経済部所管審査

2017年03月16日

予算特別委員会において以下の質問をさせていただきました。

 1.観光振興について
 1.小規模企業の振興について
 1.産業振興について 

道議太田憲之

まず初めに、観光振興について、順次お伺いしてまいります。  ことしも、北海道の冬を彩る雪や氷のイベントが各地で開催され、多くの観光客の皆様に冬の北海道の魅力を楽しんでいただいたようであります。
 例えば、北海道の冬の代表的なイベントであるさっぽろ雪まつりは、現在と同じ規模となった1993年以降、最多の264万3000人が来場したのを初め、旭川冬まつりでは、旭山動物園の開園50周年を記念した動物たちの大雪像が登場し、観光客を魅了しました。
 また、知床では、30年間続けてきた知床ファンタジアにかわって、本年1月30日の「知床の日」から、新たな冬の体験型イベントとして、知床流氷フェスが開催され、好評を博したところであります。
 寒い、つらい、何も楽しいことがない、耐え忍ぶしかないと思われがちな北海道の冬に着目し、観光資源として育て上げてきた先人の知恵や、関係者の皆様の長年の御努力が、現在の冬の観光の盛り上がりに結びついているものと受けとめ、心から敬意を表する次第でございます。
 地域の隠れた魅力を掘り起こし、観光資源として育て上げ、広く国の内外に売り込んでいくためには、地域における観光振興に向けた組織的な取り組みがますます重要となってきていると考えます。
 そうした中、日本で、地域の観光振興を担うのは主に観光協会であり、プロモーションを中心に活動しておりますが、アメリカやオーストラリアなど、海外の観光先進地域では、地域の観光振興を統一的に担う民間組織として、ディスティネーション・マーケティング・マネジメント・オーガニゼーション、いわゆるDMOが活動し、マーケティングに基づく、地域が一体となった観光地域づくりの推進主体となっているとお聞きしているところであります。
 観光による地方創生を実現していく上で、増加するインバウンド需要を取り込み、交流人口を拡大させ、地域経済を活性化させる推進体制として、海外のDMOの活動は大いに参考になるものと考えます。  そこで、私から、DMOを含めた観光地域づくりの推進体制に関しまして、順次、質問をさせていただきます。
 まず初めに、国は、人口減少、少子・高齢化の進展に対応し、地方創生のさらなる進化を図るため、一昨年6月に閣議決定をした、まち・ひと・しごと創生基本方針において、地域経営の視点に立った観光地の一体的なマーケティング、ブランディング等を戦略的に推進する組織である日本版DMOを全国各地に形成、育成していくとしておりますが、国が目指す日本版DMOの意義について、道としてはどのように認識しているのか、お伺いいたします。

観光局長後藤規之

 日本版DMOの意義についてでございますが、本格的な人口減少社会が到来する中、観光は、関連する産業の裾野が広く、交流人口の拡大や雇用の創出など、幅広い経済効果を地域にもたらし、本道経済の活性化を図る上で重要な役割を担っているものと考えております。
 こうした中、日本版DMOは、観光地経営の視点に立った観光地域づくりのかじ取り役を担い、農林水産業や商工業など、地域の多様な関係者の連携を促し、データに基づく戦略的なマーケティングやプロモーションを行うことにより、魅力的で満足度の高い観光地づくりを進めることで、国内外から訪れる観光客の観光消費をより高めるなど、地域の稼ぐ力を引き出すことが期待されるものと認識しております。

道議太田憲之

 それでは、観光による地域創生を図り、地域経済の活性化につなげていく上で、地方自治体や観光事業者だけではなく、地域の多様な関係者を巻き込み、観光地域づくりのかじ取り役を担う日本版DMOに対する期待は大きいものがあり、本道においても、その推進が求められているところでありますが、推進に当たって参考となる、他府県における日本版DMOのモデルと考えられる先進事例としてはどのようなものがあるのか、お聞かせ願います。

観光局参事内藤智之

 日本版DMOの先行事例についてでございますが、国では、日本版DMOの形成、確立を図るため、平成27年に、日本版DMOの候補となり得る法人等の登録制度を創設したところでございます。  先行している事例といたしましては、複数の都府県を区域とする広域連携DMO候補法人では、瀬戸内海に隣接する広島県など7県で構成するせとうち観光推進機構が、日本政策投資銀行や地元の金融機関などによる事業化支援組織と連携しながら、瀬戸内ブランドの確立に向け、サイクリングなど、テーマ別の旅行商品の開発などに取り組んでいるところでございます。
 また、区域が複数市町村にまたがる地域連携DMO候補法人である、長野県の信州いいやま観光局では、地域の多様な関係者を巻き込んで、観光消費の拡大につなげるため、ロングトレイルなど、地域の特色を生かした着地型の旅行商品の造成、販売や、地域ならではの食を楽しめるレストランの運営のほか、観光交流施設の運営に取り組むといった事例が見られ、それぞれ、地域のブランド力の向上や交流人口の拡大に寄与していると理解しているところでございます。

道議太田憲之

 全国各地での日本版DMOの形成、確立を支援するために、国では、日本版DMOの候補となり得る法人を登録し、地方創生推進交付金を初め、関係省庁が連携して支援する制度を開始しておりますが、道内での登録状況など、DMOの形成に向けた動きはどのようになっているのか、お聞かせ願います。

内藤観光局参事

 道内におけるDMOの動向についてでございますが、広域連携DMO候補法人としては観光振興機構が、また、地域連携DMO候補法人としては、ふらの観光協会や釧路観光コンベンション協会など4団体が登録されているところでございます。
 また、単独の市町村をエリアとする地域DMO候補法人としては、阿寒観光協会まちづくり推進機構や十勝川温泉旅館協同組合など4団体がこれまでに登録されているところでございます。  道内では、このほか、帯広市などの地域においてもDMOの設立に向けた動きがあり、道といたしましては、登録窓口となっている観光庁や北海道運輸局などと密接に連携を図りながら、引き続き、地域のDMO候補法人の登録を促進してまいります。  以上でございます。

道議太田憲之

 ただいまの御答弁の中でも挙がりましたが、道内でのDMO形成に向けた動きとしまして、昨年の4月に、北海道観光振興機構が広域連携DMO候補法人として登録されておりますが、国では、広域連携DMOをどのような位置づけとしているのか、お聞かせ願います。

内藤観光局参事

 広域連携DMOについてでございますが、国におきましては、広域連携DMOとは、都道府県をまたがる地方ブロックを区域として、広域的視野に立った観光戦略の策定や、各種データの収集、分析、マーケティングやマネジメントなどを行い、観光地域づくりのかじ取り役を担うものとしているところでございます。  東北を上回る広大な面積の北海道全体をエリアとし、本道観光の中核的な推進組織である観光振興機構につきましては、国において、一つの地方ブロックのDMOと認められ、広域連携DMO候補法人として登録されたところでございます。

