平成28年第4回定例会

2016年12月05日

定例会において以下の質問をさせていただきました。

 1.北方領土問題の解決に向けた取り組みについて
 2.防災対策について
 3.特定有人国境離島地域への支援について
 4.ふるさとワーキングホリデーについて
 5.国民健康保険法に基づく運営方針の策定について
 6.本道における森林づくりについて 

道議太田憲之

 まず初めに、北方領土問題の解決に向けた取り組みに関して、民間団体との連携についてお伺いいたします。
 御存じのとおり、今月15日には、プーチン大統領が訪日し、山口県で安倍総理と首脳会談が行われる予定となっているところでございます。
 安倍総理は、さきの臨時国会の所信表明演説で、「領土問題を解決し、戦後71年を経ても平和条約がない異常な状態に終止符を打ち、経済、エネルギーなど日ロ協力の大きな可能性を開花させる。本年中に大統領訪日を実現し、首脳同士のリーダーシップで交渉を前進させていきます。」と、領土問題の解決に並々ならぬ決意を示されたところでございます。
 北方領土問題の解決に向けた機運が大いに盛り上がっているこの機を逸することなく、取り組みを強化していく必要があるものと考えます。
 道外の方とお話をする機会に北方領土問題が話題になりますと、北海道だけが返還を求めているのではないかとか、根室という一地域の問題ではないかなどといった、限られた地域だけの問題であるとの誤った認識を持つ方がまだまだ多いことに驚くところでございます。
 返還運動を国民運動として全国で盛り上げていくためには、北海道だけの取り組みでは限界があると感じるところでございます。
 そのために、全国的な組織力を持つ、例えば日本青年会議所などの民間団体と連携し、協力しながら取り組むことは大きな効果があると考えるが、道の見解をお伺いいたします。
 また、北方領土問題については、元島民の皆様が高齢化していることなどから、次の世代を担う後継者の育成が急務であることはこれまでも指摘されているところでございます。
 若い世代にこの問題をしっかりと理解していただき、かつ、全国にその思いを広げていくために、教育旅行などで隣接地域を訪れ、目前に広がる島々の姿を体感することが、何よりも北方領土についての教育につながるものと考えます。  加えて、全国から若い学生などが隣接地域を訪れることで、地域の活性化が図られるといったような副次的効果も期待できるところでございます。
 このようなことから、教育旅行の誘致促進について積極的に取り組むべきではないかと考えますが、道の御所見をお聞かせ願います。
 次ですが、学生などを含め、多くの訪問客に隣接地域を訪れていただき、北方領土を体感していただいた後に、北方領土に関する正しい情報を得ることで、知識の定着が図られるものと考えるところでございます。  北方領土隣接地域では、それぞれのまちに啓発施設があるものと思っておりましたが、さきに北方領土対策特別委員会が隣接地域に調査に伺った際、地域の方から、中標津には北方領土について啓発する専用施設がないとのお話があったと伺っております。
 これから、たくさんの方に隣接地域を訪れていただきたいと考えているところですが、管内の空の玄関口である中標津町には啓発施設がないということは、空路を利用して管内を訪れる多くの方々への北方領土に関する啓発のチャンスを逃すことになりかねないと考えます。
 こうした啓発施設を整備することについてどうお考えなのか、道の見解をお聞かせ願います。
 次に、防災対策についてお伺いいたします。  大規模地震などの災害発生時には、学校施設や公民館、コミュニティーセンター等の施設は、地域住民の応急的な避難所ともなる役割を担っているところでございます。各施設に関しては、耐震化を促進したり、必要な物資の備蓄を進めているところであり、過去、大規模な震災に見舞われた際に多くの住民を受け入れた実績が多々あるところでございます。
 しかし、震災が発生した場合、職員自身も被災者となったり、担当職員が不足することなどが想定されますことから、いざというときに、災害応急活動を行ったり、避難所を主体的に運営していくのは、行政の職員や関係機関ではなく、地域の住民であります。
 いつ起こるかわからない災害に備えて、各地では、自主防災組織を立ち上げ、防災に関する知識や技術を習得していただき、また、防災リーダーとなる人材の育成に努めていただいているところでございます。  私の地元では、町内会を初めとする地域住民が、PTAなどとの協力のもとで、学校の体育館などの避難所に実際に泊まってみて、床の冷たさやかたさを体感し、避難生活の大変さを実感することで、災害を身近に感じてもらいながら、住民の防災意識の向上を図る取り組みを行っているところでございます。
