平成29年決算特別委員会

2017年11月10日

決算特別委員にて質問させていただきました。

 1.医師確保対策について

 2.介護職員の確保について

○太田憲之道議

 大きくは2点にわたりまして、保健福祉部所管の項目についてお伺いをしていきたいと思います。
 初めに、医師確保対策についてでありますが、北海道総合計画では、「輝きつづける北海道」を目指す姿としておりまして、その実現に向けた具体的な七つの将来像が掲げられ、その将来像の一つに、「北国で心豊かに暮らせる安全・安心社会」がございます。
 安全・安心社会の実現に向けて、持続可能な地域社会を形成していくためには、地域における安定的な医療提供体制の構築が不可欠であり、医師の確保が何よりも重要であると考えますので、道内の医師確保の現状や道としての対応などについて、以下、順次伺ってまいりたいと思います。
 まず、平成16年度に導入された臨床研修制度についてです。
 臨床研修医の平成30年度の配置先を決めるマッチングの結果が、先月、医師臨床研修マッチング協議会から発表されたところでございますが、道内で勤務する医師の増加を図っていくためには、臨床研修を実施する道内の病院で臨床研修を受ける医師をしっかりと確保していく必要があります。
 道内で研修を受けようとする医師と研修先病院とのマッチングの状況について、ここ数年、どのように推移しているのか、お聞かせ願います。

○山本医師確保担当課長

 臨床研修医のマッチングについてでございますが、本制度は、平成16年度の臨床研修の必修化に合わせ、全国の臨床研修病院と医学生が、互いの希望に沿って、合理的な採用や就職活動ができるよう導入されたものでありまして、平成30年度の採用に向けた研修医のマッチング結果が先月19日に公表されたところでございます。
 道内の臨床研修病院における過去3年間のマッチングの人数と、募集定員に対するマッチ率の推移は、平成27年度が353人で75.9%、28年度が338人で72.2%、本年度が337人で72.6%でありまして、近年、マッチ者数は300名を超える水準を維持しております。

○太田憲之道議

 おおむね70%を超えて、マッチ者数としては300人を超えるという水準で、一定の結果は出ているのかなと思うところでございます。
 道では、臨床研修を実施する道内の病院で、より多くの研修医を確保するために、道内外での合同プレゼンテーションの開催や視察体験事業などに取り組んできていると伺っておりますが、今年度のマッチングの結果を踏まえて、今後、臨床研修医の確保にどのように取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。

○山本医師確保担当課長

 臨床研修医の確保についてでございますが、道では、これまで、1人でも多くの研修医を確保するため、道内の臨床研修病院を紹介する冊子を作成し、道内はもとより、全国の医育大学に配付してきたほか、札幌と東京などで開催してきた臨床研修病院の合同プレゼンテーションにおいて、道内の臨床研修病院と連携して、魅力ある研修プログラムの周知に努めてきております。
 こうした取り組みなどによりまして、近年、マッチ者数は300名を超える水準で推移しておりますが、道といたしましては、今後とも、臨床研修病院に勤務する研修医を対象に、現在勤務する病院を選択した理由等を調査し、その結果を道内の臨床研修病院に情報提供するとともに、道内での臨床研修を希望する道外の学生を対象に札幌で開催する合同プレゼンテーションへの参加旅費を支給するほか、より効果的な合同プレゼンテーションの開催について検討するなどして、研修医の一層の確保に努めてまいる考えでございます。

○太田憲之道議

 次ですが、臨床研修医の確保はもちろんのことでありますけれども、2年間の初期臨床研修を終えた医師が、その後も、道内の専門研修施設においてキャリアを形成して、道内の地域医療に貢献してもらうことが何より重要であるかと考えます。
 来年4月からの開始が予定されている新専門医制度について、道内の基幹病院における専攻医の募集が先月から始まっていると伺っておりますが、この新たな制度のもとで、専攻医の研修先が大学病院や都市部の大病院に偏らないように、道として、これまで、どのような対応を行ってきたのか、お聞かせ願います。