道議太田憲之

本来は、他県とまたがるぐらいの規模でやるのですけれども、北海道は北海道一つで認められたということで、北海道の大きさといったものを感じますが、観光振興機構に対する期待も大きくなっていくところでございます。
 そこでお伺いいたしますが、道は、観光振興機構と、日本政策投資銀行、北洋銀行、北海道銀行の金融機関の3行と、北海道観光の振興に向けて相互に協力連携して、観光地域づくりを積極的に推進していくために、本年2月21日に協力連携協定を締結したと承知しているところであります。  道では、今回の協力連携協定の意義と期待される効果について、どのように認識されているのかをお聞かせ願います。

後藤観光局長

 協力連携協定の意義などについてでございますが、観光産業を本道のリーディング産業として発展させるためには、地域資源を生かした観光の魅力づくりや、受け入れ体制の整備などを通じて、稼ぐ観光を確立していくことが重要でありますことから、去る2月、道では、観光振興機構、政策投資銀行、北洋銀行、北海道銀行と、北海道観光の振興に向けた協力連携協定を締結したところでございます。
 北海道観光の中核的な役割を担う観光振興機構は、地域の稼ぐ力を引き出す本道の観光地域づくりのかじ取り役となる北海道版DMOとして、この協定の締結により、金融機関と一体となって、それぞれが持つ専門知識やノウハウ、豊富なネットワークなどを活用しながら、道内の各地域のDMOなどへの支援、地域の観光ビジネスの創造や観光人材の育成などを効果的に進めていくことができるものと考えているところでございます。  以上でございます。

道議太田憲之

 観光振興機構は、これまで、本道観光の振興に向けて、さまざまな事業を積極的に展開してきましたが、観光振興機構が、北海道観光のかじ取り役として中核的な役割を担う北海道版DMOの機能を発揮するには、観光振興機構自体が、マーケティング能力を高め、地域の稼ぐ力を引き出していけるよう、機能を強化していく必要があると考えますが、どのように機能強化を図っていこうと考えているのか、道の所見をお伺いいたします。

後藤観光局長

 観光振興機構の機能強化についてでございますが、観光振興機構では、北海道版DMOとして、旅行者のニーズや市場動向を把握し、その成果を、国内外への戦略的なプロモーション活動や、地域のDMOなどへの効果的な支援に生かしていくため、新年度におきまして、観光振興機構のホームページにアクセスしたユーザーの属性、検索項目などの把握、分析や、世界的なオンライン旅行会社からのデータ提供などを通じて、観光振興機構みずからのマーケティング力を強化することとしているところでございます。
 また、金融機関との協力連携協定を効果的に機能させるため、観光振興機構におきまして、情報共有や意見交換を行う体制を整備するなど、地域の稼ぐ力を引き出すための機能強化を図ってまいります。

道議太田憲之

 DMOが、多様な関係者が連携して、観光地経営の視点に立った観光地域づくりを推進していくためには、各種データの収集、分析に基づくマーケティング力や、関係者を巻き込むコーディネート力のある専門的な人材が必要であると考えます。
 道では、これまでも、北の観光まちづくりリーダー養成セミナーを初め、地域観光のリーダーの育成に向けて取り組んできたと理解しておりますが、地域におけるDMOの形成、確立に向けた人材の育成という課題について、今後、どのように対応していくのか、お伺いいたします。

内藤観光局参事

 観光人材の育成についてでございますが、地域のDMOが、稼ぐ観光を基本として、観光地域づくりのかじ取り役を担っていくためには、地域の魅力を生かしたブランディングやマーケティングなどの能力を備えた専門的な人材の育成が重要と考えております。  道では、これまで、観光まちづくりのリーダーを養成し、ネットワーク化を図ってきたところでありまして、本年度は、観光振興機構と共同して、地域のDMOの形成に必要なマーケティングやマネジメントの知識を習得する研修会を道内の4都市で実施したところでございます。
 新年度におきましては、これまでの取り組みの成果を踏まえ、協定を締結した金融機関の協力も得ながら、DMOの役割やマーケティングなどの基礎的な研修のほか、着地型旅行商品の造成・販売手法など、実践的な知識を習得する専門研修や、道外の先進地域を訪問する研修を実施するなど、観光地経営の能力を備えた人材の育成を図ってまいります。

道議太田憲之

 ニセコや富良野には、着地型の観光商品の造成や受け入れ体制づくりに実績がある観光関係団体があり、観光業が地域に根差したリーディング産業として発展していく上で大きな役割を果たしておりますが、一方で、今後一層、観光地域づくりに向けて取り組みを強化していかなければならない地域もあるものと認識しております。
 こうした地域におけるDMOの育成への支援にどのように取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。 ◎(内藤観光局参事) 地域のDMOへの支援についてでございますが、道内の各地域が、稼ぐ観光を目指して観光地域づくりを進め、地域経済の活性化につなげていけるよう、観光振興機構が北海道版DMOとして地域のDMOを支援することとしているところでございます。
 このため、道では、新年度、観光振興機構との共同事業により、観光地経営を担う人材の育成に向けた研修事業を充実いたしますほか、マーケティングやマネジメントなどの専門知識を有するアドバイザーを地域に派遣し、それぞれの課題や戦略に応じた助言を行うとともに、道内でDMOを目指す団体が情報交換や交流を行う場を設け、地域間のネットワーク化を図るなどして、地域の強みを生かしたDMOの形成、確立を支援してまいります。

道議太田憲之

 道が取りまとめた観光入り込み客数調査では、平成27年度において、道外客が577万人で、外国人については、初めて200万人の大台を超え、208万人と過去最高の入り込みとなっているところであります。
 また、ブランド総合研究所による地域ブランド調査では、都道府県別の魅力度ランキングで、北海道が調査開始から8年連続の1位となっており、既に北海道は観光ブランドとして一定の地位を確立しているものと考えます。  したがって、これからの北海道観光の発展を考えたとき、道内のそれぞれの地域が、観光地として独自のブランドを確立していかなければならない段階にあるのではないかと考えます。
 それぞれの地域が魅力を発揮したブランドづくりを競い、道内各地の力のある観光地ブランドが束になって国内外に打って出るという形が、将来の北海道観光のブランドであってほしいなと、そのように考えるところであります。
 そうした意味で、これからは、特に、各地域での魅力ある観光地域づくりに向けた取り組みを促進することが重要になってくると考えますが、道の御所見をお聞かせ願います。

内藤観光局参事

 魅力ある観光地域づくりについてでありますが、国内外から本道を訪れる観光客の皆様に道内各地の観光を楽しんでいただき、観光消費を地域の経済活性化につなげていくためには、食や自然、体験など、その地域ならではの観光資源を生かした地域ブランドを創出していくことが重要となっております。
 このため、道では、これまで、観光振興機構と連携して、空知地域のワイナリーと観光素材を組み合わせたツアーの開発や、ミシュランのグリーンガイドで三つ星を獲得している知床と摩周湖、阿寒湖をつないだ3つ星街道といった取り組みを支援してきたところでございます。
 道といたしましては、新年度、地域の観光ブランドづくりに向け、地域が優位性を有する観光資源を組み込んだ旅行商品づくりや、戦略的なプロモーション活動などへの支援を拡充するなどして、地域の特性を生かした魅力的な観光地づくりを促進してまいります。