 ことしの4月に起こりました熊本地震や、北海道を襲った大雨・豪雨災害など、甚大な被害をもたらした災害では、自衛隊や消防など防災関係機関が、被災地での救助活動や復旧に大きな力を発揮したことは記憶に新しいところでございます。
 こういった、専門性と知識を持っている関係機関とも連携して、実際に避難所となる場所を利用し、地域住民や、生徒を含む学校関係者とともに訓練を行うといった、より実態に即した形での避難所訓練が必要であると考えます。
 いつ起こるかわからない災害に備えるためにも、各自治体で実施する訓練におきまして、避難所での訓練等を活用し、住民の防災意識の向上を図っていくべきと考えますが、道として、今後、どのように取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。
 続きまして、特定有人国境離島地域への支援に関して、法の施行に向けてのこれまでの道の対応についてお伺いいたします。
 我が国の領海、排他的経済水域等を適切に管理する必要性が増大していることに鑑み、国が、有人国境離島地域を保全することに積極的に関与し、住民が住み続けることが可能となる環境の整備を図る上での特別な措置を講ずるために、本年4月に、いわゆる有人国境離島法が制定され、来年度から施行されることとなったところでございます。
 この法の制定は、人口減少や高齢化の急速な進行、地域産業の低迷など、厳しい状況に置かれている本道の離島地域では強く待ち望んでいたものであり、特に、特定有人国境離島地域に指定されている礼文島、利尻島及び奥尻島は、法に基づく国の特別な措置について大いに期待をしているところでありますが、法の施行に向けて、これまで、道としてどのように対応してきたのか、お聞かせ願います。
 次ですが、有人国境離島法を所管している内閣府が財務省に要求している平成29年度の関係予算では、新たな交付金を創設し、離島住民にかかわる航路や航空路の運賃の引き下げや、地元産品などの輸送コストの低廉化を初め、滞在型観光の促進や雇用機会の創出に向けた取り組みなどについての支援策が盛り込まれているところであります。  現在、国において検討されているこうした各種支援策について、道はどのように受けとめているのか、お聞かせ願います。
 次ですが、特定有人国境離島地域の航路や航空路は、離島の産業、観光、医療などを支える、住民生活に不可欠な物流・交通路であり、これらを維持していくために、航路にあっては、道と町が協力して運賃の割引に対して補助を行い、航空路にあっては、国の補助金を活用して、事業損失額に係る補助を道において、運賃の割引に係る補助を町において行うなど、一定程度の運賃低廉化を図ってきたところであります。
 また、このたび、有人国境離島法においては、特定有人国境離島地域の航空路は新幹線並み、航路はJR在来線並みまでの運賃引き下げ額を対象に、国が支援するとのことであり、地域住民はこの支援に大いに期待しているところでございます。
 しかしながら、国の財政支援があるとはいえ、地方も国と協調して補助することが必要となることから、特定有人国境離島地域の地域社会を維持していくという法の趣旨のもと、航路・航空路運賃の低廉化に当たっては、道としても、離島の町とともに支援をしていく必要があると考えますが、知事のお考えをお聞かせ願います。
 次に、ふるさとワーキングホリデー事業の実施についてお伺いいたします。
 国では、都市部の若者などが、一定期間、地方に滞在し、働きながら田舎暮らしを学ぶ、国内版のワーキングホリデーの取り組みを支援するために、10月、都道府県に対し、ふるさとワーキングホリデー事業の実施に向けた提案を募集し、先日、北海道を含めて8道県の事業が採択されたところであります。
 本事業は、都会の学生などが、地域で仕事につきながら、地域の魅力や暮らしを実感できるものであります。この事業を通じて、人手不足が深刻な地域での人材確保が期待され、また、将来、それぞれの地域への移住にもつながる取り組みであると考えております。
