平成29年第3回定例会 本会議一般質問

2017年09月22日

第3回定例会議にて一般質問させていただきました。

 1.イクボス宣言について
 2.医師確保対策について
 3.共生社会の実現について
 4.国民健康保険について
 5.夜間中学について

○太田憲之道議

 まず初めに、イクボス宣言についてであります。
 さきの第2回定例会におきまして、北海道の働き方改革に関し、私の地元・千歳市でのイクボス宣言の事例を踏まえ、職場におけるワーク・ライフ・バランスの実現について質問をし、道は、今後、働き方改革の取り組みの方向性を示す推進方策を策定する中で、子育て中のさまざまな方々も含めた多くの人材が意欲を持って生き生きと働ける職場環境づくりを促進していくとの御答弁をいただいたところでございます。
 さきに述べたイクボスとは、職場で、働く部下やスタッフの育児、介護など、ワーク・ライフ・バランスを考慮して、個人の人生と仕事の両立を成功させることを目指す経営者や管理職といった上司の総称であり、国においては、厚生労働省が、「日本総イクボス宣言プロジェクト!!」と銘打ち、イクボス宣言の動画や宣言集の作成、さらには、イクボス宣言後のフォローアップ調査等も行っているとのことであります。
 昨年11月28日に開催されました全国知事会におきまして、全会一致でイクボス宣言が採択され、宣言では、全国の都道府県知事は、みずからもイクボスとなり、先頭に立ってこの取り組みを推進すると述べた上で、各都道府県内にもイクボスをふやすため、企業等への働きかけを積極的に行うとしたものであります。
 イクボスという言葉の生みの親であります安藤哲也氏が代表を務めるNPO法人ファザーリング・ジャパンが本年6月に公表した、昨年度までにイクボス宣言をした全国の180の自治体を対象に行ったイクボス充実度に関するアンケートの結果では、都道府県から37の回答があり、このうち、北海道は34位ということでありました。
 また、イクボス宣言をしている道内の自治体は3市でありまして、アンケートの結果は、回答のあった89市町村のうち、千歳市が27位、札幌市と苫小牧市が68位ということでありました。
 道内では、本年5月、道内の企業がイクボス北海道を発足させ、また、道では、平成27年3月に第3期子ども未来づくり計画を策定し、総合的な少子化対策の推進に向け、ワーク・ライフ・バランス等に関する機運の醸成や、仕事と家庭の両立のための環境整備、父親の育児への積極的参加の促進などを積極的に推進してきているところでございます。
 また、先月28日には、熊本県知事が、熊本版のイクボス宣言であります、よかボス宣言をし、今月6日からは、よかボス企業を募集し始めたとも聞こえてきております。
 さらに、過去、平成27年には、日本創生のための将来世代応援知事同盟に加盟する12知事もそろってイクボス宣言をするなど、全国的にも広まってきているところでありますが、高橋知事におかれましても、全国知事会での宣言を踏まえて、イクボス宣言を行うとともに、庁内においては、イクボス研修の実施やイクボス宣言文の作成などの施策を行ったり、対外的には、イクボス宣言を行っていただける企業を募集するなど、具体的な取り組みを実施してはいかがかと考えますが、知事の御所見をお聞かせ願います。
 続きまして、2点目に、医師確保対策についてであります。
 北海道・東北六県議会議員研究交流大会が去る8月30日に秋田県で開催され、幅広い分野における各道県の取り組み事例などが発表されたところでありますが、地域医療対策の分科会に参加し、他県との意見交換をさせていただいた中から、数点についてお伺いをいたしたいと思います。
 まず、医師の地域偏在の解消につきまして、他県でもさまざまな取り組みをされているというお話を直接伺うことができましたが、中でも、岩手県知事からの提言メッセージは、地域医療再生のためには、国を挙げた総合的な政策が必要であるという考えのもと、地域医療基本法(仮称)の実現について訴えるものでありました。
 この基本法は、これからの時代に合った医療制度を構築するためのグランドデザインであり、医師の地域偏在の根本的な解消のために、基本的な施策の方向性を定めるものということであります。
 北海道東北地方知事会の提言の中でも、地域医療対策の充実について、12点にわたり盛り込まれていることと思いますが、この地域医療基本法(仮称)に関して、北海道知事としての御所見をお聞かせ願います。
 また、北海道からの事例発表のうち、地域医療提供体制の確保、充実に関しては、特に、道の独自事業であります、地域医療を担う青少年育成事業につきまして、他県から、大変興味深いなど、賛同する声を多数いただいたところでございます。