○山本医師確保担当課長

 新専門医制度への対応についてでございますが、この制度の施行に当たりましては、当初、医師の地域偏在の拡大などが懸念されておりましたことから、道では、本道の実情を踏まえ、地域医療に影響を及ぼすことのない制度となるよう、全国知事会とも連携しながら、日本専門医機構や国に強く働きかけてきた中、本年6月に日本専門医機構が策定した整備指針に、研修先が大学病院に偏らず、地域の中核病院等が基幹施設となれる基準を設定することなどが盛り込まれております。
 道では、9月6日、道や3医育大学、道医師会、市町村などで構成する専門医制度連絡協議会を開催いたしまして、地域医療の確保の観点から、専門医機構が1次審査を終了した、専門研修を担う道内の基幹施設のプログラム確認を行ったところでございます。

○太田憲之道議

 一般社団法人日本専門医機構では、地域医療への影響に配慮する観点から、専攻医の研修方法を、一つの基幹病院のみでの完結型の研修ではなく、一つ以上の連携施設と研修施設群をつくって循環型の研修を行うよう、指針を整備したとのことでございます。
 道が設置している北海道専門医制度連絡協議会では、既に専門研修プログラムの確認を終えているとのことでありますが、研修施設群は、地域医療に影響を及ぼさないようなものになっているのかどうか、また、協議会の確認結果を踏まえて、道は、日本専門医機構に対して、どのような対応を行っているのか、お聞かせ願います。

○山本医師確保担当課長

 地域医療への影響などについてでございますが、9月に開催した連絡協議会におきまして、内科や外科など19の基本領域ごとに、2次医療圏域における連携施設の整備状況を協議するとともに、道内の基幹施設のプログラムについて、都市部以外で医療経験を積むことができるよう、地域の連携施設が研修施設群に含まれていることや、こうした連携施設での研修が3カ月以上であることなど、地域医療の確保に配慮されていることを確認いたしました。
 さらには、施設基準を満たした連携施設等の研修施設群への追加など、プログラムの変更手続の柔軟な対応や、今後の速やかな専門医機構からの情報提供等について、本協議会から専門医機構に対して意見を提出したところでございます。

○太田憲之道議

 それでは、次ですが、日本専門医機構の専門医制度新整備指針では、指導医1名に対して、登録できる専攻医は原則3名までとされており、基幹病院や連携施設では適切な指導医の配置が必要とされているところでありますが、例えば、内科領域では、過疎地での診療経験なども幅広い専門分野の一部との考えから、指導医が在籍しない施設を特別連携施設として認めることとしております。
 特別連携施設での研修は、基幹施設の適切な管理と指導のもと、指導の質を落とさないよう対応することとされているところでありますが、こういった施設をしっかりとサポートできるよう、基幹病院や連携施設の指導医を充実させる必要があると考えます。
 道は、今後、基幹病院などにおける指導医の確保についてどのように対応していく考えなのか、お聞かせ願います。

○粟井地域医療推進局長

 研修施設における指導医の確保についてでございます。
 道におきましては、地域医療の確保の観点から、新専門医制度の導入後も、地域の医療機関が、専門研修施設として専攻医を受け入れ、適切な研修を行うことができるよう、3医育大学に設置をする地域医療支援センターから地域の連携病院への指導医派遣などに積極的に取り組むほか、連携病院等の指導医を対象とした研修会の開催や、道外からの指導医の確保に努めるなどして、専門研修体制の充実強化を図っていく考えでございます。
 道といたしましては、こうした取り組みに加え、新専門医制度のもと、指導医が地域で活躍できるよう、北海道専門医制度連絡協議会において、道内の専門研修体制の一層の充実に向けた協議を進めていくなどして、道内で1人でも多くの指導医が確保されるよう努めてまいる考えでございます。

○太田憲之道議

 日本専門医機構では、今後、募集手続を経て、専攻医の第1次、第2次登録を行うこととしており、来年2月には、専攻医のおおよその採用見込みが判明することとなっているところであります。
 新専門医制度については、今後、募集や採用の状況を踏まえて、地域医療への影響に配慮されたものとなっているかなどの検証が必要になると考えますが、道としてはどのように対応していくのか、お聞かせ願います。