 ただ、本事業の実施時期は冬期間であり、参加者の確保は簡単ではなく、道内の受け入れ企業等も限られてくることが懸念されます。この事業をどのように実施していこうと考えているのか、道の御所見をお伺いいたします。  また、本事業は、単年度の取り組みで終わらせるのではなく、本年度の取り組み結果を踏まえ、来年度以降も、道外の方々に、一年を通して、地域のさまざまな働き方や魅力を発信できるようにするなど、移住政策と連携した取り組みにつなげていくことが重要であると考えます。今後の取り組みに向けた道の考え方についてお伺いをいたします。
 次に、国民健康保険法に基づく運営方針の策定についてお伺いいたします。
 平成30年度から始まる新たな国民健康保険制度では、都道府県が域内の医療費を賄うための費用として、市町村から納付金を徴収することとなりますが、納付金の算定方法によっては、加入者の保険料に大きな影響を与えることが予想されます。  先般、道は、納付金の試算結果を公表いたしましたが、試算では、1人当たりの保険料の増加率が最大で60%以上になるなど、保険料を大きく見直さなければならないことが想定されます。加入者の急激な負担増を避けるためにも、十分な激変緩和措置を講ずる必要があると考えます。
 本道の場合は、そのための財源が多額になるものと考えますが、道はどのような激変緩和措置を考えているのか、お聞かせ願います。
 また、運営方針策定の考え方では、新たな国民健康保険制度について、道と市町村が共通認識のもとで一体となって事務を進めることや、市町村事務の広域化や効率化の推進などを方針に反映させることとしておりますが、納付金の算定方法や市町村事務の効率化なども含めて、事業運営の全般にわたり、運営方針で的確に示していく必要があると考えます。
 道として、事業運営上の課題を踏まえて、どのように方針を策定していく考えなのか、あわせてお伺いいたします。
 それでは次に、北海道森林づくり基本計画についてお伺いいたします。
  道では、本道の林業・木材産業をめぐる情勢の変化などを踏まえ、本年3月に改正した北海道森林づくり条例に基づき、今年度、北海道森林づくり基本計画の見直しに取り組まれていると承知しているところでございます。
 さきの第2回定例会において、我が会派より、計画の見直しの方向性についてお聞きした際、知事からは、伐採後の着実な植林と道産木材の需要拡大の一体的な推進や、木育を通じた道民の理解の促進などの施策を強化する旨、御答弁いただいているところでありますが、カラマツやトドマツ等の人工林が利用期を迎えていますことから、この好機を着実に捉え、本道の豊かな森林資源の循環利用を促進し、林業・木材産業を成長産業化の軌道に確実に乗せていくことが大変重要であると考えます。  道は、このたびの基本計画の素案におきまして、「森林づくりに伴い産出され、利用される木材の量」について、現状の395万立米から、20年後の平成48年度には600万立米にまで増加させるという目標を設定しております。
 森林資源の循環利用を進めていくためには、伐採後の着実な植林はもとより、産出された木材を有効利用していかなければ、循環利用のサイクルを確立することはできないと考えるところでございます。  道として、どのような考えで目標を設定したのか、また、目標を達成するためにどのように取り組んでいく考えなのか、お伺いいたします。
 次ですが、本年5月の森林法改正により、所有者の情報を整備し、森林組合等が取り組む植林や間伐などの森林施業をより集約し、効率的に行えるよう、市町村に対して、平成30年度末までに林地台帳の整備が義務づけられたところであります。
 この林地台帳の整備は、森林施業の集約、効率化のほか、造林事業や、このたびの台風被害など、災害があった際における復旧事業を円滑に進めるためにも大変重要であり、今後の森林づくりを行う上で基本となるものであります。
 しかし、我が国においては、諸外国と比較し、土地取引に関する規制が非常に緩いことなどから、林地も含め、土地を手放したまま放置されているケースが多いことが指摘されているところでございます。
 こうした問題について検討するため、先般、我が党の国会議員の有志により、所有者不明土地問題に関する議員懇談会が設立され、所有者不明の土地がふえている現状を政治主導で打開しようとする動きも出ているやに伺っているところでございます。
 林地台帳の整備に当たっては、非常に複雑で高度な業務が想定されるところでありますが、道内においては、専門技術職員が全ての市町村に配置されている状況にはなく、単独で整備するのが困難な場合も多いのではないかと考えるところでございます。  道として、林地台帳の整備に向け、作成主体となる市町村に対する支援体制づくりを急ぐべきではないかと考えますが、どのように取り組んでいく考えなのか、道の見解をお伺いいたします。