道議太田憲之

道内の各地域が観光地としてのブランドを確立するまでには、相当の期間とエネルギーを要するものと推測されます。また、もちろん資金も必要であります。
 地域のDMOが、観光ブランドの確立に本格的な役割を果たしていくためには、相当長期間にわたる安定的な運営が確保できることが何よりも大切であると考えます。  道内の多くの観光協会では、市町村にその財源の多くを依存しているのが現状です。人口減少や少子・高齢化の進展に伴って、地方自治体の財政状況は今後ますます厳しくなることが予想され、地方自治体に依存した財政運営だけでは、DMOに期待される、地域の稼ぐ力を引き出す役割を十分に果たすことが困難ではないかと危惧するところであります。
 地方自治体からの支援だけではなく、民間資金の活用や自主財源の確保など、安定的な運営基盤を確立していくことが、地域のDMOの成功の鍵ではないかと考えますが、道としての御所見をお聞かせ願います。

内藤観光局参事

 地域のDMOの運営についてでございますが、DMOが自律的、機動的に活動するためには、安定的な運営基盤を確立することが必要と考えており、日本版DMO候補法人の登録要件としても、自治体からの補助金や施設運営事業の受託などのほか、着地型商品の販売、物販などの収益事業に加え、会費や賛助金、寄附金といった自主財源の確保のための取り組みが例示されているところでございます。
 地域のDMOが、地域の稼ぐ力を引き出し、地域全体に経済効果をもたらすためのマーケティングやコーディネートなどの機能を果たす上では、補助金などの公的資金に加え、自主事業などによる財源の確保に努めていく必要がありますが、道では、地域のDMOの安定的な運営資金の確立に向け、このたびの金融機関との協定に基づき、ビジネス相談会の開催、アドバイザーの派遣などを通じて、ファンドや協調融資といった金融面での支援を含めたサポートに努めてまいります。

道議太田憲之

 道内外の先行事例といたしましては、観光案内所や道の駅、駐車場などの管理運営のほか、旅行業の登録を行って、着地型の旅行商品を販売したり、観光土産品の販売やレストランの運営を手がけるなどといった取り組みがなされており、地域のDMOとなる観光協会などの安定的な運営に寄与していると伺っているところであります。
 北海道運輸局では、観光先進国を目指す、明日の日本を支える観光ビジョンの実現に向けた取り組みを推進するため、官民が一体となって、観光ビジョン推進北海道ブロック戦略会議を設立することとし、道、国の出先機関、観光振興機構、経済団体などが参画し、国立公園のナショナルパーク化や農泊の推進など、観光地域づくりに向けた受け入れ環境の整備や、観光資源の魅力向上について、幅広く検討していくとのことであります。  地域のDMOの安定的運営が確保され、観光地づくりのかじ取り役としての機能を発揮していく上で、国の施策や取り組みの方向が大きな影響を持つものと考えます。
 道は、こうした戦略会議の場などを活用して、地域のDMOの安定的な運営に向けた方策について、積極的に提案、協議を行うなど、国との連携を強めるべきではないかと考えますが、道としての御所見をお聞かせ願います。

後藤観光局長

 DMOに係る国との連携についてでございますが、国では、オール北海道で、観光先進国の実現に向けた推進体制を構築し、観光施策についての情報共有や協議を行う場として、北海道運輸局、北海道開発局、道、観光振興機構、経済団体を初め、経済産業省、総務省、環境省、農林水産省の北海道での出先機関など、本道観光にかかわる国の機関や関係団体などが一堂に会する観光ビジョン推進北海道ブロック戦略会議を新たに発足させることになっております。
 地域のDMOにとりましては、自律的、継続的な活動のための運営資金の確保などが課題であることから、道といたしましては、観光振興機構と連携し、戦略会議の場の活用や、国への提案、協議などを通じて、国との連携を強化し、地域のDMOの安定的な活動基盤の確立に努めてまいる考えであります。  以上でございます。

道議太田憲之

 観光地域づくりのかじ取り役として期待されるDMOの最大の目標は、地域の多様な関係者を巻き込み、地域の資源や魅力を生かして、観光客の誘致と観光消費の拡大を図り、稼ぐ観光を実現することであると考えます。
 観光業が地域を支えるリーディング産業として発展していくように、道としていかに取り組んでいくのか、見解をお聞かせ願います。

経済部観光振興監木本晃君

 地域を支える観光の振興についてでございますが、外国人観光客の急増など、観光入り込みが好調に推移している中、国内外の観光客の皆様のニーズは多様化しており、地域のブランド力を高めるなどして、観光消費の拡大を図り、地域経済の活性化につなげるためには、地域が、魅力ある観光地域づくりに取り組み、稼ぐ観光を実現していくことが重要と考えております。 
 調査によりますと、主に県外向けに教育旅行を行う高校に関し、都道府県内のホテルや旅館などの宿泊数の合計で、北海道は、平成27年度まで、都道府県別で沖縄県に次いで2番目となってございますが、訪問した都道府県別の学校数の順位は7位と、徐々に下がってきており、今後は、特に、北海道新幹線を活用した東北地区や関東地区からの教育旅行の誘致を促進する必要があると考えているところでございます。  

道議太田憲之

 次に、北海道教育旅行活性化事業についてでありますが、教育旅行は、北海道の文化や歴史的遺産、また、北方領土をじかに見ることなどによりまして、歴史的問題への見識を深めるなど、副次的効果も考えられるところでございますが、誘致の促進に向けての具体策についてお聞かせ願います。

後藤観光局長

 教育旅行の誘致促進などについてでございますが、教育旅行活性化事業は、本道の特徴的な文化、歴史、自然に関する教育旅行の学習素材プログラムについて、道外へのPRやプロモーションの強化を図り、道内への教育旅行の誘致を促進しようとするものでございまして、具体的には、学校職員や旅行会社を対象として、首都圏、東北地方において、道内の観光関係者や北方領土の語り部などが参加する説明会を開催するとともに、北海道博物館、白老町のアイヌ博物館など、本道の歴史を紹介する施設や、冬のスノーシュー体験などの体験メニューを盛り込んだ道内各地のモデルコースの視察を実施するほか、ウェブサイト等による情報発信に取り組んでいるところでございます。
 新年度、道といたしましては、こうしたプロモーション活動に加え、本道の歴史や自然等の事前学習ができるPR動画を新たに作成することにしており、観光振興機構と連携して、教育旅行の誘致促進に向けた取り組みをさらに充実させてまいる考えでございます。 

