どうみん割について

2020年09月28日

○太田憲之委員 
まず初めに、観光需要喚起等についてお伺いをいたします。
道は、新型コロナウイルス感染症拡大で甚大な影響を受けた観光関連産業への支援のために、7月からどうみん割を実施し、報道によれば、道民の皆様から好評を得ており、あっという間に完売した温泉旅館やホテルもあったとのことであります。
しかし、この感染症の拡大は続いておりまして、その影響もあって、日本旅館協会北海道支部連合会によれば、お盆の時期を含む8月の宿泊実績でも、前年比で53.2%と、約半分にとどまったとのことであります。
このような中、現在、どうみん割に加えまして、国の「Go To Travel」が始まっているところであります。
以下、本定例会に予算案が提案されております、「どうみん割+(ぷらす)」をはじめとする観光需要の喚起策等について、順次伺ってまいります。

まず、7月から開始しておりますどうみん割では、一昨年のふっこう割事業で対象外としていた、宿泊事業者への直接予約の仕組みに対する支援を初めて導入しておりますが、道がこうした制度を取り入れた理由と予算配分についてお聞かせ願います。

○匂坂観光局参事
直接予約の仕組みなどについてでございますが、胆振東部地震後に実施したふっこう割では、旅行会社が販売する旅行商品を主な対象としていましたことから、宿泊事業者の皆様からは、旅行会社と契約しているホテルや旅館が有利で、小規模事業者にはほとんどメリットがなかったなどの御指摘をいただいたところでございます。
このため、どうみん割では、旅行会社と契約していない小規模事業者も参加しやすくなりますよう、観光協会に加え、宿泊施設への電話などでの直接予約について対象に加えたところでございます。
割当てにつきましては、予算額の23億円のうち、半額程度の約11億円を宿泊事業者などの直接予約分に配分し、残額を旅行会社などに配分したところでございます。
旅行会社におきましては、宿泊旅行商品、交通つき宿泊旅行商品、交通つきアウトドア体験などの日帰り旅行商品を販売したところでございます。

○太田憲之委員
ただいま伺ったどうみん割に関しては、7月から開始されて、既に2か月が経過をしているところであります。
8月までの販売実績や予約状況は、事業形態ごとにどのようになっているのか、お伺いいたします。

○匂坂観光局参事
どうみん割の販売実績等についてでございますが、販売実績につきましては、対象事業者から毎月報告されることとなっておりまして、8月末現在、1471対象事業者で、7月から8月末までの2か月間での実績額は約12億円となっております。
その内訳は、宿泊事業者が約6億円、旅行会社などが約5億円、観光協会などが約1億円となっているところでございます。
なお、9月以降の予約状況につきましては、今後調査してまいる考えでございます。

○太田憲之委員
それでは次に、本定例会に予算案が提案されております、観光需要喚起のために道民の道内旅行を支援する「どうみん割+(ぷらす)」について、順次伺ってまいります。
我が会派の代表質問では、現在のどうみん割に関し、料金体系が限られている小規模事業者に配慮する観点などから、柔軟な運用の必要性について質問をさせていただきましたところ、「どうみん割+(ぷらす)」では、1泊6000円未満の宿泊商品について対象に加えるなど、観光関連産業の回復につながるよう取り組むとの答弁がありました。
具体的に、この点についてどのように考えているのか、支援額も含めてお伺いをいたします。

○匂坂観光局参事
「どうみん割+(ぷらす)」の対象範囲についてでございますが、7月から実施しているどうみん割では、宿泊料金が6000円未満の商品について対象としておりませんが、「どうみん割+(ぷらす)」におきましては、道議会での御議論も踏まえ、新たに加えることとしたところでございます。
「どうみん割+(ぷらす)」の下限額の設定につきましては、3000円未満は観光目的以外での利用が多く、観光需要喚起という観点から、3000円とする方向で検討しているところでございます。
また、具体的な割引額につきましては、きめ細かく区分することにより、割引額が宿泊料金のおおむね5割に近づくよう、小規模事業者に配慮することとし、1泊の宿泊料金が5000円以上6000円未満の場合は2500円、4000円以上5000円未満の場合は2000円、3000円以上4000円未満の場合は1500円に設定する考えでございます。

○太田憲之委員
これまで、どうみん割については、宿泊事業者への配分額が少なかったといった声や、予算配分の通知が遅くて準備が間に合わないといったような声が寄せられたと伺っております。
このたび道が予算計上を予定しております「どうみん割+(ぷらす)」では、前回のどうみん割の反省点も含めて、どのような点を改善する考えなのか、お聞かせ願います。