○山本医師確保担当課長

 新専門医制度における今後の対応についてでございますが、日本専門医機構は、基幹病院が専攻医の募集を進める中で、国や都道府県に対し、各基幹病院における専攻医の登録状況について中間報告をすることとなっております。
 道といたしましては、今後、専門医機構からの中間報告や、この報告に基づき国から通知される都道府県協議会の協議事項を踏まえつつ、北海道専門医制度連絡協議会において、道内の基幹病院における専攻医の登録状況や医師不足地域への配置状況などを確認し、地域医療への影響を検証するとともに、地域の医療機関に指導医や専門医が配置される制度となるよう、必要に応じて、専門研修プログラムの改善などについて、専門医機構に要望してまいる考えでございます。

○太田憲之道議

 それでは次に、地域枠医師の配置状況についてお聞きします。
 地域枠制度が導入されて、昨年度から地域勤務を開始している、平成25年度に札医大を卒業した地域枠制度の1期生の7名に加えまして、新たに、26年度に卒業の2期生の12名と、旭川医大の1期生の6名が、今年度から地域勤務を開始しておりますが、両大学の地域枠医師の地域勤務の実績についてお聞かせ願います。

○山本医師確保担当課長

 地域枠医師の配置状況についてでございますが、地域枠医師につきましては、昨年4月に、札医大卒の1期生の7名が地域勤務を開始し、現在、札医大卒の2期生、旭川医大卒の1期生を合わせて25名の地域枠医師が地域勤務をしております。
 具体的な勤務地につきましては、十勝圏域が7名、中空知、西胆振、上川北部圏域が各3名、後志、南空知圏域が各2名、南渡島、札幌、上川中部、宗谷、遠紋圏域が各1名となっております。
 また、診療科につきましては、内科が9名、総合診療科が4名、外科が3名、小児科、整形外科、麻酔科が各2名、皮膚科、耳鼻咽喉科、脳神経外科が各1名となっており、多くの地域において、幅広い診療科で地域医療に貢献していただいております。

○太田憲之道議

 さきの定例会での我が会派の代表質問で、旭川医大が地域枠に充てていた暫定定員のうち、5名を削減することに対して、高橋知事からは、5名分の貸付枠について、来年度から新たに北大の医学部入学者を対象として募集するなどして、現状の地域枠の維持を図るとの御答弁がありましたが、地域枠制度は、本道における医師の地域偏在の解消の大きな柱であり、道の地域枠32名分の医師養成確保修学資金のより確実な運用が求められているところでございます。
 旭川医大や、来年度に北大で予定している、入学後に募集する方式につきましては、その貸付枠が確実に利用されるようにする必要がございますが、道としてどのように取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。

○粟井地域医療推進局長

 修学資金制度の利用者の確保についてでございます。
 道におきましては、医師の地域偏在の解消に向けた有効な手だてである地域枠制度について、医学部を目指す高校生や教職員に十分に理解してもらうことが重要と認識しております。
 このため、道のホームページを活用した制度の周知や、教育庁が実施をする、医進類型指定校等の生徒を対象にしたメディカル・キャンプ・セミナーにおいて制度の説明を行うほか、医育大学と連携して、医学部入学者に対する制度説明会を開催するなどして、修学資金制度の利用者の確保に取り組んできているところでございます。
 道といたしましては、医学部を目指す多くの高校生等にこの制度をより知っていただけるよう、これまでの取り組みに加え、道内の進学校や予備校へのチラシ配付による制度の周知を図るほか、医育大学との連携を一層強め、医学部合格者に対する制度概要の送付やきめ細かな制度説明を行うなど、修学資金の貸付枠定員が満たされるよう努めてまいる考えでございます。

○太田憲之道議

 来年度の平成30年度は、道の地域枠制度による札医大の1期生が地域勤務を開始してから3年目を迎え、また、新専門医制度が開始されるなど、地域枠医師を取り巻く環境は大きく変化していくこととなっております。
 今後、地域枠制度による医師が増加していく中で、この制度をしっかりと検証し、地域枠医師が安心して地域で勤務できるようにしていかなければならないと考えますが、道の御所見をお聞かせ願います。

