夜間中学について

2015年12月07日

予算特別委員会第2分科会において夜間中学について質問させていただきました 

道議太田憲之

  文部科学省は、戦後の混乱や貧困、不登校などが理由で義務教育を修了できなかった方々が通う公立中学校夜間学級を全都道府県に最低1校は設置できるよう、地方自治体への財政支援に乗り出したところであります。
 公立中学校夜間学級は、現在、8都府県で31校設置されており、約1800名の生徒が通学しておりますが、北海道には中学校夜間学級が設置されておらず、義務教育未修了者は、ボランティアの方々が運営する道内の4カ所の自主夜間中学において学習している現状であり、自主夜間中学を卒業しても中学校の卒業資格を得ることはできず、公立での設置が望まれているところであります。
 そこで、公立中学校夜間学級に関して、順次お伺いをいたします。
 まず初めに、道教委は、昨年の第3回定例会における我が会派の同僚議員の質問に対し、道内の市町村教育委員会を対象に、義務教育を未修了のまま学齢を超過した方々の学習ニーズに関する相談などの実態を把握し、対応を検討すると御答弁をされましたが、その後、どのように実態を把握したのか、お伺いいたします。

教育環境支援担当課長岩渕隆

 実態の把握についてでございますが、昨年度、中学校夜間学級の設置に係る検討状況などを把握するために国が実施した、中学校夜間学級等に関する実態調査において、中学校夜間学級に関する住民からの問い合わせ状況を確認したところ、道内では、問い合わせを受けた市町村はなかったところでございます。
 また、道内の4カ所の自主夜間中学に担当職員が出向き、中学校未修了者を対象として、そのニーズなどについて聞き取り調査を実施しましたが、プライバシーの問題等から確認することができず、調査のあり方が課題として残ったところでございます。

道議太田憲之

 ただいま、ニーズ調査のあり方が課題として残ったとの御答弁がありましたが、過去、平成21年第2回定例会の質疑の中でも、プライベートな問題が絡むデリケートな課題で、なかなか調査が難しいということでありました。まさに、今回の結果もそのとおりで、難しいものだったと私としては受けとめております。
 この結果を踏まえて、課題に対して、どのように対応していく考えなのか、お聞かせ願います。

岩渕教育環境支援担当課長

 実態調査についてでございますが、道教委では、昨年度の課題を踏まえ、改めて、自主夜間中学の生徒やスタッフへの調査を1月末までに実施することとしているところでございます。
 今回の調査では、プライバシーへの配慮から、義務教育未修了者に対象を限定せず、自主夜間中学の全生徒に対する無記名のアンケート調査を行い、年度内に結果をまとめる考えでございます。

道議太田憲之

 ただいま、夜間学級の設置の検討を行うために、今年度は、自主夜間中学に関するアンケートを実施するとの御答弁でありましたが、どのような内容のアンケート調査を行っていくのか、お聞かせ願います。

岩渕教育環境支援担当課長

 アンケート調査の内容についてでございますが、道内の4カ所の自主夜間中学の全生徒を対象として、中学校の卒業状況、夜間学級が設置された場合の就学の意向やその理由、夜間学級への要望など、また、スタッフに対しては、夜間学級への通学希望者の把握、教育内容や方法、生徒への配慮事項などについて、選択項目を設けて、求められる夜間学級のあり方などを調査することとしているところでございます。

道議太田憲之

 ぜひとも、しっかりと調査して、今後につなげていただきたいと強く思うところであります。
 次ですが、道教委では、今年度、札幌市と連携し、中学校夜間学級の設置促進に係る国の委託事業に着手したと伺っております。どのように取り組みを進めていくお考えなのか、お聞かせ願います。

岩渕教育環境支援担当課長

 札幌市と連携した取り組みについてでございますが、現在実施している国の委託事業は、中学校夜間学級の設置に当たっての課題やその解消策に関する調査研究を目的としており、中学校の設置主体である市町村の観点を踏まえた調査研究を進める必要があることから、札幌市に協力を依頼したものでございます。
 これまでの取り組みは、10月に、札幌市教育委員会の職員とともに、他県で設置されている夜間学級の実情把握を行うとともに、先ほど申し上げました、学習ニーズなどを把握するアンケート調査についても、質問項目の作成に当たって意見を聞くなどして進めてきたところであり、今後とも、本事業を進めるに当たり、札幌市教育委員会と十分連携しながら取り組んでまいる考えでございます。

道議太田憲之

 アンケートに関しては、もう既に一緒に協力されているということなので、非常に心強く感じたところであります。
 また、今の答弁の中で、この調査研究事業において、夜間学級を設置している道外の自治体の調査を既に実施したということでありますが、どのような状況であったのか、お聞かせ願います。

岩渕教育環境支援担当課長

 他県の状況についてでございますが、中学校夜間学級を設置している5都府県の教育委員会及び中学校4校を訪問し、職員からの聞き取りや、授業の様子を拝見したところでございます。