 この事業は、将来、地域の医療を担う人材を育成することを目的とし、地方の中学生などを対象に実施されていると承知しているものでございますが、他県との交流を深め、取り組み事例も参考にしながら、こうした、他県からも賛同される先駆的な事業をより充実させるなど、本道における医師確保対策を実効性の高いものにしていくべきと考えますが、知事の御所見をお聞かせ願います。
 それでは、3点目に、共生社会の実現について、順次お伺いしていきたいと思います。
 我が会派の代表質問で、障がい者の意思疎通に関する条例などについてお伺いをさせていただきましたが、障がいのある方もない方も、お互いが理解し合いながら、ともに暮らす社会の実現を図っていくためには、障がい特性に応じた多様な意思疎通手段を用意する必要があります。
 広い意味ではその取り組みの一環とも言えますが、我が党の障害者等マーク普及プロジェクトチームでは、東京都が進めているヘルプマークの取り組みについて、内部障がいの方や、義足、人工関節を使用している方、難病や妊娠初期の方など、外見からは、配慮を必要としているかどうかがわかりにくい方がヘルプマークを身につけることにより、周りから援助が受けやすくなり、電車などの優先席や多目的トイレを自然に利用することができるなど、個々の団体が独自に提唱している障がい者種別ごとのマークなどと比べて、すぐれていることから、各関係団体からの御意見も踏まえて、昨年6月に、ヘルプマークの全国的な普及拡大について、国に対して提言を行ったところであります。
 その後、国では、2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会を契機として、心のバリアフリーを推進するために、ユニバーサルデザイン2020行動計画を策定し、障がいへの理解と、困っている障がい者に自然に声をかけることができる国民文化の醸成に向けた取り組みを始めたことや、東京都のヘルプマークがJIS規格に新たに追加され、全国的なマークとしての認知度が一層高まってきたことなどから、共生社会の実現に向けての機運が高まりつつあるところであります。
 道におきましても、この10月からのヘルプマークの導入を決めたということでありますが、このような取り組みを進める場合には、関係団体などの声を丁寧に聞きながら進めることが重要であると考えます。
 道がヘルプマークを導入するに至った経緯と、ヘルプマークについての知事の認識をお伺いいたします。
 次ですが、東京都のヘルプマークの導入を進めている自治体は全国的にもふえており、札幌市も来月から導入することを決定したと伺っておりますが、このマークが道内の全域に周知され、活用促進が図られていくためには、札幌市以外の市町村においても導入を進めていく必要があると考えます。
 また、現在、車椅子マークを知らない方はほとんどおられないと思いますが、ヘルプマークが、周囲からの配慮を必要としていることをあらわしているマークと御存じの方は、まだまだ少なく、ごくわずかでございまして、周囲からの配慮や支援が円滑になされるためには、このマークの認知度を高めることが重要であると考えます。
 道は、ヘルプマークの活用に向けて、今後、どのように市町村と連携を図り、認知度を高めるために、どのような取り組みを進めていくお考えなのか、お聞かせ願います。
 それでは次に、4点目に、国民健康保険についてお伺いをいたします。
 急速な高齢化の進展に伴い、医療費のさらなる増加が懸念される中、医療保険制度を安定的に運営していくため、平成30年度から、都道府県が市町村とともに保険者となる新たな国民健康保険制度が導入されますが、その移行まで、残り半年となっております。
 財政や事業の運営を安定的、効率的に進めるため、北海道国民健康保険運営方針が策定され、この方針に基づき、制度移行に向けて、現在、条例改正や特別会計の設置、納付金の仮算定などの準備が進められてきておりますが、制度移行後も、引き続き、保険者として保険料の決定や収納などの役割を担う市町村におきましては、予算措置や、条例、規則の改正を初めとする制度面の整備はもとより、これまでの仮算定の結果、保険料の上昇が見込まれる市町村にあっては、適切な保険料の設定や住民への説明など、多くの課題を抱えているものと考えます。
 道内の市町村が直面するこれらの課題に対し、財政運営の責任主体となる道の積極的な取り組みが求められるところでありますが、道としてどのように取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。
 それでは最後に、夜間中学についてお伺いをいたします。
 昨年12月、いわゆる教育機会確保法が成立し、夜間中学の設置等に関する地方公共団体の役割が明確化され、さらに、法律に基づき文部科学省が策定した基本指針においても、全ての都道府県に少なくとも一つは夜間中学等を設置するという、設置促進に向けた国の姿勢が明らかにされたところでございます。
 こうした中、幾つかの県におきましては、公立夜間中学設置に向けた具体的な検討を進める動きも出てきているものと伺っているところでございます。
 一方、これまで、道教委は、札幌市教育委員会と連携しながら、設置に向けた検討を進めてきているものと伺っているところでありますが、残念ながら、現時点では、公立夜間中学設置に向けた具体的な検討までには至っていない状況でございます。
 この間、公立夜間中学のない本道におきましては、自主夜間中学を運営される方々が中心となり、道内での公立夜間中学の設置に向けて積極的に活動をされており、こうした方々の熱意は、ここ道議会にも届けられております。
 我が会派といたしましても、本道における公立夜間中学の設置が早期に実現されますよう、これまで、道議会での質疑を重ねてきたところでございます。
 こうした中、さきの第2回定例会の一般質問におきまして、夜間中学に関する道教委の取り組みについて質問をさせていただきましたところ、教育長からは、夜間中学設置のための協議会の設置について検討を進める旨の御答弁があったところでございますが、公立夜間中学校の設置に向けた道教委の今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○高橋はるみ知事