○粟井地域医療推進局長

 地域枠制度の検証についてのお尋ねでございます。
 道におきましては、平成30年度から開始される新専門医制度を見据え、地域枠医師が標準的な期間に専門医資格を取得し、地域医療への貢献とキャリア形成を両立できるよう、昨年度、修学資金貸付条例を改正し、本年4月に施行したところでございます。
 道といたしましては、今後とも、地域枠医師が、安心して地域医療に貢献しつつ、キャリア形成を図ることができるよう、引き続き、医育大学と十分に連携するとともに、新専門医制度はもとより、地域医療構想の進捗状況や次期医療計画なども踏まえつつ、地域枠制度の安定的、効率的な運用に努めるほか、地域枠医師が地域での勤務を開始して3年目となる来年度において、地域枠医師の専門医資格取得の見通しや配置先医療機関、専攻する診療科などについて検証を行い、必要に応じて、制度の見直しを図ってまいる考えでございます。

○太田憲之道議

 それでは、この項目の最後の質問になります。
 道内の医療機関に従事する医師数は、人口10万人当たり230.2人と、全国平均の233.6人に近い数字になっておりますが、2次医療圏別で見ると、医育大学がある上川中部や札幌圏では、全道平均を大きく上回る一方、宗谷、日高、根室圏域では、全道平均の半数を下回るなど、医師不足が極めて深刻な状況にあります。
 現在、国の検討会において、医師の偏在対策などの議論も進められているところですが、こうした国の議論や対策を待つだけでなく、一刻も早く、医師不足や地域偏在の解消に向けて、より主体的な取り組みを行っていく必要があると考えます。
 道は、地域医療を支える医師の確保について、今後、どのように取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。

○佐藤保健福祉部長

 今後の対応についてでございますが、道では、これまで、自治医大卒業医師の配置や、医育大学の地域医療支援センターからの医師派遣を初め、ドクターバンク事業など、さまざまな医師確保対策に取り組んできているところでございます。 本年度におきましては、先ほど担当課長が御答弁申し上げましたが、札医大に加え、旭川医大卒業の地域枠医師が地域勤務を開始し、両大学を合わせて25名の医師が地域勤務をしているほか、道内外の医学生を対象とした合同説明会の開催などによって、近年、道内の研修医採用者数が300名を超える水準にあるところでございます。
 道といたしましては、今後とも、地域の医師確保に向けたさまざまな取り組みを着実に積み重ねることはもとより、医育大学や医師会などと連携を強めながら、新専門医制度への適切な対応を図りますとともに、北海道医療対策協議会において、地域枠制度のより効果的、安定的な運用について検討するなどして、地域における医療提供体制の確保に努めてまいります。

○太田憲之道議

 るる御答弁をいただきました。道において、ある程度、医師確保の成果は出てきているかと思いますが、やはり、地域偏在は北海道独特の課題でございますので、所管部の皆様方には、これからも引き続き御尽力いただきますよう、心からお願いを申し上げまして、次の項目に移りたいと思います。
 それでは次に、2点目の介護職員の確保について伺ってまいりたいと思います。
 道では、現在、来年度からの3年間を計画期間とする第7期介護保険事業支援計画の策定を進めているところでありますが、現行の計画では、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、介護保険事業に従事する介護職員について、全国で約38万人、本道においても1万2000人以上の不足が見込まれるとの推計のもとで、介護職員の確保を図るための、理解の促進や多様な人材の確保、資質の向上、そして、労働環境、処遇の改善など、さまざまな取り組みが行われているところでございます。
 道がこれまで取り組んできた介護職員の確保に係る事業を中心に、以下、数点にわたって伺ってまいりたいと思います。
 初めに、介護福祉士等修学資金貸付金についてであります。
 この貸付金については、平成21年度から、北海道社会福祉協議会が事業主体となって、補助金を原資に貸し付けを行っており、平成27年度には、原資の枯渇から貸し付けを一時中止しておりましたが、平成27年11月に、国の一億総活躍国民会議が取りまとめた「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」の新しい第3の矢の「安心につながる社会保障」が目指す介護離職ゼロに直結する、特に緊急対応が求められる施策として、補正予算で措置され、貸し付けが再開されたとのことでございます。
 まずは、介護福祉士等修学資金貸付金の貸し付けや返還の条件など、事業の概要についてお聞かせ願います。