道議太田憲之

 それでは、次の質問に移りますが、訪日教育旅行の大きな意義の一つとしては、外国の若者に日本の魅力を体験してもらい、また訪れたいと思ってもらうことでありまして、受け入れ地域のリピーターの獲得に資するとともに、外国人の生徒を受け入れる日本の生徒にとりましては、異文化を直接体験し、国際理解を深めることができるという点で、教育上、大きな意義を持つと考えるところであります。
 道では、本道への理解と関心を深めて再び本道を訪れてもらえるように、訪日外国人教育旅行に取り組んでいると承知しているところでございますが、近年の受け入れ実績についてお聞かせ願います。

観光局参事沖野洋

 訪日教育旅行の実績についてでございますが、日本政府観光局、いわゆるJNTOや観光協会などを通じて、道に対して学校交流の依頼がされ、道が助成した訪日教育旅行につきましては、平成26年度は、台湾、シンガポール、インド、中国、インドネシア、タイから、合計16校で508人が、道内の学校の延べ22校を訪問、平成27年度は、台湾及び中国から、合計7校で275人が、道内の学校の延べ9校を訪問、平成28年度は、台湾、タイ、メキシコから、10校で339人が、道内の学校の延べ12校を訪問したところでございます。
 国・地域別の実績では、台湾からの来道が最も多く、全体の75%を占めているところでございます。

道議太田憲之

 訪日教育旅行は大変意義のあるものと考えるところでありますが、実際に受け入れている地域や学校からは、スケジュール調整等の困難さなどが指摘されているところでございます。  特に、北海道への訪問の大半を占める台湾につきましては、学力、特徴などにおいて共通性が高い学校との交流を求めたり、訪問の1カ月前など、比較的間近になってから交流を申し込む傾向にありまして、既存の学校のスケジュールとのマッチングが大変に難しいとの声も伺っているところでございます。
 訪日教育旅行の拡大に向けて、ほかにどのような課題があり、今後、どのように取り組んでいく考えなのか、道としての御所見をお聞かせ願います。

大崎国際観光担当局長

 訪日教育旅行の課題等についてでございますが、訪日教育旅行を促進していくためには、交流の受け入れの調整を行う人材の不足、スケジュール調整や通訳の確保の困難さ、地域における経費の負担といった課題があるものと認識しております。
 このため、道といたしましては、海外からより多くの教職員や生徒の来道が可能となるよう、道教育委員会などの関係者と連携して、訪問校と受け入れ校の調整、通訳員の確保や記念品の準備への支援、さらには、体験交流プログラムの充実に向けた情報提供により、受け入れ校の負担軽減に取り組むなどして、積極的に海外からの訪問を受け入れてくれる学校の拡大を図り、受け入れ体制の充実に取り組んでまいります。

道議太田憲之

 いろいろ御答弁をいただきましたが、教育旅行の誘致促進に向けての観光振興監の見解と意気込みをお聞かせ願います。

木本経済部観光振興監

 教育旅行の誘致促進についてでございますが、教育旅行は、将来のリピーターとしても期待される生徒の皆さんに本道の魅力を理解していただく絶好の機会であり、受け入れた地域にとっても、地域資源の情報発信につながるなど、活性化に寄与するものと認識しております。
 さらに、海外からの教育旅行につきましては、本道の生徒の皆さんが、交流を通じて、日本にいながら、海外の文化や生きた外国語に触れる機会になるとともに、海外の生徒の皆さんにとっても、実際に日本の若者や文化と触れ合うことにより、相互に国際理解が深まるといった効果が期待できると考えているところでございます。
 道といたしましては、今後とも、観光振興機構や地域、道教育委員会、旅行会社など、教育旅行関係者と連携して、誘致プロモーションに取り組みますほか、海外からの受け入れの促進に向け、学校間交流への支援といった受け入れ環境の整備を行うなど、国内外からの教育旅行の誘致を促進してまいります。

道議太田憲之

 今、振興監から意気込みをお聞かせいただきました。
 道内での教育旅行に関しては、先ほど私から言いましたが、北方領土をじかに見ることによって、書物だけでは感じ取れない、実際の距離感等を感じてもらう、そしてまた、北海道にしかないアイヌ文化のいろんなものをじかに見ることによって、北海道だけの問題ではないことを実際に身をもって体験してもらうという重要性もあると考えるところでございます。
 また、訪日教育旅行に関しては、私も、いろいろ海外視察に行かせてもらって、関係者と話をしますと、特に近隣アジアの若者世代の交流を本当に心から熱望しています。  そういった中で、実際に受け入れる道内の各高校、そして現地の台湾や関係の方々からいろんな課題等も聞いておりますので、ぜひとも、そこをつなげて、若者の交流を進め、次の世代の経済的、人的な交流が発展できるようにしていただきたいと思います。その点をお願い申し上げて、この件についての質問を終わらせていただきたいと思います。
 それでは次に、小規模企業の振興についてお伺いをしていきたいと思います。  本道では、人口減少や経済環境の変動などに伴う地域経済の低迷が続いており、コミュニティーの崩壊なども懸念される事態となっているところでございます。  地域の経済や雇用を支えてきたのは、長年、地域に根を張って頑張ってきた中小企業、とりわけ、その中でも小規模企業ではないかと考えるところでございます。
 しかしながら、道内の小規模企業は、近年、休廃業などにより、減少の一途をたどっているところでございます。
 このような状況を踏まえ、道では、昨年4月に北海道小規模企業振興条例を施行し、さらには、同年7月に、条例に基づき、北海道小規模企業振興方策を策定して、本道の小規模企業の振興を図っていくこととしているものと承知しているところでございます。
 道においては、条例や振興方策に基づき、新たな施策に取り組もうとしている段階と受けとめておりますが、今後、どのように進めていく考えなのか、以下、順次伺ってまいります。  まず初めに、小規模企業をめぐる状況や振興の必要性など、小規模企業の振興に取り組む道の基本的な課題認識や考えについてお聞かせを願います。

地域経済局長梅辻賢二

 小規模企業の振興の基本的な考え方などについてでございますが、人口減少に伴う需要の減退や、近年における後継者不足による休廃業の増加などにより、地域経済の活力低下が懸念される中、本道におきましては、地域の経済と雇用を支える小規模企業の事業活動の継続が喫緊の課題となっており、昨年4月に北海道小規模企業振興条例を施行したところでございます。
 この条例では、経営体質の強化、事業承継の円滑化、創業等の促進を施策の基本方針に掲げておりまして、条例の着実な推進を図るため、小規模企業振興方策を策定したところでございます。
 道といたしましては、この振興方策に基づき、各般の施策の展開に努めますとともに、これらを支える取り組みとして、地域における支援体制の整備や、金融機関と連携した円滑な資金供給を図ることで、小規模企業の振興に取り組んでまいります。