○増田誘客担当局長
「どうみん割+(ぷらす)」での改善点についてでございますが、関係団体の方々からの御要望や道議会での御議論も踏まえ、国のGoToトラベル事業終了後の来年2月から切れ目なく、道内の観光需要の喚起に向けて、どうみん割を拡充することといたしまして、小規模事業者への対応として、1泊6000円未満の宿泊商品を対象に加えますとともに、離島での特例として、割引率の引上げや実施時期の前倒しを行うこととしたところでございます。
事業の実施に当たりましては、参加する事業者の皆様が、創意工夫を生かした計画的な販売や商品造成ができるよう、十分な準備期間を設けるなど、募集期間や配分額の通知時期、販売開始日等を考慮した上で、委託先のコールセンターを活用して、問合せなどにもきめ細かく丁寧に対応し、混乱が生ずることのないよう取り進めてまいる考えでございます。

○太田憲之委員
「どうみん割+(ぷらす)」は、国の「Go To Travel」の終了後の来年2月から3月に見込まれる観光需要の落ち込みを緩和するために実施するとのことでありますが、「Go To Travel」の終了予定は来年1月末とされているものの、終了時期は、当面とされておりまして、延長される可能性を含んでいるところであります。
今後、新型コロナウイルス感染症の流行状況によっては、国の事業が延長されることも考えられます。
そういった場合に、「どうみん割+(ぷらす)」の運用についてどのように考えているのか、道の考えをお聞かせ願います。

○匂坂観光局参事
「Go To Travel」との関係についてでございますが、国の「Go To Travel」につきましては、7月22日から、東京都に在住している方の旅行を除き、全国で開始され、また、10月1日からは、東京都発着の旅行も追加されることとなったところでございます。
「どうみん割+(ぷらす)」につきましては、GoToトラベル事業の来年1月末の終了後の2月から開始する予定としており、新型コロナウイルス感染症の状況はもとより、「Go ToTravel」の動向や、道内各地で行われている、旅行需要喚起に向けた施策の動向などを注視しながら、国の事業が延長になった場合にも対象事業者が円滑に事業展開できるよう、適切に運用してまいる考えでございます。

○太田憲之委員
流動的な状況ではありますが、ぜひとも、しっかりとつなげて運用していくようにお願いするところでございます。
そして、どうみん割では、旅行商品価格の範囲ごとに、定額で割引額を設定しておりますが、一方で、国の「Go To Travel」に関しましては、35%の定率での割引となっております。
道は、今回の「どうみん割+(ぷらす)」でも定額制にするとしておりますが、定率制にしない理由についてお聞かせ願います。

○匂坂観光局参事
定率割引の検討についてでございますが、割引額を定率制にした場合、どの価格帯の旅行商品でも同じ割引率が適用される一方で、宿泊料金を含む旅行商品の割引額について、事業者が、端数処理も含めて計算し、確認する必要があるとともに、特に宿泊商品については、同じ商品でも、利用時期や曜日、利用人数などで料金が変動し、複数の料金が生じるなど、事務処理上の負担がより大きくなるものと考えております。
このため、どうみん割では、料金区分ごとに割引額をあらかじめ設定することにより、利用者にも分かりやすく、事業者にとって、事務処理上も簡便な制度としたところでございます。

○太田憲之委員
例えば、今では携帯電話で簡単に予約も取れて、それだと自動的に金額も計算してくれるところでありますが、そういったものを活用していない小規模事業者に配慮していると理解しました。
次ですが、「どうみん割+(ぷらす)」は、「Go To Travel」やどうみん割が終了する来年2月から実施する予定とのことでありますが、離島につきましては、11月から前倒しで実施して、割引率についても、さらに10%上乗せして、最大割引額も1万2000円とするとのことであります。
離島の冬の気候条件や交通機関の実情を考えれば、11月といわず、準備ができ次第、この特例措置の趣旨を踏まえて、できるだけ早期に特例を実施すべきではないかと考えますが、道の見解をお聞かせ願います。