○岡本地域福祉課長

 介護福祉士等修学資金についてでありますが、この制度は、若い世代の福祉・介護分野への就業を促進する観点から、介護サービスの中核を担う介護福祉士を目指す学生に対しまして、修学に必要な授業料や通学費などを対象として資金を貸し付けるものでございます。
 また、昨年度から、介護福祉士の資格取得要件が改正され、養成施設の卒業生につきましても、国家試験に合格することが必要となったことを踏まえまして、模擬試験の受験料や参考図書の購入費用等を貸し付けの対象に加えるなど、より利便性の高い制度となるよう見直しを行ったところでございます。
 この貸付金は、養成施設を卒業後、償還が始まりますが、原則として、道内で5年間、過疎地域にあっては3年間、継続して福祉、介護の業務に従事した場合は、その全額を償還免除することとしてございます。

○太田憲之道議

 ただいま、貸付制度の概要についてお聞かせいただきましたが、これまでに貸し付けを受けた方々の状況や、そのうち、介護等の業務に従事しなかったり、早期に離職して償還免除とならなかった方の状況はどのようになっているのか、また、事業の効果についての認識と、平成28年度の実績についてもあわせてお伺いをいたします。

○岡本地域福祉課長

 修学資金の貸付実績についてでありますが、北海道社会福祉協議会が貸付制度を始めた平成21年度から昨年度までで、貸し付けを受けられた方は1826人、このうち、福祉・介護以外の業務についたなどの理由によって貸付金を返還することとなった方は、全体の18%、326人でございまして、それ以外の8割以上の方につきましては、道内で、福祉、介護の業務に従事しているところでございます。
 また、平成28年度におきましては、100名の枠に対して、おおむね計画どおりの90人に貸し付けが行われたところでございまして、介護職員の確保に一定の成果が上がっていると考えてございます。

○太田憲之道議

 次に、福祉人材センターについてお伺いをいたします。
 道では、福祉・介護分野における人材の確保に資するために、平成4年度に、北海道社会福祉協議会を北海道福祉人材センターに指定しておりますが、このセンターは、どのような目的で設置されたものなのか。また、人材不足が深刻になっている中で、特に、人材確保が厳しくなってきている地方での支援体制が重要と考えますが、地方での支援体制はどのような状況になっているのか、お聞かせ願います。

○岡本地域福祉課長

 福祉人材センターについてでございますが、道では、社会福祉事業に従事する人材を安定的に確保するため、平成4年10月、北海道社会福祉協議会に福祉人材センターを、また、本道の広域性を考慮して、函館、旭川、釧路、帯広、北見、苫小牧には福祉人材バンクを設置いたしまして、道内全域にわたる福祉人材の確保に取り組んできているところでございます。
 こうした中、依然として、少子化や高齢化に伴う介護需要の増加などを背景にして、近年、福祉人材の確保が課題となってございまして、特に、地方では介護職員の確保が厳しい状況にありますことから、平成21年度に、事業所等への訪問による相談支援や就業後の適切なフォローアップなどを行うキャリア支援専門員をセンター及び一部のバンクに配置し、その後も、順次、配置箇所数をふやしてきたところでございます。
 今年度には、全てのバンクへの配置を完了しておりまして、体制の強化にも取り組んできているところでございます。

○太田憲之道議

 それでは次に、介護職員等の人材を確保するために、福祉人材センターでは、具体的にどのような取り組みを進めているのか、取り組みの内容と実績についてお伺いをさせていただきます。
 また、全国より速いペースで高齢化が進む本道におきまして、センターが果たす役割はますます重要になっていくものと考えます。センターでは、介護分野を重点化して取り組むなどの検討も必要かと考えますが、あわせて、道としての御所見をお聞かせ願います。