 最初に、働き方改革に関し、イクボスについてでありますが、昨年11月に開催された全国知事会においてイクボス宣言を採択し、その中で、全国の知事がイクボスとなり、先頭に立ってこの取り組みを推進することとしたところであります。
 庁内の取り組みとしては、全ての職員が仕事と生活の両立ができる職場環境づくりを進めるため、管理職員を対象として、男性職員の育児参加の促進を初め、ワーク・ライフ・バランスについての理解を深めるイクボス養成塾を開催するなど、職員の子育てへの支援などに取り組んでいるところであります。
 また、企業におけるイクボスの取り組みは、働き方改革を進める上でも重要でありますことから、道といたしましては、労働セミナーにおいて、イクボス宣言をして就業環境の改善に取り組む企業の事例を紹介することとしており、今後とも、道内の企業においてイクボスの取り組みが広がるよう、普及啓発を行ってまいります。
 次に、医師確保対策についてでありますが、北海道東北地方知事会と連携して国に提言した地域医療の基本法については、国における医師偏在対策の議論が進められる中、国と地方が一体となって医師偏在対策に取り組むものであり、地域の深刻な医師不足等の解消に有効であると認識をいたします。
 また、将来の地域医療の担い手となり得る中学生を対象とした青少年育成事業では、本年度、新たに、地域枠医師が参画して医療体験交流に取り組むなど、その充実を図ることといたしているところであります。
 道といたしましては、地域における医師を確保するため、さまざまな取り組みを着実に積み重ね、知事会とも連携を図るなどして、医師の地域偏在の解消に向けた実効性の高い医師確保対策を推進してまいる考えであります。
 最後に、共生社会の実現に関し、ヘルプマークについてでありますが、障がいのある方もない方も相互に理解を深める心のバリアフリーを推進する上で、ヘルプマークの普及は大変重要な取り組みであると考えるところであり、今般、道内の全ての市町村から御賛同いただき、札幌市と協働して、オール北海道で導入することとしたところであります。
 導入に当たっては、これまで、障がい当事者団体などに対して丁寧に説明を行い、援助が必要な方々だけではなく、手を差し伸べる側にとっても大変意義のある取り組みとの御意見をいただいているところであります。
 道といたしましては、ヘルプマークの普及を通じて、道民全体で、心のバリアフリーを大切にする気持ちを共有し、安心して暮らせる北海道づくりを目指してまいります。
 なお、その他の御質問につきましては、担当の部長から答弁をさせていただきます。

○佐藤敏保健福祉部長

 まず、ヘルプマークに関する今後の取り組みについてでございますが、ヘルプマークの導入に当たっては、全ての道民の方々にその趣旨を理解していただくことが重要でございますことから、道では、市町村との役割分担のもと、全道的な機運の醸成が図られるよう、その取り組みを進めてまいる考えでございます。
 具体的には、ヘルプマークについてのポスターやパンフレットを作成、配布いたしますとともに、道や市町村のホームページ及び広報誌への掲載のほか、市町村における妊婦健診や難病相談など、さまざまな機会を捉えてPRを行うこととしており、ヘルプマークをつけている方だけではなく、全ての道民の方々にその意味や意義を理解していただけるよう、道と市町村が一体となって普及啓発について工夫してまいります。
 次に、国民健康保険についてでございますが、道では、平成30年度からの新たな国保制度に向けて、道内の統一的な運営方針となる国保運営方針を策定し、制度移行に向けた準備を、市町村とともに精力的に進めているところでございます。
 具体的には、納付金算定に当たって、世帯ごとの所得水準の把握、交付金の精算の平準化などの工夫を行った上で、加入者負担の急激な上昇を抑制するため、1人当たりの保険料の激変緩和措置を講じるとともに、赤字解消の期間を、市町村の実情に応じて設定することといたしております。
 また、市町村の制度移行事務を円滑に進めるため、住民向け資料を作成して提供するとともに、必要に応じ、個別に説明を行っているところであり、今後とも、市町村と意見交換を行いながら、きめ細やかな支援を行い、制度移行に万全を期してまいります。

○柴田達夫教育長

 夜間中学についてでございますが、道教委では、これまで、夜間中学に関する国の調査研究事業や、自主夜間中学の関係者を対象としたアンケート調査を実施するなどいたしながら、札幌市教育委員会と連携し、夜間中学設置に当たっての課題やその解決策などについて検討を行ってきたところでございます。
 今後、より具体的な検討を進めるに当たり、教育行政や学校の関係者を初め、福祉関係者や自主夜間中学などの民間団体、学識経験者など、さまざまな立場の方々から夜間中学に関する意見を伺い、連絡調整などを行う協議会を設置することといたしており、その構成員や協議事項などについて、札幌市教育委員会と連携しながら調整を進め、年内を目途に協議会を設置し、夜間中学の設置に向け、より具体的な検討を進めてまいる考えでございます。