道議太田憲之

 次に、小規模企業振興方策の大きな柱である基本方針の具体的な取り組みについてお伺いをいたします。
 既存の小規模企業が、経営の足腰を強め、これからも継続的に地域で活躍していけるよう、経営体質の強化を図ることは重要であると考えますが、従来もこうした考え方で取り組んできているものと承知しているところでございます。
 昨年の条例制定を契機とした小規模企業振興方策の検討の中で、経営体質の強化については、新たにどのような点に重点を置いて取り組んでいくこととしているのか、お聞かせ願います。

中小企業課長竹縄維章君

 経営体質の強化に向けた取り組みについてでありますが、小規模企業には、商圏が限定される商業、サービス業など、地域に密着して事業活動を続ける企業や、IT関連、製造業など、道内外に市場を求める企業などもありますが、総じて経営体質が脆弱であり、また、専門性の高い人材の確保などが課題となっており、そうした小規模企業が目指す方向性と課題を踏まえた支援が求められているところでございます。
 このため、小規模企業振興方策に基づき、地域の金融機関や商工団体などと連携し、中小企業診断士などの専門家による、企業の実情に合わせた、きめ細やかな経営指導の実施や、重要な経営資源である人材の育成に向けた、経営者、従業員に対する伴走型のスキルアップ支援などに取り組んできておりますが、今後は、すぐれた人材の活用という観点から、女性や若者、U・Iターン者など、多様な人材の確保などにも重点的に取り組むこととしているところでございます。
 道といたしましては、地域の小規模企業の実態を踏まえながら、時々の社会情勢や企業のニーズに的確に対応した、きめ細やかな支援施策の展開を図り、経営体質の強化に努めてまいる考えでございます。

道議太田憲之

 地域で活躍する企業の新陳代謝を促し、地域経済の活性化を図っていくためには、新たなビジネスを始めようとする企業の存在が重要であると考えます。
 そこで、創業等の促進については、どのように取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。

竹縄中小企業課長

 創業等の促進に向けた取り組みについてでありますが、創業は、地域経済の活性化や雇用の創出に大きく寄与するものであることから、道では、これまで、本庁及び振興局に設置している創業サポート相談室や中小企業総合支援センターによる相談対応のほか、中小企業応援ファンド、中小企業総合振興資金による資金調達支援などに取り組んできたところでございます。
 また、新しい発想により、地域での活躍が期待される女性や若者を対象として、起業相談会、実践起業塾、先輩起業家との交流会を実施して、創業に向けたそれぞれのステージに応じた支援を行ってきているところでございます。  道といたしましては、今後、道内の6圏域に、市町村を初め、商工団体や金融機関、産業支援機関などのほか、先輩起業家も加えた地域起業サポートネットワークを整備し、創業希望者に対するきめ細かい支援に努めてまいる考えでございます。

道議太田憲之

 さまざまな経済活動を通じて、地域の発展や雇用の確保に役割を果たしてきた企業がさまざまな事情で廃業していくということは、地域にとって大きな損失であります。
 道は、小規模企業の事業承継の円滑化について、どのように取り組んでいくのか、お考えをお聞かせ願います。

竹縄中小企業課長

 事業承継の円滑化に向けた取り組みについてでありますが、少子・高齢化や人口減少などの構造的な課題を抱える中、今後、後継者の不在などを理由とした休廃業や解散が増加することは、地域の経済に大きな影響を及ぼすことが懸念されているところでございます。
 道では、これまで、中小企業総合支援センターや中小企業診断士などによる相談対応に努めてきており、今後、道内の6圏域において、金融機関や商工団体などの関係機関に、税理士、中小企業診断士など専門家も加えた事業承継サポートネットワークを整備するとともに、コーディネーターの育成等の取り組みを進めるほか、事業承継を資金面から支える、官民によるファンドを設置するなど、道内の各地域における事業承継の取り組みを促進してまいる考えでございます。

道議太田憲之

小規模企業の事業承継を支援するために、道では、金融機関と連携して新たなファンドを設置することとし、平成28年第3回定例道議会において、出資に関する債務負担行為を設定するとともに、今定例会に平成29年度歳出予算を提案しているところでございます。
 このファンドの必要性など、設置に当たっての基本的な考え方についてお聞かせ願います。

梅辻地域経済局長

 ファンドの必要性などについてでございますが、小規模企業が経営を継続し、地域経済の活力を維持していくためには、外部からの多様な人材の登用も含めた円滑な事業承継の促進に努めていくことが必要であります。  しかしながら、第三者による事業承継が進まない要因として、株式の買い取り資金の不足が障害となっておりますことから、新たに設置するファンドでは、後継者にかわって、ファンドが、一定期間、株式を保有することにより、後継者が経営に専念できる環境を整備して、小規模企業の事業継続への意欲の喚起を図ることを目指しているところでございます。

道議太田憲之

 このファンドの造成に当たって、投資事業有限責任組合を設立して運営するとのことでありますが、構成団体や出資額など、その具体的な仕組みについてお聞かせ願いますとともに、今後、何件程度の企業を支援しようとしているのか、お聞かせ願います。

竹縄中小企業課長

 ファンドの仕組みなどについてでありますが、このファンドは、事業承継、及び、これを機会に新事業へ進出する、いわゆる第二創業に取り組む小規模企業を支援するため、官民の出資による投資事業有限責任組合を設立し、運営するものでございます。
 組合は、道を初め、出資を予定している道内の金融機関や、運営者となる中小企業総合支援センターで構成することとしており、出資額は、道が2億5000万円、金融機関と運営者が2億5000万円の計5億円となっているところでございます。  このファンドでは、事業承継の際に、後継者にかわって組合が一時的に株式を保有し、その後、経営が軌道に乗り、後継者が資金を確保できた時点で買い戻してもらうことになっており、ファンドからの投資期間は4年間、組合の存続期間は14年間としており、出資する企業数は、小規模企業の資産規模などを勘案し、20件程度を見込んでいるところでございます。  以上でございます。

道議太田憲之

 道では、このたびのファンドを創設するに当たって、金融機関等と意見交換や協議を行ってきたものと理解しているところでございますが、このファンドに対する反応や期待等にはどのような声があるのか、わかる範囲でお聞かせ願います。

竹縄中小企業課長

 新たなファンドについてでありますが、民間企業が行った調査によりますと、本道の企業における後継者不在率は、全国で最も高い74%となっており、また、本道の企業における休廃業・解散件数は、東京都に次いで全国で2番目に多い状況となっており、道内における円滑な事業承継は喫緊の課題となっているところでございます。
 本年度、道が、道内の金融機関などと、事業承継等の支援に関する意見交換を行った際には、今回のファンドによる支援が、地域の小規模企業の事業承継を後押しする上で有効なものであるとの意見もいただいているところでございます。
 小規模企業の事業承継を支援するためのファンドは、全国的にも初めての試みであり、道として、今後、ファンドの運営者や金融機関と連携を図りながら、ファンドの活用に努めることで、小規模企業の円滑な事業承継を支援してまいる考えでございます。