○増田誘客担当局長
「りとう+(ぷらす)」特例の実施時期についてでございますが、フェリーや飛行機の利用が必須である離島観光は、季節や天候による影響を受けますことから、地域からは、早期の実施を期待されているところでございます。
このため、今定例会で提案しております予算案について議決をいただいた後、速やかに準備を進めまして、その準備が整い次第、可能な限り早期に実施してまいりたいと思います。なお、離島における交通機関の欠航により延泊を余儀なくされた場合につきましては、1回の旅行につき5泊の泊数制限にかかわらず、全て割引の対象とする考えでございます。

○太田憲之委員
 離島への支援になることは喜ばしいことでありますが、離島での医療体制は一般的に脆弱であると言われておりまして、離島における感染症対策は、島民の生活に直結する大変重要な問題でもあります。
道として、観光客の誘客を促進するに当たりまして、どのように感染症対策を行っていく考えなのか、お聞かせ願います。

○大内経済部観光振興監
「どうみん割+(ぷらす)」に関し、離島における感染症対策についてでございますが、医療体制が脆弱な離島におきまして、新型コロナウイルス感染症に加えまして、例年、秋からはインフルエンザの流行期でもあり、感染症防止対策は非常に重要であると考えております。
このため、島民の皆様をはじめ、渡航される皆様には、「新北海道スタイル」を実践していただくとともに、事業者の皆様には、業界のガイドラインの遵守や検温などの水際対策の徹底を、旅行者の皆様には、体調管理をはじめとした「新しい旅のエチケット」について御留意いただくなど、島民、事業者、旅行者とが一体となって取組を徹底していただくよう、改めて周知を行い、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図りつつ、離島における、秋冬の観光需要の掘り起こしにつながるよう取り組んでまいります。

○太田憲之委員
ぜひとも、今言われた旨の周知をお願いするところであります。それでは次に、GoToトラベル事業の活用についてお伺いいたします。
国のGoToトラベル事業につきましては、10月1日から、東京発着の旅行についても対象となり、本格的な運用段階を迎えることとなります。
この事業では、旅行商品の35%割引や、地域共通クーポンの15%付与が受けられるなど、従来にない大型の支援策であり、その需要喚起効果に大きな期待が寄せられているところであります。
しかしながら、「Go To Travel」の対象が全国民となり、全国各地で誘客競争が激化することも想定されます。

道として、他の地域に観光客を奪われないように、戦略的に対策を講ずるべきと考えますが、道としてどのように取り組んでいく考えなのか、お聞かせ願います。

○増田誘客担当局長 
「Go To Travel」の活用についてでございますが、「GoTo Travel」につきましては、旅行商品の割引に加え、10月1日からは、お土産店などで使用できる地域共通クーポンが開始されますとともに、除外されていた東京都発着の旅行が追加され、地域経済への一層の波及効果を期待しているところでございます。
道といたしましては、感染状況を注視しながら、今定例会に提案しております広報予算を活用し、道内向けには、「どうみん割+(ぷらす)」の周知のほか、「Go To Travel」を利用した道内旅行を促すプロモーションを行いますとともに、道外に向けましては、東京発着分への対象拡大を見据えまして、大都市圏を中心に、秋冬の本道の魅力について、CM、広告による戦略的なPRや情報発信を行うこととしておりまして、国の事業も効果的に活用しながら、本道の観光需要の回復につなげてまいります。

○太田憲之委員
それでは次に、観光のくにづくり行動計画の見直し等についてお伺いいたします。
道では、現在、今年度が最終年度となります観光のくにづくり行動計画の見直しを行っているとのことでありますが、新型コロナウイルス感染症は、特効薬やワクチンがないため、終息には相当な時間を要すると言われているところであります。
そのような中、道は、現在の行動計画の見直しに向けて、これまでどのように検討を進めてきたのか、また、今後どのようなスケジュールで取り進めていく考えなのか、お聞かせ願います。

○鶴蒔観光局参事
行動計画改定の検討状況についてでありますが、道では、本道の観光振興施策の基本となる事項などを定める次期観光のくにづくり行動計画を策定するため、7月に観光審議会に諮問したところであり、8月に、学識経験者や専門家で構成する計画部会を開催し、本道観光の現状などを説明の上、論点整理を行うなど、議論を開始したところでございます。
道といたしましては、今後、10月上旬から中旬にかけて、庁内関係課との打合せを行うとともに、道内の各地域の市町村や観光協会、観光事業者等へのヒアリングを実施いたしまして、10月下旬をめどに、第2回目となる計画部会において御議論をいただいた上で、11月上旬に開催予定の観光審議会での議論を踏まえ、今後の方向性を示す基本的な考え方の中間取りまとめを第4回定例会までにお示ししたいと考えているところでございます。
中間取りまとめの後の行動計画につきまして、国内外における新型コロナウイルス感染症の終息状況や、道内の観光需要の回復状況などを見極めながら、継続して検討してまいります。