○岡本地域福祉課長

 福祉人材センターの取り組みなどについてでありますが、センターと道内6カ所のバンクでは、来所等による相談対応や就労のあっせん、道内各地のハローワークでの出張相談などを行っており、昨年度は、求人、求職を合わせて2万1230件の相談に対応しましたほか、介護事業所等が参加する福祉職場説明会を8月と翌年2月に開催し、182件の事業所等の紹介を行い、このうち、76件が就職に結びついてございます。
 また、特に、介護分野における人材を確保するため、センターに求職登録をしている方を対象に、基本的な介護業務を習得するための介護職員初任者研修の受講料の半額を助成しておりますほか、今年度からは、離職した介護福祉士等の届け出制度が始まりましたことから、届け出のあった方に対する、求人や復職体験談等の情報発信にも取り組んでいるところでございます。

○太田憲之道議

 それでは次に、介護職員の離職対策についてお伺いをしたいと思います。
 介護職員を確保していく上で、人材育成や就業促進の取り組みも重要でありますけれども、全ての分野で有効求人倍率が上昇している中で、介護職員の確保が一層厳しくなっていることから、就業者の定着率を上げていく取り組みも重要となっております。
 介護事業所での離職の理由の主なものと、離職の状況につきまして、勤務年数別に道として把握しているものがあれば、お聞かせ願います。

○岡本地域福祉課長

 介護職員の離職の状況についてでございますが、介護労働安定センターが実施した介護労働実態調査によりますと、平成27年10月から平成28年9月までの1年間における道内の介護事業所の離職率は、正規職員、及び短時間労働者などの非正規職員を合わせて20.0%となってございます。
 これらの方々の主な離職の理由としましては、「職場の人間関係に問題があったため」が26.0%と最も高く、次いで、「結婚・出産・妊娠・育児のため」が21.2%、「自分の将来の見込みが立たなかったため」「収入が少なかったため」がそれぞれ20.8%などとなっております。
 また、これらの離職された方の内訳を勤務年数別に見ますと、1年未満が35.3%、1年から3年未満が29.4%と、合わせて64.7%が3年未満となってございます。

○太田憲之道議

 報道などでも、介護現場は、体力的にきつい、他の業種と比べて賃金が安いなどと伝えられておりますが、介護労働安定センターの実態調査の結果からは、職場の人間関係が重要な要素になっているとも考えられます。
 特に、若者については、介護分野に限らず、早期の離職率が高いことが指摘されておりますので、こうした点も踏まえて、上司や同僚などとの良好な関係のもとで、安心して働くことができる環境づくりを進める必要があると考えるところでございます。
 道として、介護職員の離職防止対策についてどのように取り組んでいるのか、お聞かせ願います。

○京谷福祉局長

 離職防止対策についてでございますが、道では、介護事業所における介護職員の職場定着が図られるよう、管理者などを対象に、雇用管理改善セミナーや、社会保険労務士による、職員の処遇改善などに関する相談支援を行ってきたところでございます。
 こうしたことに加え、昨年度からは、先輩職員が教育係となり、介護技術などの実務的な指導にとどまらず、職場生活上のさまざまな悩みなどの相談にも応じるエルダー・メンター制度を導入するための研修会も開催しているところでございまして、今後とも、離職率の低減が図られるよう、魅力ある職場づくりの支援に努めてまいります。

○太田憲之道議

 それでは次に、介護職員の資質向上についてお伺いをしたいと思います。
 介護ニーズの増加に対応していくためには、人材の確保はもとより、資質向上の取り組みが重要であると考えます。
 介護職員のスキルアップにより、職場の待遇改善や定着が図られ、利用者へのサービスの質の向上にもつながるのではないかと考えるところでありますが、道は、資質向上の取り組みとして、どのような研修を実施しているのか、お聞かせ願います。

○岡本地域福祉課長

 介護職員の資質向上についてでございますが、道では、介護の基礎的知識、基本技術などを学ぶ新任介護職員研修や、さらなるサービスの質の向上、業務管理、人材育成を進める上で求められる、技術、知識などを習得する専門研修のほか、職場のリーダー的な立場にある職員を対象に、エルダー・メンター制度の導入支援研修も実施してございます。
 また、道が主催するこれらの研修のほか、介護事業所等が、独自の取り組みとして、職員のキャリア形成を図るために実施しているリーダーシップ力養成講座や、人材育成と意欲の向上を目的とした講習など、各種の研修の費用に対する助成なども行ってきているところでございます。