知事高橋はるみ

 最初に、北方領土問題に関し、まず、民間団体との連携についてでありますが、北方領土返還要求運動を国民運動として一層充実させ、幅広く世論の喚起を図るため、これまでも、北方領土問題対策協会が、全国各地でタレントを起用した北方領土イベントの開催や、全国の青少年や教育関係者等を根室市に招いて北方領土研修を行っているほか、全国各地の運動関係者のビザなし交流への参加、根室の高校生が道外へ出向いて行っている出前講座など、国民運動として世論が喚起されるよう、各種の啓発活動を行っているところであります。
 こうした中、戦後70年以上が経過し、この運動を今後にしっかりとつなげていくためには、日本青年会議所のような、全国に組織を持ち、返還への思いを一つにする団体と連携を進め、運動の拡大強化を図ることは重要でありますので、今後、イベントの共催や勉強会の開催など、その連携について検討してまいる考えであります。
 次に、教育旅行の誘致についてでありますが、中学生や高校生など、将来を担う若い世代に隣接地域を訪れていただき、北方領土問題を身近に感じていただくことは、返還要求運動の後継者を育成する上でも重要であり、隣接地域の活性化にもつながると考えるところであります。
 現在、根室市を初めとする隣接地域において、根室振興局と市や町などが連携し、国の支援を受けながら、教育旅行の誘致に取り組んでいるところでありますが、教育旅行のニーズも多様化し、各見学施設等も老朽化してきていることなどから、なかなか誘致が進んでいない状況にあります。  このたび、隣接地域の活性化に向けて設置された、北方領土隣接地域への訪問客拡大に向けた振興方策の検討会議などにおいて、教育旅行の誘致も含め、こうした課題について検討し、積極的な取り組みにつなげてまいる考えであります。
 次に、市町村における防災訓練についてでありますが、本年の台風災害や熊本地震などを踏まえると、大規模災害に備えた実践的な防災訓練は極めて重要であり、本年10月、猿払村と湧別町で行った道の防災総合訓練では、住民の方々に御協力をいただき、避難所の設営と運営の訓練を実施した中で、参加された方々からは、防災意識が高まったといった御意見が寄せられたところであります。
 住民参加による避難所の訓練は、災害発生時の対応や日ごろの備えについてみずから考えていただくためにも大変有効なものであり、道といたしましては、こうした訓練が各市町村で広く実施されるよう、振興局ごとに開催する、防災関係機関や市町村との会議など、さまざまな機会を通じ、働きかけを行うとともに、市町村が実施する訓練の企画立案に助言や協力を行うなど、効果的な支援に努めてまいります。
 次に、特定有人国境離島地域に関し、道の支援についてでありますが、道では、これまでも、離島で暮らす方々の生活に欠くことができない航空路や航路を保ち続けるため、路線の維持に向けた支援や運賃の低廉化を図るための補助などを行ってきているところであります。
 現在、新しい法律に基づいて、国において検討されている支援案では、交付金によって、航空路は新幹線と同程度にまで、航路についてもJRの在来線と同水準となるよう、対象の離島地域の運賃を引き下げることが可能となり、島民の定住環境の整備に資するものと期待をするものであります。  道といたしましては、今後創設される国の交付金の詳細や、他の都県の動向なども注視しながら、離島の町や関係事業者との協議を進め、航路・航空路運賃の低廉化などに向けて、検討を進めてまいる考えであります。  次に、ふるさとワーキングホリデーに係る今後の取り組みについてでありますが、ふるさとワーキングホリデーの取り組みは、都市部の若者などが、一定期間、地方に滞在し、働きながら、地域との交流などを通じて、地域での暮らしを体験することにより、将来の移住や定住にもつながるものと考えているところであります。
 このため、道といたしましては、事業の継続などについて関係者に対して働きかけるとともに、本年度、後志管内のスキー場やホテルなどで受け入れを行い、地元の方々との交流を通じて得られる事業の成果を、市町村や企業の方々にお伝えするなど、こうした取り組みに対する理解を広げることにより、受け入れ地域や企業の拡大を図るほか、東京を初め、3大都市圏で開催している北海道暮らしフェアなどを活用して事業のPRに努め、ワーキングホリデーの利用者の拡大を図り、移住・定住施策の展開に役立ててまいる考えであります。
 次に、国保の運営方針についてでありますが、本道では、産業構造の違いなどにより、納付金の算定の基礎となる所得に地域で大きな差があることから、今回の仮算定において、制度改正による保険料が大きく変動することが判明したところであり、今後の保険料の激変緩和の財源となる、国が財政措置をする特例基金の配分や、市町村において毎年の保険料の変動幅が大きくならないような算定方法などについて、国に働きかけを行っているところであります。
 また、こうした、保険料の激変緩和措置や納付金の算定方法とともに、市町村における保険料収納率の向上策や事務の効率化なども重要であると考えているところであり、道といたしましては、国保制度を将来にわたって継続的に運営できるよう、市町村との協議や北海道国保運営協議会での審議を経て、中長期的な視点に立って、国保の運営方針を定めてまいる考えであります。
 最後に、北海道森林づくり基本計画の目標についてでありますが、本道では、カラマツなど、利用期を迎えた人工林を主体として、今後、計画的な伐採により、木材供給量の増加を図る必要があることから、道では、このたび作成した基本計画の素案において、付加価値を高めた建築材を初め、地域の熱源や発電の原料など、産出される木材のさまざまな需要を積み重ね、有効活用につなげるための目標を設定したところであります。  道といたしましては、その目標の達成に向けて、CLTの実用化を初め、民間施設での木造化、木質化の普及など、建築分野での一層の利用拡大を図るとともに、木質バイオマスなど、新たな需要に対応するため、林業事業体の育成や森林整備の低コスト化により、木材の安定供給体制を構築するなど、森林資源の循環利用の確立に向けて取り組んでまいる考えであります。
 なお、その他の御質問につきましては、担当の部長から答弁をさせていただきます。