○太田憲之委員
新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中で、次期計画では、感染拡大防止の徹底と社会経済活動の両立を意識していく必要がありますが、コロナ禍を踏まえた目標指標や計画期間についてどのように考えているのか、お聞かせ願います。

○佐藤観光局長
次期行動計画の目標などについてでございますが、現行の第4期行動計画では、観光入り込み客数や観光総消費額、リピート率など、7項目について目標指標を設定しておりますが、昨年の日韓における国際情勢の影響や、今年に入ってからの新型コロナウイルス感染症の影響による旅行需要の減少などから、今年度末の計画期間満了までの数値目標の達成は難しいものと考えております。
こうした状況も踏まえまして、次期行動計画における目標指標について、現在、計画部会において検討を開始したところでありまして、道といたしましては、感染症への対応はもとより、道内空港の一体的な運営や、アドベンチャートラベルの推進などの取組にも対応し、中長期的な視点によるインバウンドの取り込み方策を含めた、新たな時代にふさわしい行動計画として取りまとめていきたいと考えております。
計画の期間につきましても、北海道総合計画の見直し状況や、国の次期観光立国推進基本計画の期間なども踏まえつつ、検討してまいる考えでございます。

○太田憲之委員
次期計画では、ウィズコロナ・アフターコロナ時代の難しいかじ取りが求められておりますが、当面、年内に取りまとめる基本的な考え方では、どのような方向性を示す予定なのでしょうか。
このたびの新型コロナウイルス感染症で最も大きな影響を受けている分野の一つでもある観光の振興に、今後どのように取り組んでいくのか、道の考えをお聞かせ願います。

○大内経済部観光振興監
観光のくにづくり行動計画の見直しに関し、今後の対応についてでございますが、次期行動計画の策定に当たりましては、現下の新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、インバウンドはもとより、道内客、道外客のいずれも激減しておりまして、今後、観光需要の回復状況を見極めながら、将来を見据えた議論を行っていく必要があるものと認識しております。
これまで、観光審議会におきましては、環境へ配慮した持続可能な観光の実現に向けた提言や、旅行の高付加価値化を図り、量から質へシフトしていくべきといった御意見、さらには、インバウンドの回復に時間がかかる中、まずは、国内需要の喚起に注力するほうがよいといった御意見を頂いたところでございます。
道といたしましては、こうした観光審議会での御議論はもとより、庁内各部や地域へのヒアリングを通じた策定作業を進める中で、ウィズコロナ・アフターコロナ時代を見据えました、国内外の方々にとって魅力ある観光立国・北海道の再建に向け、取組を進めてまいります。

○太田憲之委員
いろいろ伺ってまいりましたが、観光関連産業は本道の重要な産業でありまして、今後の観光施策について知事に直接お伺いしたいと思いますので、委員長、お取り計らいのほどよろしくお願いいたします。

それでは次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺ってまいります。

道は、本定例会を前に、新型コロナウイルス感染症対策に関する検証の中間取りまとめを行い、この中で、社会経済への影響対策などについても、今後の対応方向を示しているところであります。このたびの補正予算で一定の措置が取られているものもありますが、今後に残された課題も少なくありません。

以下、新型コロナウイルス感染症対策に関し、数点伺ってまいります。

金融対策に関する我が会派の同僚議員の一般質問に対し、知事は、今後、年末の資金需要を控え、さらなる借入れの増加も見込まれるとして、このたびの5000億円に上る融資枠拡大の理由を説明したところであります。
既存の融資枠の1兆円や政府系金融機関の融資枠などを合わせれば、相当額の融資枠を確保できたものと評価するところでありますが、一方で、企業の財務内容の健全性を確保する観点からは、将来の返済も考慮しなければならず、やみくもに負債を拡大することはできないのではないかと考えます。
売上げが前年比で大幅なマイナスから抜け出せない道内の中小・小規模企業にとって、資金確保に限界があるとすれば、今後、企業経営は極めて厳しい状況に直面することになると考えます。
検証の中間取りまとめでは、「中小・小規模企業の資金繰りを切れ目なく支援する。」としているところでありますが、従来の資金繰り対策では対応が困難な道内の中小・小規模企業を、今後どのように支援していく考えなのか、道の見解をお聞かせ願います。