○太田憲之道議

 ただいま、研修内容についてお聞かせいただきましたが、平成28年度に実施された研修の実施状況につきまして、明らかになった課題もあわせてお聞かせ願います。

○岡本地域福祉課長

 研修の実施状況についてでありますが、昨年度、道が主催した研修会の受講者数は、新任介護職員研修が7回で404人、介護職員専門研修が11回で617人、エルダー・メンター制度導入支援研修が7回で137人となっております。
 また、道の助成を受け、介護事業所等が実施した研修につきましては、127事業者で実施しており、延べ1万6063人が受講してございます。
 介護職員の研修は、職員個人のスキルアップはもとより、事業所全体のサービスの質の向上を図る上でも大変重要であると考えておりますが、事業所からは、研修中の代替職員をいかに確保するかといった課題もあると伺っているところでございます。

○太田憲之道議

 ただいま御答弁をいただきましたが、受講機会や代替職員の確保は本当に重要であると私も耳にしているところでございます。
 次ですが、職員が研修に出ている間、介護現場の負担を極力少なくするような配慮が求められていると感じるところであります。
 本道におきましては、非常に広域で、道内の各地域に多くの事業所が点在しているために、より身近な地域で研修が受けられるように、受講機会の充実確保が必要であると考えますが、今後、道としてどのような点に配慮して取り組まれるのか、お聞かせ願います。

○京谷福祉局長

 受講機会の確保についてでございますが、道では、これまで、介護事業所が多い札幌市、旭川市、函館市を中心に研修会を開催してきたところでございますが、より多くの介護職員が研修を受講できるよう、平成28年度からは、釧路市や北見市など、開催地域をふやして実施してきたところでございます。
 道といたしましては、今後とも、事業所の皆様からの御意見なども伺いながら、受講者の移動に伴う負担や、受講中に職員が不在となることなどによる職場への影響が少ない開催方法を検討するなどして、研修の受講機会の拡大を図り、介護職員の資質の向上に努めてまいります。

○太田憲之道議

 それでは、この項目の最後の質問となります。
 介護の分野は、入職率、離職率がともに高い分野と以前から言われているところでありますが、介護職員の確保が一層厳しさを増す中、高齢化の進展に伴い、介護ニーズや認知症高齢者の増加などに対応するために、介護職員の確保は喫緊の課題であると考えます。 道の役割はますます重要となってまいりますが、今後、道としてどのような取り組みを進めていく考えなのか、お聞かせ願います。

○佐藤保健福祉部長

 介護職員の確保に向けた今後の取り組みについてでございますが、道といたしましては、今後とも増加をしていく介護ニーズに対応するために、介護職員の確保は重要な課題の一つと考えておりまして、これまでも、修学資金の貸し付けや、資質向上のための研修会の開催、潜在的有資格者等の臨時的な派遣など、即効性のある取り組みに加えて、若者、主婦、高齢者など、幅広い層への介護の魅力等の普及啓発など、中長期的な視点にも立って、各種の取り組みを進めてきたところでございます。
 今後は、人材の総合的な確保対策を推進するために設置した、介護事業所団体等で構成する協議会におきまして、こうした施策の効果の検証を行いますとともに、現在策定中の第7期介護保険事業支援計画に人材確保方針を位置づけるなど、多くの人材の安定的な確保に向け、積極的に取り組んでまいります。

○太田憲之道議

 るる御答弁をいただき、いろいろ施策も考えていただいているところでございますけれども、私が今回の質問で感じたのは、離職の理由として、1位、2位、3位とありましたが、男女で理由が違うのではないかということです。特に、3位の「自分の将来の見込みが立たなかったため」「収入が少なかったため」というのは、男性の介護職員から本当によく聞かれることだと思います。いろいろ資格を取ってやってみたけれども、このままだったら結婚できる見込みもないから、ちょっと違う業種に行こうかなといった声も、まさに生で聞いているところでございます。
 今後、介護のニーズはふえてくるところでございますので、所管部として、こういった課題についていろいろと検討を進めていただければとお願いし、質問を終わらせていただきたいと思います。