道議太田憲之

 2014年の民間信用調査会社の調査において、道内のいわゆるオーナー企業の8970社のうち、約半数の代表者が60歳以上であり、事業承継が大きな課題となっていると耳にしているところでございます。
 こうした道内の企業の数と比べると、このファンドの規模は一見小さいようにも思えるわけでございますが、私としては、このファンドに道内の金融機関が参画しているという点で、大きな意義を感じるところでございます。  道内の金融機関は、このファンドの造成を契機として、その支店網を通じ、道内の中小・小規模企業に、広く事業承継の必要性を説明するとともに、道や国の支援機関などが用意しているさまざまな支援施策を紹介していくこととなると考えます。このことは、多くの企業経営者が事業承継に向けた具体的な行動を起こすきっかけを与えることになるのではないかと考えるところでございます。
 そういった意味でも、このファンド事業の成功の鍵を握るのは、関係機関がいかに連携してファンドを運営していくことができるかにかかっていると感じるところでございます。  道として、このファンドの運営にどのようにかかわり、取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。

竹縄中小企業課長

 ファンドの運営についてでありますが、ファンドの運営に当たっては、ファンドの運営者と金融機関はもとより、事業承継に取り組む市町村や商工団体などが密接に連携を図り、案件の発掘、出資から、その後のハンズオン支援まで、きめ細やかに対応する、一貫した仕組みを構築していくことにより、出資先企業の経営の安定が図られるよう取り組んでいくこととなっております。
 こうした取り組みを通じて、成功事例をつくり出し、小規模企業の事業継続への意欲の喚起を図るとともに、地域の関係機関とファンドの運営に関するノウハウを共有し、道内の各地域における事業承継の取り組みを促進しようとするものであり、ファンドによる取り組みに加えまして、事業承継サポートネットワークの整備やコーディネーターの育成など、事業承継に向けた、きめ細やかな取り組みを進め、地域における小規模企業の円滑な後継者づくりに努めてまいる考えでございます。  以上でございます。

道議太田憲之

 先ほど申し上げましたとおり、道内の企業の多くは、地域に根差し、地道に経営を続けている中小企業や小規模企業であります。こうした企業が元気にならなければ、地域経済の活性化も本道経済全体の成長も望めないのではないかと考えるところでございます。
 私としては、今回の、小規模企業振興条例に基づく一連の政策展開が、単に、今ある企業を存続させるだけのものであってはならず、経営者の世代交代を促し、新鮮な経営感覚を持った若い経営者が新しい事業展開に果敢にチャレンジしていく基礎を築くものになることを期待しているところでございます。  今後の小規模企業の振興について、道としてどのように取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。

経済部長阿部啓二

 小規模企業の振興に係る今後の取り組みについてでございますが、道では、地域の小規模企業が、その魅力と価値を存分に発揮することができるよう、小規模企業振興条例におきまして、経営体質の強化や事業承継の円滑化、創業等の促進を施策の基本方針として掲げ、また、これらを支える取り組みとして、地域における支援体制の整備と円滑な資金供給を進めることとしているところでございます。
 今後、今年度策定した小規模企業振興方策に基づき、企業や地域のニーズを踏まえた各般の施策の展開に努めるとともに、商工団体、金融機関はもとより、中小企業診断士や税理士などの専門家、先輩起業家などにも参画をいただき、地域ごとに、支援する方々の顔が見えるきめ細やかな支援体制の構築を進めるなど、地域経済の持続的な発展に向けて、地域の経済と雇用を支える小規模企業の振興に全力で取り組んでまいる考えでございます。  以上でございます。

道議太田憲之

今回の件に関して、たまたま私の身近であった話であります。会社自体は非常に順調で、従業員もたくさんいて、しっかりと経営をしていたのですが、社長が高齢で、もうやめたいと言い出した。しかし、従業員は、今の仕事がいいから、このまま続けたいと言う。それで、社長は、続けられないので、従業員に誰かかわってくれないかと言ったのですが、誰もできないということでした。ちゃんと地域に根差したいい企業であるのに、事業承継ができないのだったら閉めなきゃならないということになった、そういった事例が身近にあったことから、今回の件に関しては本当に期待するところでございます。
 出資する企業は20件程度を予定しているということでありますが、まずはそれを成功させて、そのことをきっかけに、今言ったような企業が出ないように、円滑な事業承継をして、地域の経済活動を担う小規模企業がこれからも地域に根づいて活動し続けてくれることを御期待申し上げて、この件についての質問を終わらせていただきたいと思います。
 それでは次に、産業振興についてお伺いいたします。  道では、本道経済の活性化に向けて、平成27年7月に、地域経済の強化に向けた基本方針を策定し、この中で、新たな産業分野の振興として、健康長寿・医療関連産業の創造や、新しい環境・エネルギー社会への挑戦を取り組みの柱に位置づけ、この方針に沿って取り組みが進められていると認識しているところでございます。
 今後、成長が期待できる新たな産業の振興は、本道経済の活性化にとって大変重要であると考えており、これまでの道の取り組みや今後の展開などについて、順次伺ってまいりたいと思います。  まず初めに、道が取り組む新産業の振興の柱の一つである健康長寿産業についてお聞きしたいと思います。  国でも、日本再興戦略の中で、世界で最先端の健康立国を掲げ、日本発のすぐれた医薬品、医療機器等の開発や、医療・介護分野におけるICT化などに取り組むこととしているところでございます。
 こうした中、道では、平成27年度に「北海道における健康長寿産業振興の進め方」を策定し、成長需要の取り込みを目指すこととしておりますが、健康長寿分野については、既に、神奈川県や大阪府、兵庫県などが先行しているものと認識しているところでございます。  
 道として、健康長寿分野の振興に当たっては、先行している地域の状況を踏まえ、本道のポテンシャルや特徴を生かした取り組みを行っていくことが重要であると考えますが、まずは、この分野における本道のポテンシャルをどのように認識しておられるのか、また、健康長寿産業の振興に向けて、こうしたポテンシャルを生かして、どのように取り組んでいくのか、取り組みの基本的方向や考え方についてお聞かせ願います。

産業振興課長三橋剛

 健康長寿産業の振興の考え方についてでございますが、健康長寿産業の振興は、その成長性や付加価値の高さから、経済の活性化に向けて重要であるとともに、国民の健康増進にも資するものであり、この分野におきまして、本道は、食、温泉など、豊富でブランド力の高い地域資源や、医療系大学を初めとした高等教育機関の研究シーズの蓄積といったポテンシャルがあると認識しております。
 こうしたことから、道では、「健康長寿産業振興の進め方」において、本道の基幹産業である食関連産業や観光産業、集積が進みつつあるものづくり産業との関連性が高い、機能性食品・バイオ関連産業、医薬品・健康医療機器関連製造業、健康サービス産業の三つを重点的に振興する分野と定めまして、企業立地の促進や道内企業の参入促進などに取り組んでいくこととしております。  以上でございます。