○三島地域経済局長
中小・小規模企業への支援についてでございますが、感染症の影響が長期化する中、本道の中小・小規模企業を取り巻く環境は、資金繰りの悪化や需要の低迷など、厳しい状況が続いているものと認識をしております。
こうした中、道では、無利子融資制度の実施や、企業からの相談にワンストップで対応する窓口の設置など、事業継続に向けた支援策に加え、感染リスクを抑えながら事業活動を活性化するための専門家派遣、販路開拓や設備導入支援などの取組を進めているところでございます。
道といたしましては、引き続き、円滑な資金繰り支援はもとより、プレミアムつき商品券などによる地域の消費喚起に取り組みますとともに、様々な対策を講じても、なお苦境にある事業者に対しましては、関係機関と連携し、ニーズに応じて、再生計画の策定支援や後継者人材バンクの活用促進を行うなど、中小・小規模企業の事業の維持、継続と雇用の安定が図られるよう、しっかり対応してまいります。

○太田憲之委員
道内でも、多くの企業が、宿泊や飲食、運輸、卸・小売など、様々なサービス業を営んでいますが、こうした企業では、業務の特性から、ある程度の対面接客業務は避けられず、顧客に安心してサービスを購入していただくためばかりではなく、従業員の方々にも安心して働いていただけるよう、環境を整える必要があると考えます。
こうしたことから、自社の従業員等が新型コロナウイルス感染症に感染していないことを確認するために、企業として、独自にPCR検査を従業員等に受けさせるケースが増えていると伺っております。
現在の感染症に関する法的枠組みの下では、症状のない方や、感染者の濃厚接触者でない方は、公費で検査を受けることができないと伺っておりますが、こうした検査費用の全額を自社負担で実施することは、経営基盤が盤石な大手企業でなければ難しいのが実態です。
道内の中小・小規模企業が、事業継続のために必要なPCR検査等を実施する際、道として支援することも一案として検討すべきではないかと考えますが、道の見解をお聞かせ願います。

○山岡経済部長
感染症対策への支援についてでありますが、感染症の影響が長期化する中で、感染リスクを低減させながら、企業活動の維持、継続を図っていくことが極めて重要と認識しております。
一方、中小・小規模事業者が任意で行うPCR検査への支援に関して、道民の皆様の中から、道内中小企業の約14万社の従業員の120万人の方々のみを対象とすることや、顧客と直接接する機会が多い、法人、個人の飲食業の約3万事業所の17万人の方々のみを対象とすることについては、公平性、妥当性など、多くの議論が予想されるところです。
道といたしましては、現在、「新北海道スタイル」の実践を提唱し、全道でその普及に取り組んでいるほか、小規模事業者や地域の商店街、宿泊施設などにおける感染予防設備の導入支援や、感染リスクを抑えながら事業活動を活性化するための専門家の派遣などを展開し、感染症に強い事業所づくりに注力しており、引き続き、企業ニーズを踏まえつつ、必要かつ効果的な対策を検討してまいる考えでございます。

○太田憲之委員
休業要請に伴う支援策につきまして、有識者会議の場でも、繰り返し、その必要性について発言があり、特に、今後の感染拡大に備えて、事前にそうした仕組みを検討していくことの重要性が強調されているところであります。
企業経営者の立場からすると、どの段階になったら休業要請がなされるのかという点とともに、その際、どのような支援策が用意されるのか、支援の仕組みをあらかじめ知ることが極めて重要になると考えます。
道は、事前の検討、準備をいつまでに終えて、支援の考え方をどのように明らかにしていくのか、お聞かせ願います。

○山岡経済部長
休業要請などについてでありますが、道では、新しい警戒ステージにおいて、感染症の急増、及び、医療提供体制における大きな支障の発生を避けるための対応が必要な段階であるステージ4になった際には、感染拡大防止対策を講じていない施設に対する休業要請を、また、国による緊急事態宣言が発動されるステージ5では、広範な休業要請の実施を想定しており、さらに、感染状況に応じて地域や業態を限定することも検討しております。
道といたしましては、まずは、このような事態に至らないよう対策を講じてまいりますが、このようなステージに至ることが懸念される場合には、これまでの経験等も踏まえ、事前に考え方を整理した上、道内の各地域の感染拡大の状況、要請が必要となることが予想される地域や業態などについて、早め早めに、道民の皆様、企業の皆様へ情報提供を行いながら、感染症対策として効果がある休業要請となるよう、財源の確保など、国への要請を行いますとともに、支援策も含め、検討を進めてまいる考えでございます。

