と計画を策定し、博物館機能の充実や、民間企業などと連携した魅力ある企画展の開催、出前講座の実施による地域とのネットワーク構築などに取り組んでまいる考えでございます。

○道議太田憲之

 次に、開拓の村につきましては、積雪寒冷地における歴史的建造物を中心とした屋外博物館の特徴を生かして、博物館の役割を基本に、国内外からの旅行者をターゲットとした観光拠点や、古民家再生等の人材育成拠点としての活用を図ることとしておりますが、これらの拠点としての取り組みを進めることとした背景と、今後の方向性についての道の考えをお聞かせ願います。

〇高見文化振興課長

 開拓の村についてでございますが、主に明治・大正期の建物を移築し、復元している開拓の村は、開設から30年以上が経過しており、建造物の老朽化が進み、補修に必要な資材や技術者の確保などの課題もありますが、一方で、近年は訪日外国人観光客の利用者が増加しております。
 このような状況を踏まえ、今後の開拓の村については、これまでの野外博物館としての役割を基本としながらも、新たに、観光拠点や古民家再生等の人材育成拠点としての活用を考えているところでございます。
 観光拠点といたしましては、訪日外国人にも魅力的な着つけなどの体験型プログラムの実施や、民間企業と連携した物販や飲食の充実についても検討してまいる考えでございます。
 また、人材育成拠点といたしましては、民間団体等が行う古民家再生の研修の場として活用いただくほか、道内の技術者や道産材を積極的に活用して修繕改修を行うなど、開拓の村における再生の取り組みが全道の人材育成に活用されることを期待しているところでございます。

○道議太田憲之

 次に、百年記念塔について、何点かお伺いします。
 百年記念塔につきましては、百年記念塔前広場として、塔のモニュメントを中心に、本道の歴史や先人の思いを引き継ぐ場など、国内外から多くの方々が訪れ、家族や仲間と楽しむ交流空間として描かれているところです。
 今後の方向性では、利用者の安全確保や、将来世代への負担を避けるためにも、塔の解体もやむを得ないと判断しているところでありますが、百年記念塔は、北海道100年を記念する施設であるとともに、歴史的建造物に値するものであると考えます。
 道は、百年記念塔の歴史的建造物としての意義をどのように認識しておられるのか、道の考えをお聞かせ願います。

〇高見文化振興課長

 百年記念塔についてでございますが、昭和45年に完成した百年記念塔は、北海道百年記念事業の一環として、全国から応募のあった設計コンペにより選ばれた斬新なデザインと、当時の最新鋭の素材を活用して建設されたモニュメントであり、先人に対する感謝と躍進北海道のシンボル、地域のランドマークであり、周辺広場とともに道民の憩いの場で半世紀近くの歴史を持つ建造物として親しまれてきたものと認識をしてございます。

○道議太田憲之

 百年記念塔は、周辺の学校で校歌として歌われるなど、地域の方々にとって、生活の中に溶け込んだ存在であると認識しているところであります。
 塔の解体を選択することについて、地域の方々からは、どのような意見が寄せられていたのか、お聞かせ願います。
 また、これらの意見や歴史的な価値を踏まえて、塔の移ろい行く姿を今後の50年に残すという選択肢もあったのではないかと考えますが、これを断念し、解体を選択した経緯についても、あわせてお聞かせ願います。

〇渡辺環境生活部長

 今後の百年記念塔についてでございますが、道民ワークショップなどにおきましては、地域住民や近隣の高校生の方々を中心に、地域のシンボルとして記念塔を残してほしいといった意見もあったところでございます。
 しかしながら、そうした歴史を持ちながらも、記念塔は建設から50年近くが経過し、老朽化が進んでおりまして、さび片などの落下もありますことから、道といたしましては、公園利用者の安全性を確保することが第一ということで、平成26年から立入禁止としているところでございます。
 これまで、専門家の方の知見を伺いながら検討してまいりましたが、塔の構造上、今後も老朽化の進展を完全に防ぐことは非常に困難でございまして、安全性の確保の観点から、解体もやむを得ないと判断したところでございます。

○道議太田憲之

 今回報告のあった素案の中では、解体した場合には、百年記念塔の発展的継承を図るために、塔の跡地に新たなモニュメントを設置することとし、レリーフや解体材の活用の検討などとともに、モニュメントのイメージ図のようなものが描かれているところであります。
 解体した場合に設置することとしている新たなモニュメントについて、どのようなものを考えているのか、道の考えをお聞かせ願います。