道議太田憲之

 道は、「北海道における健康長寿産業振興の進め方」に基づき、これまで、どのような取り組みを行い、どのような成果があったのか、お聞かせ願います。

三橋産業振興課長

 これまでの取り組みなどについてでございますが、道では、道内の医療系大学などの研究シーズ、道産の機能性素材、道独自の食品機能性表示制度のヘルシーDoなどを、道外で開催される展示会やセミナーでPRするとともに、個別の訪問活動を行うなど、健康長寿分野の企業誘致に取り組んでおります。
 また、道内のものづくりやサービス関連の企業に対しましては、医療機器の研究開発に取り組む大学とのマッチングによる参入支援や、ヘルスケアサービスに関する事業者育成研修を実施しております。  こうした中、本道の食資源に着目した機能性食品工場や、道内の大学の最先端の研究シーズを生かした研究開発拠点といった企業立地の事例のほか、道内企業による臓器移植用の保存装置の開発、さらには、認知症予防用の携帯電話のアプリケーションの開発と道内での社会実証事業の開始といった事例が出てきているところでございます。

道議太田憲之

 健康長寿産業の振興に関しましては、本道経済の活性化のみならず、人口減少問題や高齢化社会への対応といった観点からも、大変に意義があるものではないかと考えるところでございます。  今後、健康長寿産業の振興に向けて、どのように取り組んでいくお考えなのか、お聞かせ願います。

産業振興局長松浦豊

 健康長寿産業の振興に向けた今後の取り組みについてでありますが、道では、「健康長寿産業振興の進め方」に基づき、重点的に振興する分野や取り組みの方向性を定め、道内の大学の研究シーズや道産の機能性素材を生かした企業誘致、高齢者向けの健康サービスの事業化などに取り組んできております。
 今後は、医療や介護現場などの労働力不足といった現状を踏まえまして、ものづくり企業、IT企業との連携により、現場の負担軽減につながる省力化機器などの開発促進や販路拡大に力を注ぐほか、企業が従業員の健康を増進して生産性向上を目指す、いわゆる健康経営につながる現役世代向けのサービスの事業化の促進にも取り組むなど、健康長寿産業が、道民の健康増進、さらに地域経済の活性化に着実に貢献できるよう、その振興に努めてまいる考えでございます。

道議太田憲之

 続きまして、地域経済の強化に向けた基本方針の中で、新たな成長分野として位置づけられている環境・エネルギー分野について、2点ほどお伺いいたしたいと思います。
 近年、国の内外で大規模な自然災害が多発し、これに伴って、温暖化ガスの排出が少ないなど、環境に優しい自然エネルギーや省エネルギーなどへの関心が高まってきているところであります。  本道は、積雪寒冷な気候や、風力、太陽光、さらにはバイオマスなど、自然エネルギーの宝庫であり、こうした特徴を産業振興に生かしていくべきではないかと考えるところでございます。
 道は、これまで、こうした本道の特徴的な自然環境などを生かしたエネルギー分野の産業育成にどのような考えで取り組み、また、今後、どのように進めていこうと考えているのか、お聞かせ願います。

環境・エネルギー室長阿部英敏

 環境・エネルギー産業の振興に向けた取り組みについてでありますが、道では、環境産業を経済活性化に向けた推進エンジンの一つとして育成や振興を図る第2期北海道環境産業振興戦略に基づき、各種の取り組みを進めているところであります。
 この戦略では、豊かな自然や多様なエネルギー資源などの北海道の強みを競争力の強化につなげることなどを課題として挙げ、これまで、積雪寒冷地特有の製品や技術開発を進める道内外の企業によるプロジェクトの誘致や、本道のエネルギー資源、技術シーズを活用した技術や製品の開発への支援などに努めているところであります。
 道といたしましては、地域の資源や特性を生かした環境ビジネスが広がり、地域の活性化に寄与できるよう、事業化に向けた取り組みの段階に応じた、きめ細やかなサポートや、道外企業との企業間連携への支援のほか、人材育成や販路拡大などの取り組みを行うことで、本道の強みを生かしたエネルギー分野など、環境産業の振興に引き続き取り組んでまいります。

道議太田憲之

 ただいまの御答弁にあった自然エネルギーを有効活用していく上で、水素をエネルギーの媒体として活用する方策が実証事業の段階に至っていると耳にしているところでございます。これが実現すれば、本道の潜在的な自然エネルギー資源の開発が本格化し、関連産業の成長にも結びつくものと期待しているところでございます。
 道は、こうした水素関連産業が成長発展していくプロセスに道内の企業も参画できるように取り組んでいくべきと考えますが、道としての御所見をお聞かせ願います。

環境・エネルギー室参事赤塚孝行

 水素関連産業への参入の促進についてでありますが、道内では、鹿追町など3地域におきまして、豊富な自然エネルギーを活用した水素サプライチェーンの構築に向けた実証事業が行われているなど、道内の各地域における水素関連の取り組みが進められているところであります。
 こうした中、道といたしましては、水素関連ビジネスという将来の有望市場への参入や、水素関連事業の展開の促進を図るため、これまで、道内企業が参入可能な分野を抽出し、その結果をもとにしたセミナー等を6地域で開催するとともに、道外企業とのマッチングを実施するなど、ビジネスの芽の発掘や機運醸成を図ってきたところであります。
 今後におきましては、水素関連の取り組みを進めている市町村とも連携を密にし、将来的に水素の利活用が見込まれる新たな地域で、セミナー等の開催やマッチングを行うことにより、道内企業の水素関連産業への参入の促進に向けた動きを全道に広げてまいる考えであります。

道議太田憲之

環境・エネルギー分野に関連したテーマとして、本道の積雪寒冷な気候や豊富な自然エネルギーを生かした企業誘致も大変重要であると考えておりまして、データセンターの誘致については、本道の優位性を生かせる分野として、道では、これまで、積極的に取り組んできたものと承知しているところでございます。
 しかし、本道には、温泉熱や家畜ふん尿の発酵エネルギーなど、まだ十分に活用されていない自然エネルギー資源も少なくないものと考えます。  新エネルギーや省エネルギーへの関心が高まっている中、私としても、本道の積雪寒冷な気候や豊富な自然エネルギーを生かし、データセンター以外の分野にも企業誘致の幅を広げていくべきと考えますが、道のこれまでの取り組みと今後の対応についてお聞かせ願います。