○太田憲之委員
検証の中間取りまとめでは、離職を余儀なくされた非正規労働者を対象にした研修を給付金つきで実施するといった対策が示されております。
このような対策は、次の職場で活躍できるスキルが身につくだけではなく、当面の生活資金の確保にも資する効果的な支援策となることが可能と考えます。
一方で、どのような研修事業を実施するかによって、この事業の評価が大きく分かれることもあり得ます。
こうした時代変化に対応できるスキルやノウハウを身につけることが、本人の再就職ばかりではなく、企業の成長を促し、本道経済の活性化にもつながると考えます。道は、この研修事業をどのように展開していく考えなのか、お聞かせ願います。

○仲野労働政策局長
離職者の再就職支援事業についてでございますが、この事業は、コロナ禍で離職を余儀なくされ、生活に困窮していたり、求職活動がままならないなどの事情を抱えた非正規雇用労働者等に対しまして、座学により、パソコン操作や接遇など、職種横断的な基礎知識を身につけていただくとともに、研修先の企業等において、必要な技術、技能の習得を行い、迅速な再就職を支援しようとするものでございます。
なお、研修の受皿となる企業につきましては、介護、福祉、製造業、小売はもとより、情報通信など、ウィズコロナ、ポストコロナの中、成長が期待できる企業を積極的に掘り起こすなどして、より多くの選択肢の中から適性のある業種を選択でき、1人でも多くの方々の再就職につながるよう努めてまいります。

○太田憲之委員
「新北海道スタイル」の普及、定着に関し、検証の中間取りまとめでは、広報媒体の活用やステッカーの配布、巡回訪問、協議会での取組などが掲げられていますが、その多くが以前から取り組まれていたものであり、現在以上の効果を期待するのは難しいと考えます。
道として、さらなる取組を促すための法的枠組みを設けて、「新北海道スタイル」の定着を図るべきと考えますが、見解を伺います。

○渡邉経済部次長
「新北海道スタイル」の浸透、定着についてでありますが、感染リスクの低減と経済活動の両立を目指す社会を構築するためには、道民や事業者の皆様に、新しいライフスタイルやビジネススタイルを取り入れていただくことが必要であり、「新北海道スタイル」の実践を道民運動として推進していくことが重要だと考えています。
このため、道では、様々な媒体を活用した広報活動や、推進協議会における情報発信などにより、「新北海道スタイル」の浸透、定着に向けた周知を行ってきたところであります。
感染症による影響の終息が見通せない中、道としては、道民や事業者の皆様の御理解、御協力の下、「新北海道スタイル」の浸透、定着に向け、関係法令の見直しの動きなども注視しつつ、実効性ある取組を着実に進めていくことが必要であると考えており、今後のコロナ対策に関する政策推進の基本的枠組みなどを道民の皆様と共有するための方策について、今後の情勢変化にも機動的に対応できるよう、柔軟に検討してまいる考えであります。

○太田憲之委員
北海道では、新型コロナウイルス感染症が早い時期から拡大して、その打撃も大きく受けているところであります。
また、今後、季節性インフルエンザも流行すると考えますが、道は、今後どのように取り組む考えなのか、見解をお聞かせ願います。

○山岡経済部長
今後の経済・雇用対策についてでありますが、本道経済については、緊急事態宣言解除後の6月以降は回復の兆しが見られるものの、今後は、倒産や離職者の増加、さらには季節性インフルエンザの流行など、感染症の影響の終息が見通せない中で、様々な影響が懸念されます。
このため、道では、感染症拡大防止と社会経済活動の両立に向けまして、引き続き、事業者の皆様や道民の皆様に、「新北海道スタイル」の実践を呼びかけますとともに、この秋以降は、無利子融資や観光産業の需要喚起を強化するほか、新たに、離職者の再就職支援やテレワークへの支援など、道内企業の事業継続と雇用の安定が図られますよう、切れ目ない対策に努めてまいります。

○太田憲之委員
経済分野に関する質問をしてまいりましたが、感染症に対する経済対策に関しましては、改めて知事にお伺いしたいと思いますので、委員長、お取り計らいのほどよろしくお願いいたします。