 いずれの学校も、若年者から高齢者まで、さまざまな年齢の方が在籍していること、これまでの生活経験や学習状況の差が大きいこと、健康面の配慮を必要とする70代や80代の方も通学していること、日本語での会話が難しい外国籍の方も通学していることなどの状況が見られたところでございます。

 このような環境のもとで、夜間学級の取り組みとして、ボランティアを活用し、多様な生徒に対応するきめ細やかな指導を行っている取り組みや、在学期間を3年間に限定せず、6年間や9年間まで可能としている取り組みなど、学級編制や指導体制の工夫が見られたところでございます。

道議太田憲之

 他県の状況を調査することにより、本道で夜間学級が設置される場合の課題が見えてきたのではないかと思うところでありますが、北海道として、どのような課題があると捉えているのか、お聞かせ願います。

岩渕教育環境支援担当課長

 設置に当たっての課題についてでございますが、他県の視察において把握した、在学期間や学級編制の工夫、生徒の実態を踏まえた教材の開発や、それら教材を活用した指導の工夫、高齢の生徒に対する健康面への配慮、日本語に習熟していない外国人への対応などのほかに、複数市町村から入学者を受け入れる場合の市町村間の調整方法、夜間学級のための専用の職員室や教室等の確保など、さまざまな課題があると承知しているところでございます。
 今後、調査研究を進めていく中で、札幌市教育委員会と協議を進め、年度内に、設置に当たっての課題の整理をしてまいる考えでございます。

道議太田憲之

 道内では、札幌、旭川、函館、釧路の4市で、初めに申し上げたとおり、ボランティアによる自主夜間中学が開設されておりまして、地域の方々の学びを支援していると伺っております。
 今後、自主夜間中学との連携も必要ではないかと考えるところでありますが、道教委としてはどのように対応していく考えなのか、お聞かせ願います。

学校教育局長梶浦仁

 自主夜間中学との連携についてでございますが、自主夜間中学では、これまで、義務教育を十分に受けることができないまま学齢期を超過してしまった方々に学ぶ機会を提供するなど、学びを希望する方々にとって重要な活動が行われていると認識しているところでございます。
 このため、道教委では、先ほど担当課長が申し上げました、自主夜間中学へのアンケート調査などによりまして、自主夜間中学の取り組みについて把握し、夜間学級の設置に係る意見を伺う予定でありまして、今後は、こうした取り組みを踏まえながら、自主夜間中学との連携のあり方などについて検討してまいる考えでございます。

道議太田憲之

ぜひとも、しっかりと協力連携体制をつくっていただきたいと思うところであります。
 また、この点とは違いますが、北海道で未就学者数が第4位である苫小牧市におきまして、自治体として初の取り組みである、夜間中学と同様の講座を開講するといった事例もありますので、夜間学級のみならず、こういった自治体の取り組みも広がっていくように、しっかり注視していただきたいと願うところであります。
 最後ですが、2010年の国勢調査によりますと、道内には、義務教育を修了していない方々が、大阪に次いで全国2番目に多い7374人もおられるという結果が出ているところであります。  このような現状や本道の広域性を踏まえて、今後、各地域で夜間学級を設置することが必要ではないかと考えますが、道教委としてはどのように取り組みを進めていく考えなのか、お聞かせ願います。

教育長柴田達夫

 中学校夜間学級に係ります今後の取り組みについてでございますが、学齢期に、さまざまな事情や病気などの理由によりまして、義務教育を修了しておられない方々や、不登校等の理由で、ほとんど学校に通えないまま、学校の教育的配慮により、中学校を卒業したものの、中学校で学び直すことを希望しておられる方々などに学習の機会を確保することは重要でございまして、中学校夜間学級での学習を希望しておられる方々のニーズを踏まえて対応していくことが大切であると考えております。
 道教委といたしましては、今後、各市町村の教育委員会が、必要に応じて設置の検討を進めることができるよう、夜間学級が果たす役割を紹介する広報活動や、設置に当たって整理が必要な課題や取り組みなど、今回の調査で得られた結果について情報提供を行うとともに、引き続き、国の動向を注視しながら、課題解消のために必要な対応について検討を進め、義務教育の機会の確保に努めてまいりたいと考えております。

道議太田憲之

 まずは札幌市にできるのじゃないかということでありますが、データからは、都市部のみではなく、胆振管内や十勝管内にも義務教育未修了者は多く見受けられますので、教育機会の均等の観点からも、札幌市以外にもこのような夜間学級が必要であると考えます。
 また、外国人に関しては、コミュニケーションツールが普及していることから、夜間学級の認知度はあるのですが、日本人の未修了者に関しては、その存在を知らないといったこともありますので、今言われましたように、広報活動についてもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 また、先ほど述べられましたように、課題の整理等も含め、公立中学校夜間学級の設置に向けて、さまざまな取り組みを進めていただくように強くお願いを申し上げ、私からの質問を終了させていただきます。