立地担当課長藤村弘之

 本道の自然環境を生かした企業誘致についてでありますが、道としては、冷涼な気候に加え、豊富に賦存する多様な自然エネルギーを、本道の優位性として、企業に理解していただくことは、企業誘致に大変有効と考えております。
 これまでも、こうした情報について、データセンターのみならず、温泉熱を活用した植物工場や、家畜ふん尿を活用したバイオマス発電などを検討している企業にも、セミナーや現地視察会などの場を通じて積極的にPRしてきており、立地につながった事例もあるところでございます。
 今後とも、成功事例や各種優遇制度など、きめ細かな情報提供を行うとともに、企業ニーズを的確に把握しながら、自然エネルギーの活用について提案し、ポテンシャルを有する市町村と事業者とのマッチングを推進して、効果的な企業誘致の取り組みを進めてまいります。

道議太田憲之

 次ですが、国は、日本再興戦略において、新たな有望成長市場の戦略的創出を柱の一つに掲げまして、IoTやAI、ビッグデータといった情報通信技術を核とする新たな産業革命、いわゆる第4次産業革命の実現を目指し、ITを利活用する各般の取り組みを加速することとしております。  そこで、今後の新産業の振興に向けて鍵を握ると考えられるIT産業について伺ってまいりたいと思います。  道内のIT産業の集積、とりわけ札幌駅周辺における集積は、サッポロバレーと呼ばれるなど、全国的に注目されておりましたが、道内のIT産業に関して、現在、どのような状況になっているのか、現状についてお聞かせ願います。

三橋産業振興課長

 本道のIT産業の現状についてでございますが、本道では、これまで、北海道大学を初めとした高等教育機関の集積などを背景に、道内発のベンチャー企業が生まれてきたほか、札幌テクノパークの整備により、首都圏からの企業進出も活発化するなど、札幌を中心に、IT産業の集積が進んできたところでございます。
 道内のIT産業の規模については、業界団体が毎年発行するITレポートによりますと、最近では、全国的なIT投資の回復を受けて、平成27年度の売上高が過去最高の4213億円となり、従業員も2万人を超えるなど、本道経済を支える重要な産業に成長していると認識しております。

道議太田憲之

 産業振興に当たっては、強みや特徴を生かした取り組みが重要ではないかと考えるところでございます。
 道としては、本道のIT産業の特徴をどのように認識し、生かしていこうと考えているのか、道の御所見をお聞かせ願います。

三橋産業振興課長

 本道のIT産業の特徴などについてでございますが、ITレポートによりますと、本道のIT企業は、首都圏などの大手IT企業からの受託開発が売り上げの約半分を占めており、発注元企業の動向の影響を受けやすい環境にございます。
 一方で、持続的な成長に向けましては、受託開発に加えて、本道の基幹産業である農業分野や、成長が期待できる医療・福祉分野などとの取引の拡大が重要との意識も高くなっておりまして、酪農家向けの牛の体調管理システムや、高齢者向けの見守りシステムなどの参入事例も出てきているところであります。
 道としては、こういった分野での需要の取り込みを促進するなど、IT産業の振興に取り組んでまいります。

道議太田憲之

 それでは次に、ITの利活用による産業の競争力強化についてお伺いをいたします。
 本道においては、農業や水産業、食品加工業など食関連産業が地域の基幹産業となっておりますが、こうした産業分野での活用を目指して、農業機械や食品加工機械のIT化による生産機械の生産性の向上や省力化の促進とか、自動車のテストコースが道外のどの地域よりも多く立地する本道の環境特性を生かし、自動車のIT化による自動走行の促進など、本道ならではのITの利活用によるイノベーション、いわば北海道発の第4次産業革命の実現が期待できるのではないかと考えるところでございます。  道として、今後、こうした分野にどのように取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。

松浦産業振興局長

 ITの利活用についてでありますが、ITの利活用の促進は、需要の拡大によるIT産業自体の活性化はもとより、本道産業の競争力強化につながるものでありまして、とりわけ、第4次産業革命のコア技術とされるIoTやビッグデータ、人口知能といったIT関連技術は、各産業の省力化、高付加価値化などにつながり、産業の高度化や労働力不足といった社会課題の解決に貢献するものと認識しております。
 このため、道では、道総研や中小企業総合支援センター、ノーステック財団を中核に、昨年設置した北のものづくりネットワークを活用いたしまして、食品、機械、ITなど、産業間が連携協働した製品開発などを促進しており、例えば、画像認識を活用したジャガイモの自動芽取り機械の開発など、本道産業の競争力強化につなげる視点で、ITの利活用に積極的に取り組んでまいります。

道議太田憲之

 これまで、新産業の振興に向けた道の考え方や取り組みについて、さまざまな角度から伺ってきたところでございます。  産業や技術を取り巻く環境の変化は目まぐるしく、こうした状況に対応していくことは、道内の企業、研究者や技術者の方々、そして、こうした分野の産業振興に携わっている道の皆様にとっても困難を伴う事態であろうと受けとめているところでございます。  
しかしながら、新しい価値を創造する企業等の存在がなくては、産業の活力が徐々に失われ、時代の変化に取り残され、最後には、現状を維持することもままならなくなってしまうのではと考えるところでございます。  
そういった意味でも、新しい産業の振興は、その時々の環境変化に対応しつつ、粘り強く取り組んでいくことが何より重要ではないかと考えます。  今後、新しい産業の育成振興、さらには、国の内外からのそういった産業の導入に道としてどのように取り組んでいくお考えなのか、道の御所見をお聞かせ願います。

阿部経済部長

 本道産業の振興についてでございますが、人口減少が進む中、本道経済の持続的な発展を実現するためには、本道が強みを有する食や観光の分野における海外需要の獲得とともに、次世代を担う成長産業の創出を図り、厚みと広がりのある産業構造を形成することが重要であると認識いたしているところでございます。
 道といたしましては、国内外の経済情勢や技術革新の動向なども見据えながら、今後、成長が期待される健康長寿や環境・エネルギーの分野におきまして、健康サービス産業への参入の促進、先進的なエネルギー関連技術の研究開発や製品開発への支援などに努めますとともに、自動車の自動走行の実証試験への支援や、航空宇宙分野への参入の促進など、高い付加価値を生み出すものづくり産業の振興、AIやIoTを活用した産学官の新たな取り組みへの支援、さらには、冷涼な気候など、本道の優位性を生かした企業誘致の推進などを通じて、地域経済を牽引する企業の創出や地域産業力の底上げを図り、本道経済の活性化を加速してまいる考えでございます。

道議太田憲之

 ただいまの御答弁の中でもいろいろお話がございましたが、北海道は、距離的に遠いとか、あるのは第1次産業ばかりではないかというイメージを持たれております。
 しかし、かえって、冷涼な気候などは本道の優位性であり、また、第1次産業があることによって、農業や漁業におけるITの利活用といったことにつなげていくことができる、そういうふうに、不利と思われる点を逆手にとって利点に変えられる可能性も多く秘めているのではないかと考えます。
 北海道には、全国にも誇れるソフト開発をされている会社等もあるように、これから、IT等の新産業の振興に向けて、本当に多くの可能性があると思いますので、新産業の振興につきましては、どうか道としても御助力いただきますよう、心からお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。