令和2年第2回環境生活委員会
「北海道地球温暖化対策推進計画」に基づく平成30年度の施策の実施状況等に関する報告聴取の件
○太田憲之委員
地球温暖化は、熱波による山火事や集中豪雨による河川の氾濫など、世界各地で問題となっている異常気象の原因であると言われており、日本のみならず世界的な問題として、早急な対応が求められているところですが、道は、これまで平成22年に策定された北海道地球温暖化対策推進計画に基づき、温室効果ガス排出量の削減に向けた取り組みを行ってきたと思いますが、今回の報告では、平成28年度の排出量は、前年の平成27年度からは減少しているものの、基準年の平成2年度と比べますと増加しているとのことで、基準年からこれまでの温室効果ガス排出量の推移や特徴などについて伺います。
○北村気候変動対策課長
本道における温室効果ガス排出量は、基準年である平成2年度が二酸化炭素換算で6582万トンであり、これ以降は、民生業務部門における電力使用量が増加したことなどから、排出量も増加傾向となり、平成14年度は、最大となる7547万トンとなりましたが、その後、排出量はやや減少に転じ、平成21年度には、前年度の金融危機による景気後退の影響から、産業部門におけるエネルギー需要が減少したことなどにより、平成2年度以降で最少となる6459万トンとなったところです。
なお、近年は、平成23年の東日本大震災の影響による火力発電の割合の増加などにより、排出量が再び増加したところですが、平成26年度以降は、省エネの取り組みの進展などにより徐々に減少しており、この傾向は、全国と同様となっているところです。
○太田憲之委員
推進計画の削減目標は、平成25年に国が決定した当面の地球温暖化に関する方針などを踏まえ、平成26年に改定されており、令和2年度における温室効果ガス排出量を、基準年の平成2年度から7%削減するとの目標になっております。
昨年の第4回定例会の一般質問で、我が会派の同僚議員が削減目標達成の見込みについてお伺いしたところ、目標達成は難しい状況との御答弁でしたが、今回、報告のあった最新のデータを踏まえ、改めて削減に向けた取り組みの課題と目標達成の見通しについてお聞かせ願います。
○北村気候変動対策課長
北海道は積雪寒冷のため、冬季における暖房などによる灯油の使用量が多いことや、広域分散型で自動車への依存度が高いといった地域特性により、民生家庭部門及び運輸部門の排出量割合が全国と比べて高くなっているところです。
このため、道では、平成22年に北海道地球温暖化対策推進計画を策定して、これらの部門を中心に、省エネに関する行動の促進や機器の普及、次世代自動車の導入促進やエコドライブの普及などに取り組んできたところですが、令和2年度の温室効果ガス排出量を、基準年と比べて7%削減し、排出量も6099万トンという目標に対し、直近の平成28年度の排出量は6972万トンとなっており、現時点では、目標の達成は厳しい状況にあると考えているところです。
○太田憲之委員
国は、昨年6月に閣議決定した、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略において、環境と成長の好循環を実現し、温室効果ガスの国内での大幅削減を目指すとしており、その達成に向け、2050年に温室効果ガスの排出量の実質ゼロを目指す旨を表明した地方自治体を、「ゼロカーボンシティ」として国内外に発信する取り組みを進めているところです。
道の現行計画の計画期間は令和2年度までであることから、現在、北海道環境審議会で計画の見直しに向けた調査審議が進められているとのことですが、どのような観点で目標値や取り組みの見直しを行い、温室効果ガス排出量削減に向けた対策を進めていく考えなのか、伺います。
○築地原環境生活部長
本道の温室効果ガス排出量は、省エネ行動の定着や機器の導入促進、エコドライブの普及などにより、近年は減少傾向にありますが、基準年と比較しますと増加しており、削減目標の達成は厳しい状況にあることから、道といたしましては、こうした排出量の推移やこれまでの施策等の実施状況、令和12年度、2030年度までの削減目標などを掲げている国の計画などを踏まえ、推進計画を見直すこととしており、現在、環境審議会において調査審議を行っているところです。
一方、国では、昨年6月にパリ協定長期成長戦略を閣議決定し、我が国の長期的なビジョンとして、今世紀後半のできるだけ早い時期に脱炭素社会を実現することを掲げるとともに、2050年までに温室効果ガスの80%削減に取り組むとしており、道といたしましては、こうした長期的な視点も重要と認識しておりますことから、現計画の削減目標の達成は厳しい状況にありますが、その見直しを進めるに当たっては、新たな削減目標や、その実現に向けた施策の検討に加え、長期的な視点に立った将来ビジョンや取り組みの方向性などについても検討を進め、本道の恵まれた自然環境、豊富な再生可能エネルギーなどのポテンシャルを最大限に活用した地球温暖化対策に取り組んでまいります。
○太田憲之委員
本日の新聞に、古平町がゼロカーボンシティの宣言をされたとの記事が掲載されたところですが、北海道といたしましても、恵まれた自然環境といった大きなポテンシャルがありますので、目標に向けて計画を着実に推進されますことを心からお願いいたします。