〇小出文化局長

 新たなモニュメントについてでございますが、昨年11月に策定した「百年記念施設の継承と活用に関する考え方」におきましては、記念塔に掲げてある彫刻家佐藤忠良氏の制作によるレリーフを生かした新たなモニュメントの設置など、本道の歴史に対する思いを引き継ぐ手法も検討するとしているところでございます。
 これを受けまして、今回の素案では、新たなモニュメントは、はるか太古から綿々と続く北海道の歴史、文化と、今日の北海道を築き上げてきた幾多の先人の思いを引き継ぐとともに、お互いの多様性を認め合う共生の立場で、未来志向に立った将来の北海道を象徴する役割を担うものとしたところでございます。
 さらに、レリーフのほか、記念塔の解体材の有効活用や耐久性、今後の維持経費にも配慮することとしており、今後、どのようなものがふさわしいのか、幅広く御意見をお伺いし、検討してまいる考えでございます。

○道議太田憲之

 次に、野幌森林公園について、お伺いします。
 野幌森林公園につきましては、その保全や活用、近隣施設につきましては、多様な施設と連携した魅力的な交流空間づくりなど、それぞれに取り組みが示されているところでありますが、北海道博物館や開拓の村を初め、エリアが一体となって歴史、文化、自然を体感し、交流する空間として再生するためには、これらの施設間を結ぶアクセスの整備や、アクセス空間における魅力づくりも重要になると考えます。
 こういった一体感づくりやアクセス等に関しまして、道はどのように考えているのか、お聞かせ願います。

〇小出文化局長

 野幌森林公園や近隣施設との連携についてでございますが、今回の素案において、野幌森林公園につきましては、大都市近郊の貴重な平地林として適切に保全するとともに、あらゆる人々が安心して公園を利用できる環境づくりを進めることとしているほか、近隣に所在する北海道立埋蔵文化財センターや北海道立野幌総合運動公園などの文化・スポーツ施設などとの連携を図ることにより、より魅力的な交流空間として再生を図ることとしております。
 道といたしましては、今後、各施設と連携したイベントの開催や、施設の相互利用についてのモデルプランを検討するほか、民間バス会社などとの連携による交通アクセスの改善や、遊歩道の環境整備の検討などにも取り組んでまいる考えでございます。

○道議太田憲之

 最後に、道は、百年記念施設を50年後の道民に引き継ぐ思いを「つたえあう、つながりあう。私たちの北海道ストーリー。」として掲げ、そのための取り組みなどを素案として取りまとめたところでありますが、今後、交流空間構想の策定に向けて、どのように取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。

〇渡辺環境生活部長

 今後の取り組みについてでございますが、このたび、道民ワークショップや有識者などを通じて、幅広い御意見を伺った上で、野幌森林公園エリアの再生に関する構想の素案を取りまとめたところでございまして、今後、今定例会で御議論をいただきますとともに、パブリックコメントを実施して、道民の皆様の御意見等を広く伺うこととしているところでございます。
 道といたしましては、こうした御議論、御意見を踏まえまして、さらに検討を進めて、年内をめどに、北海道博物館を初めとする施設に自然豊かな周辺地域を含めたエリア全体が、本道の歴史、文化や自然を体感し、交流できる空間となりますよう、次世代に伝えていくための構想として取りまとめてまいる考えでございます。

○道議太田憲之

 るる、御答弁いただきましたが、今回のこの交流空間の構想においては、エリア全体に我々道民が知らない魅力がまだまだ隠されていて、可能性のあるエリアであると感じるところであります。
 そういった中でも、皆様が気にされている百年記念塔の今後につきまして、ちょっと気になったところを意見として述べさせていただきたいと思います。
 当時、100年記念のときに二十数施設が道内でつくられたというふうに伺っておりますが、その中でも、私の住む千歳市の施設を含む7施設が現時点で廃止になっていると耳にしているところであります。
 百年記念塔に関しましては、先ほどの質疑の中でも触れましたが、校歌にされている学校や校章として使用している学校があり、厚別区では区のマークとして使用されているところでもあります。
 また、近隣住民のランドマークとして非常に親しまれているところでもあります。
 今定例会におきまして、丁寧かつしっかりと議論をしまして、今後の交流空間構想の策定を進めていただきますよう、強くお願いを申し上げ、私からの質疑とさせていただきます。