総務部長笠置隆範

 北方領土に関する啓発施設についてであります。
 現在、北方領土隣接地域には、根室市の北方館や羅臼町の羅臼国後展望塔など、五つの北方領土啓発施設が設置されておりますが、中標津町内には設置されておりません。
 地域からもその設置を要望する声があり、また、中標津町に北方領土の啓発施設があれば、空路で隣接地域を訪れる方々への啓発効果がより高まると考えられますことから、今後、地域における普及啓発の充実や、北方領土について学ぶ教育観光も含めた交流人口の拡大に向けて、啓発施設の整備などにつきまして、国や地元・中標津町ともしっかりと議論してまいりたいと考えております。

総合政策部長窪田毅

特定有人国境離島地域への支援に関しまして、まず、道としての対応についてでありますが、道では、これまでも、離島振興計画などに基づき、交通基盤の整備や水産業の振興、生活環境の向上などの各般の施策を推進してきたところでございますが、人口の減少や高齢化の急速な進行などによりまして、地域産業の後継者の確保が難しいなどの多くの課題を抱え、大変厳しい状況にあり、さまざまな支援等を進める手だてとなる有人国境離島法の早期制定について、関係機関に要請してきたところでございます。  法律の制定後、直ちに、礼文町などで構成されます離島振興協議会と一体となって、法律に示された施策の推進に必要な予算の確保などについて、国などに対して要請を行ってきたほか、支援制度の構築に当たり、離島町から強い要望がある離島航路や航空路の運賃低廉化の対象の拡充などの事項が反映されますよう、関係省庁や国会議員への働きかけなどを重ねてきたところでございます。
 次に、国の支援策についてでありますが、本道の離島地域では、本土との往来の運賃や地元産品などの物流コストが他の地域に比べて割高となっているほか、漁業後継者の確保や新規雇用の場の創出、観光客数の伸び悩みなどの課題を抱えており、現在、国において検討されている航路や航空路の運賃引き下げを初めとした支援策は、島民の定住の促進につながり、地域創生を推進していく上で大きな効果をもたらすものと期待しているところでございます。
 道としては、今回の支援策が、本道の離島の実情を踏まえた制度となりますよう、関係町と連携を密にいたしまして、引き続き、国に対して働きかけるとともに、検討状況などに関して情報収集に努め、支援策を効果的に活用し、地域の活性化につなげていくことができるよう、努めてまいる考えでございます。
 次に、ふるさとワーキングホリデーについてでありますが、本事業は、都市部の学生などに、企業等で働きながら、地域での暮らしを体験してもらう取り組みであり、年度内の実施に向けまして、スキー場やホテルなど、冬期間に人手不足が見込まれる地域や業種を中心に、市町村を通じ、受け入れ企業等の取りまとめを行い、事業を展開してまいる考えでございます。
 また、参加者の確保に向けて、サイトを開設いたしますとともに、東京のふるさと移住定住推進センターを初め、大阪、名古屋における募集説明会の開催のほか、大学等を訪問してのPR活動を展開することとしており、1人でも多くの若者に、地域ならではの仕事や暮らしの魅力を知ってもらうことにより、移住者の掘り起こし、地域産業の担い手の確保などにつなげてまいる考えでございます。

水産林務部長小野寺勝広

林地台帳の整備にかかわり、市町村に対する支援についてでございますが、林地台帳は、森林法の改正に伴い、市町村が、森林の所有者や位置など、森林整備に必要な情報を平成30年度末までに取りまとめて公表するものであり、森林組合などがこの台帳を活用することで、計画的な森林施業の一層の推進につながると考えております。
 道といたしましては、今後、台帳の整備に当たり、システムの導入に対する地方財政措置や国の事業の活用を促すほか、情報の入手、確認の方法、スケジュールなどを示す整備方針を市町村と連携して作成するとともに、議員の御指摘を踏まえ、振興局ごとに、より精度の高い情報の集積に向けた協力体制を構築するなど、市町村に対する支援に積極的に取り組んでまいる考えでございます。